【映画感想】祈りの幕が下りる時
かなり久しぶりの更新です!
しばらくサボってしまいましたが、また徐々に始めていきたいと思います。
この映画は、2010年4月に連続ドラマとしてスタートした東野圭吾原作の「新参者」シリーズから、2本のスペシャルドラマ「赤い指」「眠りの森」、そして映画『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』を経て公開された完結作となっています。
東野圭吾の作品がもともと好きで、このシリーズの過去作も全てとても良かったですが、やはり「祈りの幕が下りる時」は格別です。
加賀さんが暴いたウソの裏に隠されていた真実が、あまりにも切なくて…何度見ても号泣してしまいます。
あとは、過去の作品でもかなりの豪華キャストが出演していますが、この作品で登場する松嶋菜々子、小日向文世、桜田ひよりの演技が本当に素晴らしい!!!
本当の親子みたいに見えるし、桜田ひよりは悲しい顔が本気すぎてこっちまで涙ボロボロになってしまいます。松嶋菜々子は相変わらず上品で美しくて、そんな松嶋菜々子が「おとうちゃん」と言うのがとっても可愛いです。
あと小日向さんって本当にこういう優しいお父さんの役がお似合いだなぁと思います。
とにかく今回のキャストの皆さん、本当にとても素敵です!!
大切な誰かを守るための罪や嘘。
この新参者シリーズの特徴だと思うのですが、犯人が罪を犯す動機や、人がウソを隠す背景に必ず「自分以外のだれかを思ってかばう心」があるのです。
人が罪を犯す時って、必ずしも悪意があってやるだけではないのだと思います。
大切な誰かを守るための嘘や罪。その人間関係が丁寧に描かれているところが大好きな理由です。
父と娘の辛すぎる過去
今回の事件で隠されていたウソ、それは「越川睦夫の正体」でした。
始まりの腐乱死体の犯人と疑われた越川睦夫は、実は浅居博美の父なのでした。
あまりにも辛い過去を抱きながら、娘を守るためだけを考えて生きてきた睦夫。
娘を守るため数々の罪を犯し、身を潜め、生きることに疲れて果てていました。
そんな睦夫はついにテントに火をつけて自殺しようとするのですが、博美は陸夫が過去に「焼け死ぬのだけは嫌だ」と言っていたことを思い出し、大好きな父を解放するためにありがとうと泣きながら、睦夫の首を締めるのです。。
最後に加賀に後悔はないと語る博美の姿はなんだかぐっときました。
こんなに辛い経験をしたことがないから共感しきれない部分があるけど、でもそんな辛い中でも親子を思いやる気持ちをずっと忘れずにいる姿に心を打たれます。
加賀がずっと日本橋署にこだわり続けた理由
そして、睦夫と生前に恋人関係にあったのが加賀の母でした。
そのため睦夫の娘である博美は、自分の父の恋人の息子である加賀がどんな男なのかを確認したく、かつて加賀の道場に訪れていたのでした。
加賀の母は、加賀が幼い頃に突然家を出たあと仙台で1人死んでいきました。加賀は、母が死んだあと、その遺品を回収しに行った際に家にあったカレンダーに書かれていた日本橋周辺の橋の名前をずっと気にしていました。
何か母につながる手がかりがあるかもと思い、捜査一課を離れてずっと日本橋署にいたのでした。
今回の事件で、加賀の母の恋人は、博美の父である睦夫だったということが判明したのです。
カレンダーは睦夫が加賀の母の家に残したもので、そのカレンダーに書かれた橋は博美との待ち合わせの場所だったのです。
睦夫が死ぬ前に加賀宛に残した手紙を博美から受け取った加賀は、母が突然家を出た理由は息子を思うゆえの苦渋の決断だったこと、死ぬ前の最後まで息子をずっと気にかけ続けていたことを知ります。
こうして、ドラマシリーズからずっと続いていた加賀の母の謎も解けました。
最初は飛び飛びの情報が、少しずつ一つに繋がっていくのがストーリーとしても本当に面白いし、全ての真実が1つにつながるきっかけは、やはりいつも加賀の推理にあるところの一貫性も流石です。
「祈りの幕が下りる時」というタイトル
今回のストーリーは、博美が演出を手掛けた「異聞・曽根崎心中」の舞台の初日から事件が始まります。
この「異聞・曽根崎心中」は、愛し合う2人の心中のお話なのですが、博美も睦夫のことを思うがゆえに首を絞めて睦夫の人生に幕を下ろしてあげる部分と重なります。そして、この舞台の千秋楽の幕が下りる時と同時に事件の全てに幕が下りるのです。
さらには、加賀がずっと捜査し続けていた母親について、死ぬ前に自分を気にしてくれていたか、そして少しでも幸せに暮らせていたのか、という祈りの幕も降りることになります。
悲しいけれど、最後にはすっきり前向きに終わるところも新参者の大好きなところです!
私も、親から受け取ってきた沢山の愛にちゃんと感謝して生きていきたいなぁと思います。
そして加賀さんのように、人の表面には見えない裏の顔にまでしっかり目を向けていけるような人になりたいなぁと思います。
おわり
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