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しばらくすると、相変わらず楽しそうなヒョンたちがバスルームからココを連れて出てきた。
床に座って、ココをタオルで拭きながら、ニコニコ笑うヒョンたちの間に、入れる気がしない。
ヨンジェヒョンはTシャツを着てるけど、マクヒョンは相変わらず裸のままだ。
ふ、服着ればいいのに。
僕はソファに体を投げ出したまま、二人の様子を眺める。
ココ連れてくるとき、僕も一緒に行けばよかった。
ヒョンたちがココにドライヤーをかけ始めた頃、ドタドタと荒い足音が聞こえて、バンッと勢い良く玄関のドアが開く音がした。
か、帰ってきた。
足音ですぐにわかる。
僕は妙にドキドキして、寝たふりすることにした。
ソファに寝転んだままで、前髪の下で薄めを開ける。
ジェボミヒョンがリビングに入って来る。
ドライヤーの音と、ココに気を取られて気がついていない二人は、楽しそうに笑いながら話している。
その向かいに、鬼の形相を必死で隠してる、ジェボミヒョンが。
こ、怖いよ、僕泣きそう、マジで。
「あ。ジェボミヒョンおかえりなさい」
ヨンジェヒョンはふにゃふにゃ笑ったまま、ヒョンを見上げた。
「ちょっと来い」
「え? まだ途中」
「いいから」
そう言うと、ジェボミヒョンはヨンジェヒョンの首根っこを掴んで、そのまま歩いていく。
「え、なになにーっヒョン痛いよっ」
「いいから」
そう言って半ば引きずるように二人の部屋に入って行った。
バタンッと勢いよくドアが閉められる。
その頃には、僕は目を思いっきり開いて一部始終を見届けていた。
マクヒョンは、訳が分からないような顔で、そのドアを振り返っていたけど、またすぐにドライヤーをかけ始める。
ドライヤーの音が大きくて、僕は内心ホッとしていた。
あのドアの中で今何が繰り広げられているのかわからないけど、聞きたくない。
マジで怖いし。
マクヒョンはココのことよく怒ってるけど、ココに向ける目も手つきも、優しくて愛しさが溢れてる。
マクヒョンの髪も、ココと同じくらいフワフワだ。
ソファに寝そべったまま、じーっとマクヒョンのこと見てても、ヒョンは全然僕のことなんか気にもしてないし、視線すら感じないらしい。
「マクヒョン~」
「ん?」
呼ぶと、やっとこっち見てくれた。
「何?」
「なんでもないです」
「何それ」
自分でも分かんないや。
ヒョンは少し笑うと、また下を向いてココにブラシをかけ始める。もう僕のことは眼中にない。
僕分かるな、アガセたちがココになりたいっていうの。