3-20
「幸せ、嬉しい、好き」
僕はヒョンの胸に顔をくっつけて、そう言う。
それを聞いてマクヒョンがケラケラ声を出して笑う。
「好き、すきすきめっちゃ好き」
ヒョンは面白そうにずっと笑ってる。
「ほんとにほんとに好き」
「もう分かった、分かったから」
ヒョンはそう言って笑うけど。
今までだって何度となくそうやって交わされてきたんだから。
ほんとに分かってんのかな、って。
何度も確かめたくなっちゃうんだ。
「俺の気持ち、ユギョミが全部言ってくれるね」
ヒョンがそう言って、心臓がキュっとなる。これ、きゅんとするってやつだな。
「ユギョミ、俺もう眠い。部屋に戻ろ」
そう言って僕の膝から降りると、僕の両手を引っ張る。
「うん」
「ヒョン、布団は?」
「今日は無理だな」
ヒョンの布団は、まだ乾燥機の中でぐるぐる回ってる。
「ベムのベッド借りよ」
部屋に入ると、ヒョンはベムのベッドに倒れ込む。
一緒に寝る?
その言葉が、なんだか急にものすごく特別な事になったみたいで。
簡単に口に出来なかった。
心の中で、がっかりしてる僕がいる。
けど、簡単に言えない。なんでかな。
あんなキスして、エロい気持ちで見てる、とか言われて。やっぱ、意識してしまう。
僕は頭の中で忙しく考えてたけど、マクヒョンは何にも気にしてない様子だ。
ベムのベッドで着てたパーカーを脱いでぽいっと投げると、半袖のTシャツで布団に潜る。
「ヒョン、今日冷えるよ、パーカー着たままの方がいいかも」
「んー、大丈夫、ちゃんと潜って寝るから」
そう言って、マクヒョンは僕の方を見てる。
僕も、ベッドに寝転んで、マクヒョンの方を向く。
お互いの手を伸ばせば届きそうな距離なのに、さっきまでくっついてたからか、なんだか遠く感じる。
「なあ、ユギョミ」
「はい」
「もう眠いんだけど、でも、ちょっとだけ答え合わせしない?」
「答え合わせ?」
「うん。俺、ユギョミが好きだって言ってくれたの嬉しいけど。まだ知りたいこと、聞けてない気がする。ユギョミもじゃない?」
鼻まですっぽりと布団をかぶったまま、ヒョンがそう言った。
知りたいこと。
確かに、そう言われたら、たくさんある。
何よりも聞きたいことが残ってる。
マクヒョンは、ジニョンイヒョンを好きだったんじゃなかったの?
それに、僕に好きだって、何度も言ったって言ったけど。記憶にないし。
ヒョンが今好きだって言ってくれてるんだから、蒸し返したくない気もするけど。
今聞かないと、一生聞けない気もする。
そういうことで、これから先悩んだりしたくない。
「あのさ」
「あの」
「あのさ」
「あの」
お互いの声が重なって、思わず笑ってしまう。