自己紹介ができない

「はじめまして。私は、れなといいます。北海道出身の都内の女子大生です。」自己紹介をしなければならないとき、もちろん、場所によって、その名乗る帰属が変わったりはするものの、大概はこの内容を言う。

 「好きな〇〇は△△で、今は、☆☆に興味があります。」
ここまで言えると割と上出来。私は、趣味とかにさんざん悩んだ挙句、当たり障りのない、且つ嘘ではないことを挙げるのだけど。

 自己紹介と聞いたとき、多くの人は、上記のようなこと、もしくは+αのことを話すのではないか。というより、自己紹介をしなければならない場面で求められているのは、上記の”自己紹介”である。さすがの私でも、その場面に応じて、”自己紹介”をすることはできる。
 では、なぜ自己紹介ができないなどとタイトルに書いたのか。

「彼女は、日本人の大学生。今、私たちと暮らしているのよ。」

 これは、私がオーストラリアに留学していた時のホストマザーが、他の人に私を紹介するときに使っていたセリフ。私もオーストラリアで自己紹介をするときに使っていたセリフ。
 この言葉は、何も嘘はないし、ホストファミリーはとても優しかったのだけれど、少し私は悲しくなってしまった。
 「自分の帰属でしか自分を紹介できないのだろうか。」
 
よく考えると、この自己紹介問題は、異国の地だから起きた問題ではなかった。日本に居ても、「北海道出身の~」と謳い文句のように言うし、、「〇〇大学の~、△△高校の~」などともよくいっている。
 それ自体に何の罪もない。だけど、なんだか、自分ではない他の誰かでもよいような気がしてしまう。多くの人が同じことを言うであろう自己紹介しか言えない自分が悲しくなってしまう。

自己紹介って何だろう

 私のしたい自己紹介って何だろう。
 自分がどんな人間なのか。ある帰属物の中の一人ではない自分は何なのか。

 私のききたい自己紹介って何だろう。
 あなたの気持ちや思い、人となりをあなたの言葉で説明してもらいたい。
その人の言葉を聞きたい。

でも、今の私は、自分が何なのかわかりません。どうやって、私が知りたいあなたのことを聞けばよいのか、その言葉がわかりません。

だからやっぱり自己紹介ができない


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?