3-11
「ユギョミー、今日言わなくていつ言うの?」
ふいに、隣の部屋からジニョンイヒョンの声がして、ビクッとした。
「い、いつか、」
「タイミング、永遠に逃す気?」
「そうじゃ、ないけど」
ほんとは、もう抱えられないくらいの好きで、息ができないくらいだ。
「マクヒョンさ」
「なに、俺の話?」
その時マクヒョンが部屋に帰ってきて、飛び上がりそうなほど驚いた。手に水を2本持ってる。
ヒョンはベッドを通り抜けてジニョンイヒョンの部屋に入っていく。
「ユギョミに変なこと吹き込まないでよ」
「何も言ってないし」
二人の会話に、耳をすませてしまう自分が嫌だけど。聞かないではいられない。
僕に聞かれたくないのか、声のトーンを落として、もう聞き取れない。
クスクス笑ってる。
すっごい嫌だ。
「マクヒョン、チューしていい?」
ふいにに二人の声がはっきりと聞こえてきた。
「え? ジニョンイも酔ってんの?」
「酔ってる、酔ってるからしてもいい?」
「ヤダよバーカ、早く寝ろ」
「えええー、チューしよーすっごいエロいのしよ、一回だけ」
「バカ、それ本当に一回だけで済むの?」
「んじゃ何回もする?」
会話が全部まる聞こえで、僕は思わずベッドを飛び出てた。
「ダメ! 絶対にダメ!」
僕がジニョンイヒョンの部屋に飛び込むと、僕が想像してたのとは違って、ジニョンイヒョンは自分のベッドに、マクヒョンは少し離れたところに立ってた。
「来るの遅くない?」
そう言ってジニョンイヒョンがケラケラ笑ってる。
「どういうシチュエーション想像して来た?」
ちょっと意地悪なジニョンイヒョンも、無視だ。
なんか、マクヒョンも笑ってるし。
騙されたの? そうなの? だとしても嫌だ、今の会話がもう嫌だ。
「ヒョン、行こう」
なんか恥ずかしいけど、それよりもやっぱり嫌だった気持ちが強くて。
マクヒョンの腕を掴むと引っ張って自分の部屋に戻った。
僕がベッドに座ると、ヒョンが水をくれる。
「これ飲んで、早く寝なよ」
ヒョンが僕の頭をかき回して、自分のマットに行こうとする。
「ヒョン、一緒に寝ない?」
「この前ダメって言ったじゃん」
「うん、だけど」
「今日はやめとく、ユギョミ酔ってるし、ゆっくり寝な」
「でも」
「ユギョミどうせ忘れちゃうじゃん、酔ってると」
「え? 何を?」
「いいから、早く寝なよ」
ヒョンの言ったことが分からなくて首を傾げていると、ヒョンはさっと僕に背中を向けて行ってしまった。
ふいに、マクヒョン、本当はさっきのちゅーしたかったのかな、なんて頭に浮かんだ。
「マクヒョン、優しくしないとユギョミ泣いちゃうよー」
「じ、ジニョンイヒョン! もううるさいです!」
「うわ、感じわるー」
「お休みなさい!」
隣の部屋で、まだケラケラ笑ってるジニョンイヒョン。
マクヒョンの前でからかわなくても、いいじゃん、僕がめっちゃ子供みたいじゃん。
僕はおとなしく、布団に潜りこんだ。
マクヒョンが言う通り。
酔ってる、今。
余計なことばっかり考えたり、何かしでかす前に寝てしまおう。
そう思って僕はギュっと目を閉じた。