偽善者なんかいない

 こんな都合のいい言葉を聞いたことがある。
「本当に優しい人は、自分に余裕がない時にも人に優しくできる」

 私はこの言葉が大変失礼なセリフだと思う。

 それはまるで、すでに充分の優しさ持つ人に対して、余裕が無いときに私に優しくできないあなたは偽善者だとも言うように。

 本当の優しい人とはなんだ。
そもそも、人に優しいなんて言葉をつけること自体が間違っている。
 その人が優しいのではなく、その人が持つ優しさがたまたまあなたに都合が良かっただけだ。

 人には様々な形をした優しさが大きくも小さくも存在するのだと思う。

 優しさは、本物だとか偽物だとか、とてもとか少しとか、そんな言葉と一緒に使える言葉では無いと思うんだ。

 私は、今まで私のことを少しでも気遣ってきてくれた人達に、その優しさの理由が私の為でなくも、彼らにその優しさが偽物ということは到底できないだろう。

 色んな優しさがあるから、これにも色んな考えがあっていいんだろうけど、自分に都合が悪かったからと、その優しさが偽物ということだけは絶対に間違っている。

 偽善者なんかいないよ。
 全てがあなたにとって好都合だったか、不都合だったか、それだけの話なんだと私は思うんだ。

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