近畿ブロック代表・洛星高校『とりでのむこう』(作、寺越玄)
演劇部概要
京都にある私立の中高一貫男子校で部員は高3生を入れて15人。稽古は校内にある講堂でやっています。演劇部は創部60年目ですが、本作『とりでのむこう』で初めてのブロック大会、そして初めての全国大会となりました。
寺越君と洛星演劇部
全国大会に出場する脚本の多くが顧問の先生が書く中、高校生が書いた脚本で全国に来た3校のうちの1校です。顧問の片山先生によると、脚本を書いた寺越君は中1で演劇部に入部し、中2から脚本を書くようになったといいます。当初は部員が少なかったそうですが、寺越君を中心に徐々に仲間たちを増やしていきました。彼らはこれまではやっていなかった演劇合宿をするようになったりと超積極的。寺越君はその勢いで近畿の創作脚本コンクール優秀賞、現在は京都に拠点を置く人気劇団MONOを主宰する土田英生さんの戯曲講座に通っています。
あらすじ
ある高校を舞台にした物語。若い教師がSNSで女子高生のふりをして、生徒たちを絡むなか、次第にSNSを通して生徒たちの抱える悩みが明らかになっていく、なりすましコメディです。男子校演劇らしく思いきり笑えるけれど、しっかり余韻も残るストーリーにすっかり魅了されました。笑いのポイントや、でも笑いに行き切らない感じがどことなく京都の劇団が出す空気感を感じさせ、高校演劇にも地方ごとに個性があると実感させられます。著作権の関係で音楽部分はミュートされていますが、エンディングでは思わず、『レミゼラブル』の『民衆の歌』を口ずさまずにはいられません。
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