「転校生ナノ」シーズン1・エピソード1考察 ~ ナノの正体は人間です
「転校生ナノ」の2つのシーズン、合計21のエピソードを通して、我々視聴者が持つ最大の疑問は「ナノの正体」ではないでしょうか?
ナノってゴーストなの?
ナノって悪魔なの?
普通の人間ではなく、スーパーナチュラルな存在であることは明らかですが、最後の最後まで、その正体は謎のままです。 でも、謎だからこそ、彼女に魅了されるとも言えるのかも知れません。
さて、「ナノの正体」という切り口で、シーズン1・エピソード1「先生の本性」について考察してみたいと思います。
ドラマシリーズのエピソード1というものでは、一般的に登場キャラクターの設定(人物像)やキャラクター同士の関係性をハッキリ見せることが多いです。
一方で、多種多様な出来事に巻き込まれていく登場人物達をチラ見せさせ、敢えてキャラクター設定を説明しない事で、視聴者を或る意味不安な気持ちにさせ、今後のシリーズ展開に期待を持たせる、という手法もあります。
エピソード1「先生の本性」では、前者の手法が取られているように感じます。 つまり、「ナノの正体」が、ハッキリ表現されていると思います。
ナノがウィン先生の娘と彼女の彼氏を、ドアに番号が記されたアパートの一室と思われる部屋に連れて行く(誘拐する)シーンを思い出してみて下さい。 気付いた人も多いと思いますが、まるで生活感のない部屋にあったものは、スーツケースとハンガーに掛かった複数の制服、そしてベッド。 ここから考えられることは、
・ナノは、この部屋に寝泊りし学校へ登校している
・ナノは、この部屋に定住しているわけではなく、スーツケースを持ってアチラコチラと移動している
・ナノは、転校する学校の制服を何らかの方法で事前に入手し準備している(計画的に転校している)
もしナノが悪魔やゴーストのような超自然的な存在だったとしたら、スーツケースを持って移動したり、計画的に制服を用意して転校したり、そんな人間的なことをするでしょうか? 恐らく、魔力を使って瞬間移動したり、次から次へと着ている制服を変化させたりすることでしょう。
そして、このエピソードでのナノは、何も超自然的なパワーは使っていません。 ウィン先生に近づき、先生の本性を明らかにし、彼に苦しみを与えます。 結果的に娘を事故死させる等、悪魔的な部分はありますが、人間の能力を超えた行動はしていません。 エピソード1でのナノは「人間」として描かれています。
従って、視聴者は、主人公ナノを、悪意に満ちた正義感と知恵を持って悪人を懲らしめる必殺仕事人的な「人間」として理解するのです。
しかし、この理解は、エピソード2によって粉々に破壊され、我々視聴者の頭には混乱の嵐が吹き荒れることになります。 (次回考察に続く)