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【仰天報道!】磯貝建材破産を「待ってました」とばかりにM&A承継SPCが破産…闇の連鎖が示す深淵!!

↑「磯貝建材を買収するために設立された投資目的会社」が破産したことを報じた6月18日上毛新聞朝刊↑

■5月31日をもって事業を停止し、自己破産申請準備中の磯貝建材ですが、昨年2月に同社のM&Aを仕掛けた事業承継JP1株式会社という特定目的会社が、後を追いかけるように、6月7日付で前橋地裁から自己破産開始決定を受けたことが、地元紙により報じられました。磯貝建材の自己破産については以下のブログ記事を参照ください。

〇2024年6月8日:【速報!】シナリオどおり?磯貝建材が破産手続開始…情報公開に及び腰の群馬県が示す隠蔽体質の悪質性

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/f4dd55430cdbe2444a7909b90d69b61b

 さっそく上毛新聞の6月17日のWEB記事と同18日の朝刊記事を見てみましょう。殆ど同じ文章ですが、微妙に異なっていることがわかります。また、記事の中で「同社」という言葉が、どの事業者を指しているのか、曖昧であることが気にかかります。

**********上毛新聞2024年6月17日13:19

経営コンサルの事業承継JP1(群馬・前橋市)が破産 磯貝建材(安中市)の関連会社 負債3億6000万円

 経営コンサルティングの事業承継JP1(群馬県前橋市)が前橋地裁から破産開始決定を受けたことが17日、分かった。7日付。帝国データバンク群馬支店によると、負債総額は約3億6000万円。

 同社は2022年12月、都内の投資会社が、コンクリート製品製造の磯貝建材(安中市)を買収するために設立した特定目的会社(SPC)。23年3月に買収し、同社から経営指導料を得ていた。

 しかし同年2月に磯貝建材が製造した側溝で、県が定める規格と異なる鉄筋が使われていた粗悪品が見つかった。調査の結果、偽装が判明。売り上げが激減して経営指導料が得られなくなり、資金繰りが行き詰まっていた。

 磯貝建材は24年5月末に事業を停止し、現在自己破産申請を準備している。事業承継JP1は買収資金の一部を磯貝建材から借り入れており、同社から破産を申し立てられていた。

**********上毛新聞2024年6月18日

磯貝建材を買収の事業承継JP1破産 負債3億6000万円

 経営コンサルティングの事業承継JP1(前橋市南町、福士裕社長)が前橋地裁から破産開始決定を受けたことが17日、分かった。7日付。帝国データバンク群馬支店によると、負債総額は約3億6千万円。

 同社は2022年12月、都内の投資会社が、コンクリート製品製造の磯貝建材(安中市)を買収するために設立した特定目的会社(SPC)。23年3月に買収し、同社から経営指導料を得ていたが、同年2月に同社が製造した側溝で、県が定める規格と異なる鉄筋が使われていた粗悪品が見つかった。

 調査の結果、偽装が判明し、売り上げ激減に伴い経営指導料が得られず、資金繰りが行き詰まった。

 同社は今年5月末に事業を停止し、現在、自己破産申請を準備している。事業承継JP1は買収資金の一部を磯貝建材から借り入れており、同社から破産を申し立てられていた。

**********

■先日の磯貝建材の自己破産の時と同じように、国内の倒産情報・自己破産情報、政治・経済情報などを配信するニュースサイトが、この特定目的会社の破産について、17日に報じています。

**********JC-NET 2024年6月17日

事業承継JP1(株)/破産手続き開始決定 <群馬>

 「事業承継JP1(株)」は(群馬県前橋市南町3丁目***)に所在している企業です。

 同社は、令和6年(2024年)6月7日午前10時に前橋地裁民事部破産再生係にて破産手続きの開始決定を受けました。(官報より参照)

 この破産手続きに関しては、選任された金井勇樹弁護士が破産管財人として担当することが決定されています。

 同破産管財人によって行われる破産手続きに関して、債権者に対する届出期間が設定されています。この期間は、令和6年7月19日まで。また、財産状況に関する情報を報告するための調査も実施されます。この調査に関する報告集会や一般調査、廃止意見聴取、計算報告などの期日は、令和6年9月24日午後1時15分となっています。

 当該事件は、令和6年(2024年)に発生したもので、番号は(フ)第153号となっています。

**********

■立て続けに起きた破産の連鎖ですが、「事業承継JP1株式会社」とか「特定目的会社(SPC)」という普段聞きなれない言葉が並びます。そこで、報道その他を調べてみた結果をまとめてみました。

 まず「事業承継JP1株式会社」ですが、群馬県前橋市南町3丁目に所在していた経営コンサルティングの特定目的会社で、2022年12月に設立されましたが、2024年6月7日に破産手続きの開始決定を受けています。破産管財人として伊勢崎市太田町851-22の金井法律事務所の金井勇樹弁護士(電話0270-27-7288)が選任され、債権者に対する届出期間は2024年7月19日までと設定されており、財産状況に関する報告集会などの期日は2024年9月24日13:15予定ということまで決まっています。

 破産管財人として選任された金井勇樹弁護士が業務として取り扱う分野は、借金・債務整理、交通事故、離婚・男女問題、不動産・建築、遺産相続、労働問題、企業法務・顧問弁護士、犯罪・刑事事件、債権回収とあるので、債務整理に関わる本件を担当することになったようです。

■また、事業承継JP1株式会社の福士裕・社長のプロフィールは、LinkedIn等によると次のとおりとなっています。

↑福士裕CEO。LinkedInより。↑

 1987年に東京大学経済学部卒業後、同年に日本興業銀行(興銀とも呼ばれ、最末期の2000年からはみずほフィナンシャルグループの傘下に入り、みずほコーポレート銀行を経て、みずほ銀行の前身行の一つ)に入社し、1991年から93年にかけて米国カリフォルニア州立バークレー校でMBA取得後、興銀証券初期メンバーとして参画。当初は事業法人、金融法人向け外債仕組債営業に従事しました。

 2000年、みずほ証券に合併後は一貫して投資銀行業務を担当。DCM、ECM、シンジケーションを中心に資本市場における専門知識を蓄積するとともに、トータル12年にわたるロンドン、香港での数多くの日本企業によるクロスボーダー調達案件を通じた投資銀行業務経験を有し、加えて2011年にみずほ証券ロンドン現法副社長、2015年4月~16年3月にかけて同証券グローバル資本市場グループ長、2016年4月から17年3月までみずほ証券香港現法副会長と同証券シンガポール現法会長(17年9月まで)を歴任しました。

 その後、2017年4月からSBI証券投資銀行本部執行役員を経て、2019年12月20日にサザンクロス・キャピタル㈱を設立し代表取締役に就任しました(なお、同社は2022年10月26日に㈱ワイアールキャピタルに社名変更し、2024年3月6日に閉鎖登記)。そして、2022年5月には事業承継JAPAN㈱を立ち上げ、同年8月から同社代表取締役CEOを務めるとともに、㈱ワイアールパートナーズの代表取締役CEOも兼務するなど、通算で投資銀行ビジネスに30年以上従事して、現在に至っています。

↑サザンクロス・キャピタル㈱の第3期決算公告(令和3年12月31日現在)↑

 また、事業承継JAPAN株式会社(法人番号: 2010401167237、会社法人等番号:010401167237、本店所在地:〒160-0023東京都新宿区西新宿8丁目1番2号PMO西新宿3階)は、2022年5月9日に設立され、その直後の同年5月30日に本店所在地を東京都港区虎ノ門4丁目3番1号に変更しました。さらに同年8月24日に、本店所在地を東京都港区虎ノ門4丁目3番1号城山トラストタワー27階に移した後、2023年7月31日に東京都新宿区西新宿2丁目1番1号新宿三井ビルディング11階に変更しています。

 事業承継JAPAN㈱に関する情報は、上記以外はよくわかりません。しかし、事業承継は既にビジネスモデルとして、近年もてはやされています。たとえば、テレ朝の報道ステーションのスポンサーの一つとなっているM&Aキャピタルパートナーズ㈱があります。

 Wikipediaによると、同社は、2005年(平成17年)10月に設立され、事業内容はM&Aのアドバイザリーや仲介を主な業務とし、代表取締役社長は中村悟氏で、2022年9月30日現在の資本金は28億円、2022年9月期の売上高は207億6百万円(連結ベース、以下同様)、営業利益97億13百万円、経常利益97億66百万円、純利益67億94百万円、純資産325億98百万円、総資産399億13百万円(2022年9月期)、従業員数は連結で229名、単体で159名となっています。

 同社はM&A仲介大手として東証プライム市場上場企業で、その特徴として着手金無料、専門コンサルタントによる専任担当制を掲げており、より多くの企業がM&Aをひとつの選択肢として検討できる体制を整えていて、子会社には、日本のM&A業界の草分け的存在である株式会社レコフと株式会社レコフデータ、また、企業再生を得意とするみらいエフピー株式会社があり、グループによるシナジー(相乗)効果を効かせた様々な案件を取り扱っています。

■今回の磯貝建材を巡る“連鎖”倒産事件ですが、いろいろ不可解な点があります。まずはこの事件の時系列を見てみましょう。

 冒頭に示した報道記事の情報によれば、磯貝建材を巡るM&A(Mergers and Acquisitionsの略で、企業の合併や買収を指す。「合併」は二つ以上の企業が一つの企業になること、「買収」はある企業が別の企業を買うこと、「資本提携」も含まれることがある)の時系列は、次のとおりとなります。

●2022年12月

 都内の投資会社が磯貝建材を買収するために特定目的会社(SPC)として事業承継JP1㈱を設立した。

(※この「都内の投資会社」が買収後の磯貝建材の経営陣を指すのか、事業承継JP1㈱の社長の福士裕氏が経営する事業承継JAPAN㈱を指すのか、定かでない)

●2023年02月

 磯貝建材製造の側溝の偽装が、甘楽町における県営林道整備事業で発覚した。

(※当会は、この発覚から2023年9月1日の山本知事の偽装側溝調査結果の公表までの経緯について、2023年11月1日に県土整備部に情報開示請求をしているが、未だに側溝の規格に関するごく一部の情報が開示されただけで、発覚から県内の偽装側溝使用状況調査、破壊検査、非破壊検査など重要な情報は依然として不開示のまま)

●2023年03月

 都内の投資会社が、コンクリート製品製造の磯貝建材を買収した。買収に当たって、事業承継JP1は買収資金の一部を磯貝建材から借り入れた。買収後、事業承継JP1は「同社」から経営指導料を得ていた。

(※「都内の投資会社」とは、磯貝建材の現社長の長谷川裕貴氏が持っていた会社なのか、事業承継JP1のことなのか定かでない。また、「同社」とは、磯貝建材を指すと思われるが、そうすると、磯貝建材から経営指導料の名目で、カネが事業承継JP1に流れていたことになる)

●2024年05月

 同月末までに、磯貝建材が事業を停止した。JC-NETの倒産要約版によると、以下のとおり。

 破綻企業名:磯貝建材(株)

 本社地  :群馬県安中市簗瀬620-1

 代表   :長谷川裕貢

 設立   :1937年4月(昭和12年/業暦:87年)

 資本金  :1000万円

 事業   :コンクリ二次製品製造販売(U字溝、歩道用ブロック、側溝蓋など)

 売上高  :2021年7月期、約8.5億円

       2023年7月期、約4億円

 破綻   :2024年5月31日、事業停止/自己破産申請の準備中

 委託弁護士:伊藤博昭弁護士(TH総合法律事務所)、電話:03-6911-2500

 裁判所  :未定

 負債額  :約2億円

 破綻事由 :同社はコンクリ二次製品メーカー。U字溝、歩道用ブロック、側溝、側溝蓋など製造していた。2023年3月に現代表が創業家から買収、しかし、同年に群馬県発注工事の側溝で県の指定以外の鉄筋が使用されていることが発覚、同年9月に県が40ヶ所で鉄筋の大きさなどに偽装があったとして公表し、同社の信用は失墜、受注は激減し、先行きの見通しも立たないことから、今回の事態に至った。追、買収前から鉄筋偽装が常態化していたようだ。

●2024年06月

 群馬県前橋市南町3丁目にある事業承継JP1㈱が、6月7日午前10時に前橋地裁民事部破産再生係で破産手続きの開始決定を次のとおり受けた。

 令和6年(フ)第153号

 債務者  事業承継JP1株式会社(群馬県前橋市南町)

 1 決定年月日時 令和6年6月7日午前10時

 2 主文 債務者について破産手続を開始する。

 3 破産管財人 弁護士 金井勇樹

 4 破産債権の届出期間令和6年7月19日まで

 5 財産状況報告集会・一般調査・廃止意見聴取・計算報告の期日 令和6年9月24日午後1時15分

 前橋地方裁判所民事部破産再生係

■以上の一連の時系列の流れを見ると、いくつかの疑問が沸いてきます。

【疑問1】

 2023年2月に偽装側溝が公共事業で使われていたことが発覚したのに、なぜ、翌月の3月に事業継承JP1と長谷川裕貴氏はM&Aを実行したのか?

【疑問2】

 群馬県県土整備部は2023年2月の甘楽町での林道工事で発覚した磯貝建材製造の偽装側溝について2023年9月1日の山本一太知事による記者発表までこの事件を公表しなかったが、県土整備部内では情報共有されていたはず。他方で、磯貝建材の創業者一族である旧・経営者や工場長ら幹部らは、昔から不正な側溝を製造し納入していたことは自覚していたはず。ひょっとして、偽装製品がバレるリスクを想定して、М&Aによる事業売却を企て、実際に県にバレたため、急遽、売却に踏み切ったのではないか?

【疑問3】

 となると、2023年2月の磯貝建材製の偽装側溝が甘楽町の林道現場で発覚し、それが県土整備部で共有された際に、何らかのルートにより磯貝建材の旧・経営者らに、その情報が伝えられたのではないか?

【疑問4】

 そうすると、群馬県が2023年2月に甘楽町での林道工事で磯貝建材製の偽装側溝発覚から、同年9月1日の山本知事による本件の記者発表までの経緯を示す公文書開示請求を、当会が11月1日に行ったところ、いまだに県土整備部が開示を拒んでいるところから、上記の疑問1から3について、当会をはじめ納税者・県民に知られると困ることがあるのではないか?

■この数年来、М&A(企業の合併・買収)は中小企業の事業を継承する有力な手段として脚光を浴び、それをビジネスモデルとして手掛けるM&A仲介各社は急成長してきました。それと共に、M&Aに絡む事件も最近メディアを賑わすようになっています。

↑一般的なM&Aの手順の流れ。↑

 たとえば、日本M&Aセンターホールディングス(HD)は、業界を切り開いたパイオニアであり、シェアトップですが、同社は2021年12月に売上高に関する不適切会計が発覚し、それをきっかけに、急成長を支えてきた有力幹部が次々と退職するなどして、同社の体力は急速に弱まりました。

 モルフォ事件は、今から9年前の2015年12月に、画像処理およびAI(人工知能)技術の研究・製品開発型企業の㈱モルフォが、デンソーと業務提携すると公表した際、㈱モルフォの役員及び社員らが、この重要事実を事前に知り、同年10月に従業員持ち株会への拠出金を増額するなど、インサイダー取引をしたとして、証券取引等監視委員会から課徴金納付命令の勧告を受けました。

■このように、M&Aは影の部分も背負っていることが分かります。今回の磯貝建材の事件は、単なる側溝の偽装ではなく、M&Aを偽装した前代未聞の「経済の大事件」となる展開を孕んでおり、29年前、安中市土地開発公社を舞台とした忌まわしい大事件、すなわち、安中市民が今での「タゴ51億円事件」として語り継ぐ、空前絶後の巨額詐欺横領事件に匹敵する可能性すら予感させます。

 タゴ事件では、安中市役所・土地開発公社をはじめ、市長ら歴代幹部、上司、同僚、家族、親戚縁者、骨董屋、地元事業者、愛人、ヤクザ、政治家、群馬銀行、甘楽信金、群馬県企業局らが複雑多岐に絡んでおり、当会は、共同正犯の存在を、さまざまな証拠を入手して警察に通報しました。ところが最終的に、警察は、元職員の単独犯行と認定して幕引きしました。

 疑獄事件とは、犯罪事実が曖昧な事件を指す言葉であり、政・官・財界に波及する利権関係事件の総称として使われる呼び方です。同時に、多額の贈収賄事件を指すことが多く、役所の幹部らが絡んでいると思われる事件が該当します。

 この意味で、安中市のタゴ51億円事件は、決して犯罪事実が曖昧ではなく、その証拠は警察の捜査でも山ほど集まったはずですが、なぜか大疑獄事件には発展しませんでした。

■しかし、この磯貝建材を巡っては、同社はもとより、M&A仲介者・投資会社、群馬県県土整備部、安中土木事務所、安中市幹部、地元金融機関、地元コンサル会社、埼玉県コンクリート製品協同組合など、多数の幅広い分野の登場人物を巻き込んでおり、「大疑獄事件」に発展するかどうかは、ひとえに捜査当局の出方次第と言えます。

 29年前のタゴ51億円事件では、結局、タゴと共犯同然の群馬銀行に対して、安中市は土地開発公社の連帯保証人として、毎年2000万円ずつ、あと78年間かけて15億5千万円を和解金の名目で返済するハメになりました。

 今回の磯貝建材を巡る偽装側溝事件では、長年にわたる偽装側溝の製造と出荷により、巨額の不当利得をマネーロンダリングすべく、M&Aという新手の手法が使われており、はやくも連鎖倒産のかたちで、資金洗浄する動きが表面化しました。

■今後の動きは、引き続き予断を許しませんが、当会の奮闘空しく29年前に元職員の単独犯行として不発に終わったタゴ51億円事件の教訓を生かして、積極的に警察や検察への告発や、住民監査請求による住民訴訟などの手段を活用して、真相の究明、責任の明確化、そして再発の防止をはかってまいりたいと存じます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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