3-12

 夜中に、猛烈にトイレに行きたくなって、目がさめた。

 外が少し明るくなってるのに気がついて、気のせいだって思おうとしたけど無理で、結局、トイレに起きる。

 そいや、酔っててそのまま寝ちゃったんだった。

 寒っ。

 布団から出るとめちゃくちゃ寒くて、ジニョンイヒョンを起こさないように、そーっと忍び足でトイレに入った。

 すっきりして、あったかい布団の中に戻ろうとしたけど。

 やっぱり気になってマクヒョンを見てみる。

 そしたら、ヒョンはブランケットだけで寝てた。

 え、何でこんな薄いの一枚で寝てるんだろう。寒いじゃん。

 ヒョン、一緒に寝ないって言ったけど。

 もう僕、酔ってないから、いいかな。

 少しの間立ったまま考えてたけど、酔ってなくても眠くて頭回らない。

 もういいや。

 考えてもわかんないし。

 僕は自分のベッドから布団を引っ張ってきて、ヒョンに掛ける。

 そして隣に潜り込んだ。マットがシングルで、めちゃくちゃ狭い。

 マクヒョンは、丸くなって寝てた。布団どうしたんだろう。

 寒そうで、抱き寄せたかったけど、そんなことしたら起こしちゃいそうだし、快適に寝て欲しくて僕はなるべくヒョンに触れないようにした。

「ギョミ、さむ」

 マクヒョンの寝顔を見たくて前髪をそっと掻き分けたら、小さく名前を呼ばれてびっくりした。

 ヒョンは一瞬薄目を開けて、また閉じたけど。

 もぞもぞと動いて、僕に近づいてくる。

「マクヒョン、来て」

「ん」

 ヒョンは目を閉じたまま僕にくっついてくる。

 僕は、ヒョンの体に腕を巻きつけて、抱き寄せた。

 ヒョンはそのままスヤスヤ寝てて。

 僕は、何もかもが完璧に満たされるような幸せを感じて。

 ヒョンの髪に顔を埋めて、目を閉じた。

 起きたらもう昼過ぎてた。

 腹ペコだし。

 リビングのソファにマクヒョンが座ってた。

「ユギョミおはよ」

「マクヒョンおはよー。ジニョンイヒョンは?」

「ジニョンイ? もう行ったよ。早めに行くって」

 そう言ったマクヒョンが、何かちょっとそっけない感じがして、気になってしまう。

 ジニョンイヒョンが行っちゃったから、寂しいのかな。って思ったら、腑に落ちて。

 なんか寂しくなる。

 

「そうですか」

 昨日のこと、ジニョンイヒョンにちゃんとお礼も言ってないし。ご飯をご馳走してくれたことも、話を聞いてくれたことも。

 ちょっと記憶があやふやな所もあるけど、ヒョンに突っかかったり、恥ずかしいことを言ったのは、覚えてる。

「ユギョミお腹空いてる?」

 僕は頷いた。

「二日酔いは?」

「ぜんぜん大丈夫です」

「よかった。お昼ご飯一緒に買っといた。キッチンに置いてあるよ」

 そう言って微笑むヒョン。

「えっ、マクヒョンありがとう」

「うん、食べといで」

「はい」

 ヒョンが僕の分までご飯買ってくれてた。

 それだけで凹んだ気分もちょっと回復したし。

 それに、買ってくれてたのが優しいスープとご飯で。僕の嫌いなものも入ってなくて。

 ヒョンが僕のこと考えて選んでくれたんだって、すぐに分かった。

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