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マクヒョンは、床に座って靴を脱いでる。
「マクヒョン、ダウンまだだったんですか?」
ゆっくりとマクヒョンに近づいてく。いつからだろう、こういう時に胸がドキドキするようになったのは。
「んん、さっきしたけど。もうちょっと」
そう言いながら、ヒョンは両膝をかばうように撫でる。
少し前に痛めた膝が、まだ痛むんだろうか。
「まだ痛いんですか?」
思わず僕はヒョンの側にひざまづいて、その手に自分のを重ねた。
「いや、だいぶ良くなったよ」
そうそう言うとヒョンは僕が重ねた手をトントンと叩く。その時になって、自分がヒョンに触っていたことに気がついてハッとした。
「なんて顔してんの、大丈夫だし」
そう言うとヒョンは僕の頬を指でつついた。
自分がどんな顔してるのか分からないけど、きっと変な顔だ。
マクヒョンは、いつもやるみたいに、じっと目をそらさずに僕を見てる。
キラキラした目でじっと見つめられて、ヒョンより先に目をそらすのは絶対にいつも僕だ。
「ちゃんとアップしなきゃだめじゃないですか」
カッと耳が熱くなるのが分かって、僕はわざとぶっきらぼうに答えた。
ベムに言われたこと、自分でも分かってる。僕に気持ちを隠すのは無理だ。
照れたりすると耳も顔もまるでレーダーみたく、赤くなるんだから。
「ユギョマー頼んでいい?」
僕があたふたしている間に、マクヒョンは仰向けになっていた。
そののんびりした声に、ホッと胸を撫で下ろす。
もし相手がマクヒョンじゃなじゃったら、とっくに気持ちがバレて気まずいことになっていただろう。
ずっとずっと、バレないでほしい。
「いいですよ」
僕はそういうと、マクヒョンが投げ出した足を持ち上げる。
自分でやるよりも、人に手伝ってもらうと、筋がしっかり伸びて気持ちがいい。
足首から順にゆっくりと丁寧に伸ばしていく。
ヒョンの脚は本当に細くて華奢で、スウェットパンツの上から触っても、折れないか心配なくらいだ。
だけどこの脚で宙を舞うように跳ぶんだ。
少しでもよくなってほしい。