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交付税で起業人活用のはずが予備費450万円でHIS社員を受け入れ…ウソまみれ安中市行政

■2023年度の最後の週末である3月30日土曜日の朝日新聞朝刊に、安中市役所を巡るとんでもない報道記事が掲載されました。起床後、同紙の朝刊を開き、群馬版を見ていっぺんに目が覚めた安中市民も少なからずいたのではないでしょうか。

**********朝日新聞2024年3月30日

安中市、国の支援受けられず 民間企業との地域活性化制度

2年間の経費450万円全額負担

 安中市に旅行大手「エイチ・アイ・エス」(HIS)から派遣されている職員の勤務状況が、市が活用しているとしていた国の制度の条件を満たしていなかったことがわかった。このために国からの支援がまったく受けられず、2022年4月からの2年間でかかった経費約450万円を市が全額負担することになった。市は「(補助の)対象外だったことに後から気付いた。致し方ないこと」としている。

↑2022年4月28日、安中市は総務省の「地域活性化起業人」制度を活用し、HISの社員を非常勤職員として迎えると発表した=HISのホームページから↑

 安中市が活用しようとしていたのは「総務省の「地域活性化起業人」制度。企業人材派遣制度とも呼ばれ、観光やデジタルなど専門知識を持った民間企業の社員を、自治体が職員として迎えることを促すものだ。企業と協定を結び自治体が総務省へ申請して対象と認められれば、派遣された社員の給与や発案したkぃ核の経費について、1人あたり最大で年間560万円が特別交付税として自治体に支給される仕組みだ。

 市とHISは22年4月28日に、この制度を活用して同社員を非常勤職員として迎え入れる協定を締結したと発表した。同年6月の市議会でも、当時の産業環境部長が「制度を活用している」と答弁していた。

 市によると、当初は自治体と企業などの専門人材をマッチングさせる内閣府の制度を利用してHISから職員を受け入れることにしていた。ただ、この制度には交付税措置などはなく、給与や企画に対しての補助がある総務省の制度の併用を検討したのだという。

 総務省によると、市からは「HISと協定を結び、来年度から社員を週2日非常勤職員として迎える」という内容で、特別交付税の申請があった。ただ、週2日の勤務が「受け入れ自治体の開庁日の半分以上を同自治体区域内での業務に従事する」という交付税措置の条件を満たしていなかったため、市に「このままでは対象外」と伝えたという。その後、市から条件を改めた申請はなかった。

 非常勤職員は、2年間で秋間梅林や磯部温泉といった観光地活性化などの業務をし、今年の4月にHISへ戻るという。

★「後から気づいた」「致し方ないこと」★

 安中市は「勤務日数を調整した結果、交付税の対象外だったことに後から気づいた」としている。その後、条件を改めなかったことについては「調整の上で勤務日数なので、増やすことは難しかった」

 その上で、「市としては総務省の制度を使ってHISから職員を迎えられた。致し方ないことだ」とし、現在でも制度を活用しているとの認識を示した。また、費用面も含めて問題はないとの考えだという。

 総務省によると、制度は特別交付税を受けることを「前提」としたもので、安中市を除くほぼ全ての市町村が交付税を受けているという。同省のホームページにある22年度の「起業人の活躍先」には、群馬県は中之条町と嬬恋、高山、片品の各村が記載されているが、安中市はない。

(杉浦達朗)

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■この記事のサブタイトルにもある「後から気づいた」「致し方ないこと」を平然と言いのけるあたり、さすが29年前に、地方自治体としては空前絶後、前代未聞の51億円事件の舞台となった安中市ならではの独自の「言い草」です。

 「致し方ない」とは、「仕方ない」の丁寧語とも言われますが、取材記者に追及に対して、シドロモドロで、「仕方がない」を丁寧語で表現して、なんとかその場をとりつくろうとした様子が目に浮かびます。

 しかし、行政手続き上、虚偽(ウソ)があったにもかかわらず、その事実を直視せず、「後から気づいた」などと出まかせを言い、さらに「致し方ない」などと言い訳することは、自らの不正支出手続きについて、真摯に反省し是正するつもりがないことを、公表したのも同然です。

 このような体質に陥っている安中市の現在の様相は、29年前に発覚したあの忌まわしいタゴ51億円事件当時のどうしようもない安中市政の体たらくを想起させます。

■「致し方ない」と言う表現について、さらに考察してみましょう。

 これは、「仕方がない」とか「やむを得ない」という意味を謙譲語の「致す」を使って丁寧に表した言葉です。何か物事をやるとき、物事をどうにかする方法ややり方がない状態のことです。例えば、天候や天変地異、予測できないような突発事変や先方の都合などの不可抗力により、自分の努力ではどうにもならないとき、その状況を受け入れるしかないときに使います。

 このように「致し方ない」は「他にどうすることもできない状況である」という意味を持つため、「満足はしていないが、どうしようもないので受け入れる」といったニュアンスを含みます。基本的にネガティブな印象を与える言葉でもあります。

 また、自分の行いによる結果に対して、実際にはもう少し努力できる状況であったにもかかわらず「致し方ない」と表現した場合は、それを聴いて、「やる気がない」と感じたり、「無責任だ」と思ったりする人もいるでしょう。

 今回の指摘を記者から受けた安中市の回答は、まさにこれに当てはまります。

■記事によれば、安中市は、当初から不認可と承知している総務省「地域活性化起業人制度」を「活用」とうたい、事実ではないのにあたかも同制度を活用したかのような公文書を作成し、この事案の執行にあたって予算措置(稟議・決裁)を行わず、安中市予算から、決裁なく予備費で不適切な執行を行なったことがわかります。

 なぜ、安中市は、このようなことをしでかしたのでしょうか。当会の調べでは、「当時の副市長の強い指示があった」という関係者の証言を得ております。すなわち、遅くとも令和3年11月までに、市の観光事業の進行を図るため、国の支援制度である総務省の地域活性化起業人制度を活用するよう、指示されたというのです。

 このため、7社に声をかけてヒアリングシートを送り、その回答内容を踏まえて、株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)を含む2社に絞り、オンラインで面接をして、最終的にHISの職員を受け入れた経緯が明らかになっています。

 ところが、HISがヒアリングシートに記載していた出勤可能日数が、総務省が制度の活用に必須条件としている開庁日の半分(令和4年度まで。令和5年度以降は、「半分以上」)となっていたため、選定先として不適格だったことは、その時点で安中市も承知していたはずです。

 にもかかわらず、安中市は、令和4年4月27日の令和4年度第1回定例記者発表で、デカデカとこの虚偽情報を宣伝したのでした。

**********安中市HP 2022年4月27日

https://www.city.annaka.lg.jp/uploaded/attachment/8564.pdf

地域活性化起業人制度による民間人材の受け入れについて

 市は、観光振興などを推進するため、令和4年5月から民間人材の受入れを行います。

 国の地域活性化起業人制度(地方創生人材支援制度併用)を活用し、株式会社エイチ・アイ・エスと派遣協定を締結します。

 地域活性化起業人制度は、民間企業等の社員を一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を活かしながら地域独自の魅力や価値の向上等につながる業務に従事してもらい、地域活性化を図る取組です。

 協定式につきまして、下記のとおり実施いたします。

   日 時 4月28日(木曜日)午後2時

   場 所 安中市役所 本庁舎2階 203会議室

   協定先 株式会社エイチ・アイ・エス

       (代表取締役 矢田素史)

 問合せ 総務部職員課(内線:1030)

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 この発表を受け、翌4月28日に安中市はHISと協定式を行い、それを広報で市民に伝えました。また、協定相手のHISも、自社のホームページにこの協定について大きく掲載しました。

**********㈱エイチ・アイ・エスHP 2022年4月28日

https://www.his.co.jp/news/12060.html

群馬県安中市 「地域活性化起業人制度」による派遣に関する協定を締結

アフターコロナにおける観光振興による地方創生と観光消費拡大にむけて

 株式会社エイチ・アイ・エス(本社:東京都港区 以下、HIS)と群馬県安中市は、総務省が推進する「地域活性化起業人制度」を活用し、HIS より群馬県安中市へ人材を派遣する協定を締結し、本日4 月28日(木)に調印式を執り行いました。

↑(左から 安中市産業環境部長 大竹将夫氏、 副市長 粟野好映氏、市長 岩井均氏、HIS執行役員 高野清、官公庁・自治体営業グループ統括部長 小林健二、五日市一訓)↑

 安中市は群馬県西南部に位置し、江戸時代より中山道の宿場町として栄えた歴史のある街として、市内には温泉記号「♨」の発祥地である「磯部温泉」や、日本の近代化を支えた鉄道遺産の観光地「碓氷峠鉄道施設」、そして、ぐんま三大梅林である「秋間梅林」など自然豊かな観光資源にも恵まれております。

 このたびの協定により、HISと安中市は、観光資源の開発、磨き上げを強化項目とし、観光と・食の魅力を国内外に発信し、国内外旅行の需要回復、持続的に魅力ある地域の活性化を目指し、相互連携と活動を推進いたします。

 HISは、海外60ヶ国に展開するHISの集客・送客機能と、これまで事業を通じて培った経験を活かし、安中市の観光振興と、地域の様々な課題解決に取り組んでまいります。

<協定に基づく取り組み内容>

(1) 観光の振興及び安中ブランドの発信に関すること

(2) 安中市産品の販路拡大に関すること

(3) その他地方創生の推進に関すること

派遣社員略歴 ※非常勤にて派遣

五日市 一訓 (いつかいちかずのり) (法人営業本部 官公庁・自治体営業セクション)

2006年 入社 営業所にて個人旅行商品の販売に従事

2010年 法人営業本部にて主に団体旅行商品の販売に従事

2016年 群馬営業所長に着任後、法人営業と並行して地方創生事業に従事

2021年 官公庁・自治体営業セクションにて群馬県を中心に地方創生事業に従事

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■この時、令和4年4月17日投開票の安中市長選で現職の茂木英子候補をダブルスコアで破り、翌18日に市役所で当選証書を受け取り、4月25日に初登庁を果たしたばかりの岩井均市長が、そうした不透明な経過について知ってか知らずか定かではないものの、もちろん当然知らされていなければならないはずですが、HISとの協定式で誇らしげに記念撮影写真に納まっています。

 ここで不可思議なのは、特別地方交付税措置が定義づけられている総務省の地域活性化起業人制度において、安中市は、この制度の活用資格がないまま、なぜHISの社員を非常勤職員として受け入れ、その人件費を支払えたのか、ということです。

■安中市は、前述の通り、29年前に土地開発公社を舞台にした巨額詐欺横領事件を起こした自治体です。当時、公文書の取扱いはデタラメの極みで、市長印や理事長印が勝手に押された文書が飛び交い、課税台帳も改ざんされるなど、無法状態にありました。

 あれから29年が経過した現在、同様の事情が市役所内で起きているとなると、第二のタゴ事件の温床が既に出来上がっている状況にあると言っても過言ではありません。

 タゴ事件では、元職員多胡邦夫だけがしょっぴかれ、共同正犯同然だった多くの市幹部、上司や同僚職員、政治家、反社勢力関係者などは、いずれも罪を問われませんでした。

 そのため、公文書の取扱いに対して、コンプライアンスが徹底しきれず、再び市役所が29年前の状況に陥っていることは、重大事態と言えます。

 引き続きこの問題について、当会としてもフォローしてまいります。

【市民オンブズマン群馬・ひらく会事務局より】

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