6. デルタ株、「重症化」のリスクはどのくらい?
デルタ株は、アルファ株などの変異株と比べて、感染力が強いことが知られています。
それでは、感染した場合に、入院などが必要になる「重症化」のリスクはどうなのか。気になるところです。英国からの報告を紹介します(ランセット・インフェクシャス・ディジーズ2021年8月27日オンライン公開)
Hospital admission and emergency care attendance risk for SARS-CoV-2 delta (B.1.617.2) compared with alpha (B.1.1.7) variants of concern: a cohort study
2021年3月29日から5月23日の期間の、英国イングランドの感染者のうち、デルタ株かアルファ株かを調べた全例43,338人が対象です。平均的な年齢(中央値)は31歳。若いです。
感染から14日以内に入院した人の割合は、デルタ株が2.3%(196/8,682人)、アルファ株が2.2%(764/34,656)人でした。
デルタ株の入院率は、べつにアルファ株と変わらないように見えますね・・
ただし、デルタ株の感染者のほうが、アルファ株の感染者よりも、平均的な年齢が若く(29歳と31歳)、アジア系やロンドン在住者が多いなど、特性に差がありました。
そこで研究グループは、こうした特性の違いを統計的に取り除いて、デルタ株でもアルファ株でも年齢などに差がないと想定したらどうなるか、計算しました。
すると、です。
おなじコロナの感染者でも、デルタ株の場合、アルファ株よりも、入院のリスクが2.26倍、入院または救急搬送のリスクが1.45倍高い、という結果になりました。
びっくりです。
感染者の75%はワクチンを受けていませんでした。ワクチンを受けた後に感染した25%の人に限って分析しても、やはり同じような傾向で、デルタ株はアルファ株より、入院のリスクが1·94倍、入院または救急搬送のリスクが1·58倍でした。
研究グループによると、英国スコットランドで同じような研究がこれまで1件ありましたが、今回の研究がこれまでで最大規模のデータとのことです。
デルタ株は、
・「感染力が強い」だけではなく、
・感染した場合の「重症化リスクも高い」可能性があります。
てごわいですね。
さいごまでご覧いただき、ありがとうございました!