カルノの1日

今回はカルノの現在の1日をお送りします

「……んん…ふわぁ〜〜…」
朝、日が昇る少し前にカルノは起床する
そして顔を洗い薪割りを始める
「よいっ…しょおっと……!」
カコォーーン コォーン
薪が割れた時の音が空に響く
割れた薪を組み、火を焚く
「あっ…熱ッ!フッ、フーー…アチチ……」
組んだ薪の上にフライパンを置き油を敷き卵を割り、焼く
パチパチと音を立てて卵は焼けていく
「ふんふーん〜♪」
卵を焼くうちに自家製の燻製を3枚ほど1口サイズに切る
「いただきます」
洗った野草と焼いた卵、そして燻製を挟んだパンを頬張る
「んっ…くっ、ぷはぁ……ご馳走様でした」
「さぁてと…」
カルノは身なりを整え、街へ降りる
カルノは現在、ヴァサラ軍であった事を隠しながら少々高額ながら道具作成をしている
そんなカルノの元に屈強な体をした輩が現れる
「おう兄ちゃんよ、久しぶりだな」
「あぁ、お客さん。支払いに来たのかい?」
輩はナイフを取り出しながら口を開く
「いやぁそれがなぁ?すこぉし料金が高ぇと思ってよぉ、0が1つ多くねぇかぁ?」
確かにカルノの道具は少々値段が張る。だがそれはカルノの技術力に見合った額であり、カルノが作るものは全て客の要望に合わせたオーダーメイド、それを踏まえた上で値下げを要求してきたのだ
「で、僕にどうしろと?」
カルノは引かない、輩はカルノの首にナイフをぴたりと当てる
「分かるだろ?値下げしろっつってんだよ」
「………」
「わかったか?ならとっとと値下げしろよ」
「…わかりました、ですがその前にこちらに来てもらいますか?」
カルノは輩を路地裏へ誘う
「?あぁここじゃ人目がつくからなぁ」
何を考えたのか輩はホイホイついてくる
「ホンットに……バカだね、君」
「なんだと!てめぇ!!」
カルノの言葉に反応してナイフを誘うと手を突き出す輩、カルノはそれを避け、逆に腕を掴んで投げる
「ぐあっ………」
受け身を取れなかった輩はそのまま意識を手放した
「こんど面倒くさそうな輩リストでも作ってもらお」
カルノには知り合いの運がいい情報屋がいる、法外な値段を取られるが確かな情報をくれる優れた情報屋である、その情報屋に私用のリストを作ってもらおうというのだからカルノはいくら取られるのかと頭を抱えた。
「はぁ………さてと…」
カルノは輩の体を漁り財布を見つけると迷いなく中を開ける
「なんだ、結構あるじゃん。ちゃんと払っとけばいいのにさ、迷惑料も貰っとこ」
カルノは本来の値段分と迷惑料分の金を抜き取り、のびている輩をほうって表通りに出た
「あーー…やっぱ客は選んだ方がいいね、こんなのが増えたらたまんないよ」
と愚痴をこぼしながらカルノは立ち飲み屋へ向かった、酒を飲む訳では無いが疲れた時はその店へカルノは来ている。
少し古臭いようなそうでもないような、カルノはすっかりその店の常連となっていた
「店主、なんか適当におつまみ、あとお茶」
「はいよ、いつも来てくれてあんがとね。最近は常連さんが別んとこ行っちまって」
「ふーん…こんな中央街から離れたとこにねぇ……どんなとこよ」
「なんでもその店のマスターがどえれぇ美人らしい、そんな調子でみんなあっち行っちまった」
「そうなんだ、大変だね」
「あんたはこの店に残ってくれて、俺ぁ嬉しいよ」
店主が涙ぐむ
「いやちょっと泣かないでよ、こんだけのことでさぁ…」
そんな世間話をしている間にカルノはおつまみをたいらげ、帰路につく。随分会話が弾んだようで既に星が見えている
「ん、なんか入ってる」
家に着いたカルノがポケットに違和感を感じ、それを取り出すと1枚の紙がでてきた。どうやら手紙のようだった
「えぇ〜と、なになに〜?........えぇ、めんどくさそ」
内容が気に入らなかったのか、カルノはその紙を風呂を沸かしている火の中へ放り込んだ
「〜〜♪」
風呂からあがったカルノは早め早めに寝ようとしたが先程の紙の対応に少々罪悪感を感じていたので、明日の自分へ先程の紙の内容を写して机に置き、もう1つ紙を用意しその紙には「気が向いたら」と書いて、伝書鳩に差出人へと送ってもらった。何故このような事をするのかというと、答えはカルノの性格にある。カルノは大変気分屋で感情豊かである、1度寝て明日の自分に手紙の返答を任せたのだ。何とも無責任である。
なにはともあれ、これがカルノの1日であった

おしまい

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