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バッファーを通すとギターの音が良くなる?というか、まずバッファって何よ。という話
よくネット上のエフェクター界隈で見かけるバッファ通すとギターの音が良くなります!。いや、良くならねえよ!という議論。
あれって結局どっちなの?っていう話をしてみます。
※ちなみに自分は音の専門家でもなんでもないことを最初に断っておきます。
で、バッファーって?
そもそもバッファーとは何でしょうか?
バッファーはギターからの信号をノイズや音質劣化に強くするためのアンプ回路です。
詳しくいうと「ハイインピーダンスをロウインピーダンスに下げる回路」となります。
自分が調べたところ、こういったものみたいです。
そもそもエレキギターとは
さらにそもそもの話ですが、
まずエレキギターというのは名前の通りエレキ(電気の)ギターなので
音を電気信号にしてそれをアンプとかに送って音をでかくして鳴らすわけです。
ギターをジャーン、と鳴らすと金属でできた弦が震えます。
そうするとピックアップの磁石の周りに広がっている目に見えない磁界に弦の振動が影響を与えます。小学校の実験とかでやるように金属は磁石に引かれるので磁力による目に見えない力がその間には働いています。
で、これも小学校だか中学校の理科とかで聞いたことあると思いますが、フレミング左手の法則ですね。この法則によって電磁誘導が発生、つまり金属の弦が震えてピックアップの周りの磁場の変化すると電流が流れます。この電流の信号をシールドケーブルで送ってアンプなどで増幅して鳴らす仕組みになってます。
エフェクターに入っているバッファー
エフェクターはエレキギターの音を変化させたりするための機械です。(まあ、この記事に興味持って読んでる時点でそれは知ってるとは思うけど)
エレキギターから先ほどの信号が送られてきて、それをエフェクター内で加工するわけです。
ただ、この時に問題があります。
エレキギターからの信号はハイインピーダンス信号という信号で、この信号は周りの磁界からの影響を受けやすく音質が劣化しやすいです。なのでシールドで伝送する距離が長くなればなるほど劣化します。また、エフェクターは機械なので(当たり前ですが)電源がないと動きません。先ほどのフレミングの左手とかもそうですが電気があるところに磁界は発生しますし、磁界が変化するところには電気が発生します。
なのでハイインピーダンス信号のままエフェクターの中で信号を加工しようとするとエフェクターの電源からの影響でノイズが乗ってしまいます。
なのでどうするかというと、信号を加工する前にもっとノイズや音質劣化に強い信号に変換します。これがロウインピーダンス信号で、バッファーはハイインピーダンス信号をロウインピーダンス信号に変換するための回路として役割があります。(やっと話が最初に戻ってきました・・・。)
余談1
一度バッファーを通ってしまえばロウインピーダンス信号に変換されるので、エフェクターを複数つなぐ場合は実は最初の1台だけでその後はバッファーを通る必要ってない気がしますが、どの順番でエフェクターをつなぐかは分からないですし、他のバッファーを通っていても部品によってきっと信号の加工が多少違ったりしてエフェクターを作った企業が想定している信号かどうかはわからないので自社の設計に合わせたバッファーをどのエフェクターにも組み込んであるんだと思います。(多分)
トゥルーバイパスとバッファードバイパスの違い
エフェクターを知っていくとトゥルーバイパスという言葉を聞くことがあると思います。
前述の通りエフェクターにはバッファーが必要ですが、バッファーを通さない場合と通した場合で音を聞き比べてみると、多少音に変化があります。
人によってはこの音の変化が好きではない人もいると思います。(自分も結構気にしてしまうタイプかもしれません。)
おそらくエフェクターを開発している方の中にもそういった人がいて、そういった需要から出てきたのがトゥルーバイパスというものだと思います。(ちゃんと調べてないので相当適当なこと言ってます。この辺り。)
トゥルーバイパスというのはエフェクターをオフにしたときにエフェクトの回路を通らない仕組みになっています。なのでハイインピーダンス信号のままトゥルーバイパスのエフェクターに繋ぐとバッファーを通らないので音の変化がない状態のまま信号を送れます。(信号もハイインピーダンス信号のまま。)
オンにした時はバッファーを通りますが、そもそもエフェクト音で大きく音を変えるためにオンにするので気にならないということですね。
(この際、信号はロウインピーダンス信号となります。)
ちなみにですが、トゥルーバイパス方式はエフェクト回路を通る通らないを切り替えるのでフットスイッチを踏んだ時に回路切り替え時のバチッというノイズが音声信号に乗ります。なので曲中にギターソロを弾くときだけ踏むといった使い方には合いません。(エフェクトかけっぱなしで一曲弾き切るの推奨です。)
バッファードバイパスはエフェクトをオフにしていても信号はエフェクト回路の中を流れるのでバッファーによる音の変化はまぬがれません。
このバイパス方式はオンでもオフでもロウインピーダンス信号に変換されます。
世の中大概のエフェクターはこの方式です。
バッファーを通すとギターの音が良くなる?悪くなる?
ここまでのことを踏まえた上で、バッファーのことを考えてみるとギターの音が良くなると言えるでしょうか?
ノイズ対策の観点から
ハイインピーダンス信号からノイズの入りづらいロウインピーダンス信号に変換するわけだから良くなっているんじゃないでしょうか?宅録にしろライブハウスにしろどこから磁界の影響を受けてノイズが入るか分かりません。(家なら電化製品がそこら中にあると思いますし、ライブハウスも足元とかに電源タップとかが配置されてます。)
さっさとロウインピーダンス信号に変換した方がそういった意味では影響を受けづらくしてノイズレスな信号を送ることができるかもしれません。
でもロウインピーダンス信号に変換されているからと言って、エフェクターを大量に繋げてからアンプに信号を送るより、アンプ直でギターを繋いだ方が遥かにノイズレスになると思います。
音質の観点から
信号の変換の際に音が微妙に変わるので、音が悪くなっていると考えられるかもしれません。
ただ、音は好みの問題なのでバッファーを通した後の音の方がかっこよく聞こえる場合もあります。この場合は音が良くなっていると言えるんじゃないでしょうか?
結論
結局ケースバイケースだと思います!
機材の特性を良く理解して使いこなすことが大事なのかもしれません。
なんかYotubeの動画によってはチューナーで音が良くなる。とかそういった動画もあったりしますが、あれはチューナーに入っているバッファーを通った後の音をどう思うかだと思います。
エフェクターをボードに組み込んだり外したりしながら音作りをするよりも、一度使うエフェクターの組み合わせを決めて、そこから一度エフェクターを全部オフにした状態でアンプの設定を決めて次にエフェクター側、という順序で音作りをしたほうがバッファーの音の変化に振り回されない音作りができるんじゃないでしょうか。
以上、バッファーを通すとギターの音が良くなるのか?という話でした。
BOSSのバッファーは良く音が変わることで話題に上がるので、できたらBOSSありとなしで音を比べる記事とかやってみたいですね。
超余談
そういえば宅録をやっている人にはお馴染みのオーディオインターフェースにだいたいHi-Z入力というものがついていると思いますが、あれはギターを直接オーディオインターフェースに繋いだ時など、まだハイインピーダンスのままの信号を受け取るための入力端子なので、トゥルーバイパスじゃないエフェクターやチューナーを一旦通した後であればHi-Z入力じゃない端子に繋いでも大丈夫です。(多分)