お前が整ったんか?
バイト先に少し変わり者の大学生、眼鏡くんがいる。
彼は自分でも「僕、普通が分からないんですー」と周りと合わないことを自覚しているようだ。
眼鏡くんとの初対面の時に、「何が好きなんですかー?」と趣味を聞いてみると
「僕、漫画やアニメが好きなんです。」
「そうなんですねー僕もワンピースくらいやったら漫画読みますよ。」
「あー僕、ワンピース好きなだけで漫画やアニメ好きって言う人嫌いなんですよー」
なんじゃコイツ。会話下手やなぁ…そう思った記憶がある。
そんな彼に初めて自分の出るライブを見にきてもらったことがある。ライブ終わりに色々話をする中で、気づけば今では一緒にサッカー観戦に行くほどの間柄になった。
バイト中にたわいもない会話を交えることも増えてきた。
ある日、その雑談の話題が"特技"のことに進んでいった。
芸人という仕事をやる上で頻繁に聞かれるこの質問。そう思えば、他人の特技からは何が出てくるのかが気になってきた。そして僕は彼に聞いてみた。
「〇〇君の特技って何なん?第一印象で相手に煙たがられること?」
「まあー確かにそれは間違いないかと思いますねえ…」
やっぱり自覚あんねやそこ。改善せえや。
「あれですね、好きなアニメシリーズのイントロクイズですかね。」
「あーなるほどね」
「逆にナンジョウさんは特技って何ですか?」
はいきたこっちのターン。自分から投げかけた質問なので、リターンがくるのは当然のことだったけど。
そこで思いついた特技は、"謎かけ"!
僕は少しだけ自信がある。流石にねづっちさんほどのスピードクオリティは出せないが、スピードだけならまだ自信があった。
せっかくなので、その特技が本物かを彼に見せたくなってしまった。
「俺謎かけ得意やねん。」
「あ、そうなんですか?謎かけですか。」
「そもそも謎かけって何か分かってる?」
「いや、あまりちゃんと理解してないですね。」
おいマジかよ。コイツ謎かけ知らんのかい。
まあでもそういう人もいるよね。
「謎かけっていうのは、例えばお客さんから何でもいいからお題をもらって、それとかかりそうなものを自分中で考えて、思いついたら"整いました!"って言って"〇〇とかけまして〇〇と解きます、その心は〇〇でしょう!"と2つの言葉にかかる共通点などを即興で探して上手いこと言うってやつやん。」
「あー見たことあります。」
「だからお題を他の人からもらわなあかんねん。」
「なるほど……じゃあお題言わせてもらっていいですか?」
「いいよ!なんでも言って!」
そして、彼の口から出されたお題…
「じゃあ………"自転車"と"廊下"でお願いします‼︎」
………なんで2つ言うてまうねん。
難易度爆上がりしてもうてるやんけ。
縛りキツイって。
1つお題をもらって、こちら側で解いてその心は〇〇、ねづっちです!やろ。
お前が整ったことなってるやんけ。
何を聞いててんコイツ。
ルールをあまり理解していなかった眼鏡くん。もう一度謎かけを説明してようやく理解してもらった。
「だから、お題は1つでいいのよ。」
「分かりました、では"廊下"でお願いします。」
"廊下"とかけまして"小劇場"と解きます。
その心は、どちらも踊り場が狭いでしょう。
ほら、さっさと座布団持ってこんかい!
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