2-7

 どうしたのかな

 大丈夫なのかな

 そう思うと、心配でいたたまれなくて。

 僕はその肩に手をまわすと、自分の方に引き寄せた。

 壁にもたれていたヒョンの体重が、僕にかかる。

 とてつもなく、幸せな重みだ。

 そんなことが、ふと頭に浮かんで、マジで僕はバカだなって思った。

 ヒョンをベッドに運んで寝かせるのなんて、きっと簡単だけど。

 なんか、そんなことしたらすごい嫌がられそうな気がして。怖くてできない。

 だから、僕はただそのまま、ヒョンが起きるまで待つことにした。

 

 僕に体を預けていても、膝を立てて眠る様子はなんだか窮屈そうに思えて。楽にしてあげたくて、僕はそっと力を込めてヒョンの体を倒した。

 投げ出した僕の脚の太ももに乗っかる、ヒョンの頭。

 ……ここまでして、自分がとんでもなく大胆な行動に出たことに気がついた。

 ひ、ヒョンが寝てる間に勝手に膝枕するとか! なにしてんの僕! え、どうしよう。

 どうしようって思ったけど、また動かして座らせるとか、なんかかわいそうでできないし。

 ヒョンの肩は規則正しく上下してて、なんか心地いいのかな、とか思えちゃったり。

 これは僕の希望だけど。

 マクヒョンが起きたらなんて言うんだろうって、考えてみたけど、きっと何にも言わないんだろうな。

 どうしたの? って聞くのかな。

 聞きたいのはこっちなんだけど。

 そんなことを思いながら、ヒョンの髪に指を通す。

 ふわふわの髪を掻き上げると、ヒョンの綺麗なおでこが見える。

 おでこも、鼻も、唇も。

 なんでこんなに綺麗なんだろう。

 そっと、指でなぞってみる。

「んん」

 ヒョンが不意に呻いて、僕はパッと手を離した。

 ドッドッドッドッて心臓がすごい勢いで打ち出した。

 なにこの罪悪感。

 自分の気持ちに気がつく前は、罪悪感なんて抱かなかった。

 ハグするのも、ヒョンの髪を触るのも、手をつなぐのだって平気だった。

 自分の気持ちに気がついてからは、なんだか自分の下心が透けてしまうような気がして。

 自分からはヒョンに触れなくなってしまった。

 僕は本当に意気地なしだ。

 例えば今、ジェクスニヒョンが僕で、マクヒョンがベムだったらきっと。

 起きたのって言ってニッコリしたり、顔とか触ったり手を握ったり、き、き、キスとか。したり。

 そこまで考えて、顔がめちゃくちゃ熱いし、あまりにもレベルが違いすぎて、比べるのも変だって気がついた。

 ベムは、ジェクスニヒョンは僕のものだから、って、冗談ぽくだけど平気で言う。

 それを聞いて本当に嬉しそうに笑ってるジェクスニヒョン。

 あのふたりとは全然違うよね。

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