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映画「海辺のエトランゼ」 舞台挨拶感想

10月8日に新宿ピカデリーで行われた映画「海辺のエトランゼ」の紀伊カンナ先生、大橋監督、空閑美術監督のスタッフトークショーの感想を書いていきます。

映画「海辺のエトランゼ」も公開から遂に4週間が経過しました。
本日が4週目の最終日と言う事もあり上映終了となる劇場も散見されます。
僕が何時も利用する劇場も本日が最終日でジタバタしてます。
その劇場で最終日の鑑賞をする予定でしたがまさかの紀伊カンナ先生3度目の登壇と言う事で有休取って大阪から新宿ピカデリーに駆け付けました。
2週前の登壇(紀伊カンナ先生、大橋監督、玉置さん)の時も同じように駆け付けたのですが1回目の舞台挨拶は土壇場で紀伊カンナ先生の登壇が発表され間に合いませんでした。
その1回目の舞台挨拶と同じメンバーでのスタッフトークショーだったので迷わず観に行くことに決めました。
映画「海辺のエトランゼ」は勿論全てが素晴らしいのですがやはり映像美と色彩美は特に目を引きますので美術面でのお話は何としても聞きたかったので本日それが叶い本当に嬉しかったです。

空閑美術監督のお話を伺って改めてエトランゼに対する美術面での拘りをこれでもか!と言う程痛感しました。
それは大橋監督や紀伊カンナ先生も同じですがお二方の絶大な信頼とそれに応えた空閑美術監督には頭があがりませんでした。
背景の一つ一つに意味を持っていたのは察してはいましたがほぼ全てにファンの想像を超える拘りと意味がある事を知ってますます「海辺のエトランゼ」への理解がまたひとつ深まった思いでした。
そして改めて大橋監督のこの作品へ対する強い思いと意気込みを痛感した思いでした。伺ったお話で最も感銘を受けたのが海辺のベンチの周りに植えられた実央の母の花が「オオバナアリアケカズラ」と言う花でその花言葉でした。
「恋に落ちる前」「永遠の幸せ」「美しい追憶」だそうです。これもう聞いた瞬間軽く衝撃を受けました。これほど実央に相応しい花言葉あるかな?と思いました。
「恋に落ちる前」は正に駿と出会った頃のイメージですし、「美しい追憶」は実央と実央の母との回想シーンそのものですし、「永遠の幸せ」は正に実央と駿のゴールじゃないでしょうか?
思いを馳せるだけでしんどくなりますしこの事を踏まえて映画をまた見れば更に深い味わいと感動を得られると思いました。
そしてエトランゼと言えば海辺のシーンは外せませんが月の満ち欠けにもそれぞれ意味を持たせているのだそうです。冒頭は半月で暗めのシーンからスタートするのですがこれは「お葬式」をイメージしているそうです。
冒頭の実央の母に対する思いですね、そう考えるととても切なくなります。反対に実央が駿たちと食卓を囲み満たされた後は満月のシーンが入ります。これはそのまま満ち足りた事を意味しているのだそうです。
駿が本島で桜坂劇場から桜坂セントラルの実央の元へ走っていくシーンにも色々趣向がありました。高校時代と現在を重ねる事で色々(主に駿の感情面を)演出されています。息の上がり方には年齢の違いを考量したとのこと(笑)
高校時代は立ち止まり蹲るのですが現在では立ち止まっても気力を振り絞って実央の元へと走ります。これは実央への強い思いを表わしているのだそうです。素晴らしい…
因みに駿は必死で走りますが現実の桜坂劇場→セントラルは徒歩1分の距離だそうです(笑)その距離を全力疾走する駿を想像するとクスっとしてしまいました。
本当に端々まで思いが趣向が凝らされていてなんて深い作品なんだと思いました。
他には実央と母親の回想シーンでベランダのシーンがあるのですがこれが実央の母の趣味を反映したものだそうです。
ミニトマトがあるのは節約の意味もあったりお花が多いのは実央の母が花が好きだからだそうです。短冊の願い事にも実央の子供ならではの純真無垢さを演出しています。
「エビになりたい」「はやぶさにのりたい」「おなかいっぱいたべたい」とか…意味を知ってしまうと本当に切なくなります。
そして気になった人も多いかもしれませんで劇中で「姫ちゃんのリボン」の単行本が出てきますがこれが実は実央の母親のものだそうです。それを少女漫画が好きな実央が読んでるんですね…。
僕自身、この感想を書いてる時点で19回も鑑賞したのに新しい情報が来る度にまた観たくなり、エトランゼを底の底まで理解したい思いに駆られます。
それくらいこの作品の中には作り手の思いや趣向の全てが詰められているんですね…だからこそあんなに素晴らしい作品に仕上がったのだと改めて思いました。
本当お三方はじめ制作に携われた全ての方々には感謝しかなく永遠に頭があがりません。

今日は本当に観に来て良かったです。トークショーも終始笑いの絶えない楽しくて和やかな空気の中で行われました。時期的にも恐らくこれが最後のイベントだと思いますが是非「春風のエトランゼ」も映像化して海辺~と同じ制作陣でまた観せて欲しいと心から願います。
9/11から上映スタートした映画館は本日、来週で終わるところが殆どですが明日から始まる映画館もありますね。
僕もあと1~2回は是非観たいと思います。後日円盤が発売されると思いますし勿論買いますが「海辺のエトランゼ」の映像ならではの世界、風景、色彩美、サウンド、料理、猫はスクリーンでしか味わない何かが確実にあります。
僕もその魅力に魅せられて何度も何度も鑑賞しました。今しか体験できない貴重な期間だと思います。まだ観ていない方ももう観られた方もギリギリまで何度でも観て欲しいと思います。
今年はコロナの影響で世の中が大きく変わり色々制限されたり鬱屈な日々も続きましたがこの映画に出会い、触れ、その世界に浸れた事で最良の1年に変わった気がします。
沖縄・南の島にトリップしたような感覚。観て愛しくて楽しくて美しくて切なくて美味しい作品です。
ひとりでも多くの方にこの感動と多幸感が伝わればいいなと心より願います。
そして「春風のエトランゼ」でまた実央と駿、エトランゼの世界に会えます様に。


映画「海辺のエトランゼ」感想はこちら↓(ネタバレ注意)


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