中部ブロック代表・愛知高等学校『井戸の茶碗』(作、愛知高等学校演劇部/脚色)

演劇部概要

愛知高校はもともと男子校でしたが15年前に共学化。部員は3年生をいれて22人(2020年8月現在)です。日々の練習は講堂で行っていて、30年前のものだが照明施設もあります。顧問の岡大輔先生は学生時代は落語研究会に所属。顧問就任当初は唐十郎の作品などの作品を上演していましたが、就任後5年たって顧問としての勝手がわかってきはじめたそうです。ただ自分には本を書く力がない、とも思ったそうでそんななか自分がやってきた落語には面白い話があると気付き、古典落語の舞台化にチャレンジするようになりました。総文祭には2006年に『死神』、2011年に『紺屋高尾』で出場、春の全国大会には2007年に『品川心中』で、2009年に『文七元結』でそれぞれ出場しています。いずれも落語を舞台化したものです。

落語の舞台化

愛知高校は初めて担当したの落語『死神』(借金まみれの男が首をくくろうとすると死神が現れ、人についた死神がわかる能力を与え、それを追い払う呪文を教えるので医者として金儲けをさせるはなし)をベースにした現代劇で総文祭出場を決めました。その後も2011年の総文祭には『紺屋高尾(こうやたかお)』(花魁に惚れた職人が死に物狂いで働き、最終的に結婚する純愛ストーリー)で出場。春の全国大会でも2007年に『品川心中』で、2009年に『文七元結』で出場するなど古典落語の舞台化で全国に存在をアピールしています。意識しているのは今の高校生に通じるような話にすることだそうで、高校生たちも最初は「何で落語?」と思うそうですが、徐々に面白さに気づいていくそうです。大会向けの作品についてはじめは生徒たちがどうするか話し合うそうですが、息詰まると生徒たちから「面白い話ないですか」と聞いてくると言います。去年は『芝浜』で挑んだが県大会にも進めなかったそうで、岡先生によると高校演劇に向く作品と向かない作品があることを実感したといいます。例えば、「酔っ払いが出る作品は向かない。なぜなら高校生は酔っぱらったことがないから難しい」とのことです。

コロナ禍の演劇部

今年の状況は新入生歓迎会ができず、入った1年生も2人のみ。6月から練習が再開となり代替開催を目指したものの、開催されませんでした。ウェブ総文には参加したかったのですが、劇中使っているBGMが洋楽なので使えず、どうするかと思っていたところ、同じ全国大会の出場校・津島北高校から声をかけられて合同発表会の場の模様を収録しました。ただ、音声は使えないため作品の一部はミュートされ、その分のセリフは字幕で補われています。

あらすじ

貧乏浪人がくず屋に売った仏像から小判が出てきたことをきっかけに始まるストーリー。善人が互いの善意を押し付けあう結果、翻弄されるくず屋のおかしみ、そして大団円に向かうストーリーに引き込まれます。落語はほとんどの登場人物が男性ということもあり、劇中にとある表現を用いることで女性部員たちが舞台上に登場します。落語の立体化という難しい表現にチャレンジしながら、しっかりとエッセンスが具現化されている作品です。

作品はこちらからご覧いただけます。

https://www.websoubun.com/dept/theater/page/007.html

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