喉の病気の話
表に出す話かどうか悩みましたが、基本的に配信してなんぼの人なので、それすらもネタとして使いたいと思ってしまう性分です。
ちなみに結論から言っておくと、症状はかなり改善されたので、現在は前向きな方向ではあります。
実は、今年に入って喉の病気を患いました。
「声帯結節」という症状と「声帯萎縮」という症状の合わせ技だそうです。
声帯結節
これは、声帯に、指で言うところのペンダコみたいなものが出来る症状のことです。要するに喉にタコが出来たという話ですね。
声帯というのは開いたり閉じたりするものですが、閉じた時に震えて音が出ます。開いた時には息が通る仕組みです(ものすごいザックリ説明)
なので、声を出す=声帯が触れ合ってるということなわけですが(声出しながら喉を触ると震えるのが分かるはずです。息だけ吸うと震えません)喉だって使い過ぎると支障が出るもの。
もちろん、たくさん声を出しててもそういう症状にならない人もいます。
でもそういうものが声帯に出来るという症状が起きてしまいました。声帯にタコが出来るということは、声帯がピッタリ閉じなくなるということです。するとどうなるかというと、声が掠れるようになります。
ある時突然、自分がものすごくハスキーボイスになっていたことから、病気が発覚しました。
声帯萎縮
萎縮という文字通り、声帯が萎縮する症状です。声帯が萎縮すると、真っ直ぐだった声帯が弓なりになってしまいます。
その結果、やはり声帯がピッタリ閉じることが出来なくなり、ボイスがハスキーすることになるわけです。
主な原因は加齢だそうですが、まだそうなるほど加齢してるわけでもない(笑)ので、別の原因があるかもしれないとのことですが、一番は急激に痩せた(物理)ことも要因にあるのではという指摘がありました。
新年度になってから環境が変わり、ストレスも多かったため、10キロ以上痩せてしまいました。もしかしたら影響があったのかもしれません。
何が問題になったのか
お医者さんの見立てては、こうです。
「恐らく、声帯が痩せてしまったことにより声が出づらい状況になっていたにも関わらず、無理に出そうとして、変な所で異様に擦れる形になり、結節(タコ)が出来てしまったのではないか」
症状を緩和するためには何とかしなければならないのですが
声帯結節→出来るだけ声を出さない
声帯萎縮→出来るだけ声を出す
という矛盾とぶつかることになってしまいました。結果としては、まずは声を出すのを控えて結節を直してから、声を少しずつ出して萎縮した声帯を鍛えるという方向となりました。
結節はこれ以上ひどくなると手術案件、とのことでしたが、繊細な部分なので、成功しても術後はやはり怖いです。元の通りではなくなるかもしれません。
今ならまだ手術案件までは行かないで済んてるということでしたので、大人しく治療に専念することになりました。
初めての発声の悩み
こんなことを言うと傲慢だと思われるかもしれませんが、実は自分自身が発声している上で、深刻に悩んだことはありませんでした。
違う意味での悩みは持ったことがありますが、どちらかといえば声量で押すタイプであり、それは声量があると自覚しているからやれることでもあります。声量に自信がないという所からスタートしたわけではなく、それなりに出ると思っているから怖がらずにやれたのではないかと思います。
そんな自分にとって「思うように声が出ない」というのは、絶望以外の何物でもありません。
現在は、症状としてはかなり改善された状態になったのですが、それは「出来るだけ発声しない」という生活をするようにしてきたからです。
お医者さんには「(読みでの)声の出し始めにどうなるかが心配かな」と言われたので、読みの練習をし始めたらまた症状が出るんじゃないか、などの大きな不安があります。
色々相談してきましたが、まず少なくとも、今までのような読み方(己の声量の能力に頼っただけの読み方)はやめるべき、となりました。今までの読み方をしていたら、確実に再発すると思われます。
と、なると、声帯に負担をかけない発声方法について考え直さないといけないということになります。
残念ながら近場にそういう専門の人がいるわけではないので、色々な発声方法について調べながら模索している所です。
それがうまく行くのかどうかも分かりませんが、要するに「今まで160km近い豪速球ストレートに頼ってきたけど、そんなスピードは出せなくなってしまったので、変化球も覚えないといけなくなったピッチャー」みたいな状態なので、良い変化球を見つけるしか無いでしょう。
それ以外の悩み
何が悩みになるかというと、そもそも私は読みだけやっている人なので、選手としては何にも活躍していないということです。
そんな人が読みも出来なくなったら、何の価値も無い人になっちゃうんじゃないだろうか?なんてことを、全く考えないかと言われたらウソになります。
自分なんて必要とされなくなっちゃうのかな、というネガティブなことを、時々ふと考えてしまいます。
でも、必要か必要でないかは自分が決めることではありませんから、それは自分の行いとか、周りの人とか、環境によるんだろうと思います。ので、考える時間とエネルギーはそれなりに無駄ですが、まぁ、弱気になる時もありますよね。だってにんげんだもの。
一つだけ見えた光
正直これどうやっていったらいいんだろう?ということは、本当に真剣に悩みました。
実を言うと、県の初段認定大会の少し前に症状が発覚したので、最高に焦りました。県内にA級公認読手は私しかおらず、これは誰かが簡単に代われるものではありません。
お医者さんに「その日までになんとかしてほしいです!!!」と無茶な要求をした所、
「では、一週間の沈黙治療を行います。今から一週間、一切の発声を禁止します。日常生活を絶対に喋らないで過ごしてください」
という、割と過酷なことを言い渡され(笑)
実際に一週間一切発声せずに過ごしました。職場の人たちには色々とご不便おかけしてしまって申し訳なかったですが、ろう者用の筆談アプリなど(手話サークルの代表の人に相談した)もあるおかげで、何とか過ごすことができました。
一週間、喉を安静にしたおかげで、少しは声帯結節が小さくなってくれたので、当日は何とか3試合読み切ることが出来ました(尚、後日の検査では案の定元の木阿弥になっていました)
その時にマイクを使う読みを初めてやりました。近頃はマイク読みが増えてきたので読手としては大変ありがたいことです。
しかし初めてのマイク読み、どーやったもんかねと思い、1試合目は普通に読んでしまいました。
さすがにそれは喉に来るなと自覚したので、2試合目以降は読み方を変えることにしました。
いや、変えるって言って簡単に変えられるものでもないんですが「そういや目の前にあるのはマイクだよな」と当たり前のことを思い、考えました。
よく考えたら、私、高校時代放送部だったじゃん!?!?
マイクに向けて声を出すということ、日常的にやってたじゃないか、と今更のように思い出し、マイクに声が乗るように読むことを心がけてみました(この辺はスピーカー環境にも依存してくる所だけど、幸い現地の音響は悪くなかった)
会の子に読みについて聞いてみたところ
「いつもは声のでっかい塊がドーン!って飛んでくるような感じでしたけど、今日の読みは、海みたいでした!」
「海」
「でも、深海1mくらいの、お魚はいない感じです」
「お魚はいない」
「これがジンベイザメが泳げるくらいの海になるときっとすごいと思います!」
「ジンベイザメ」
非常に独特な表現による感想でしたが、言いたいことのイメージは何となく分かりました。そっか、海か。
「わたのはら…」
「こ!こです!」
「わたのはら漕ぎ出でてみれば久方の雲居にまごう沖つ白波、か。そっか、なるほど」
「目指すイメージ、そんな感じです!」
そこまで壮大な読みが出来るようになるのかどうかは分からないけれど、そのイメージにちょっとでも繋がる形の読みが出来たのかな。
もしそうだとしたら、発声法を工夫したりしながら練習していけば、新しい表現の読みが出来るようになるのかな。そんな感じの光が、ほんのちょっと見えたような気がします。
とはいえ、まずは無理せずちょっとずつ。コロナ禍でどうなるか分からないけれど、一応公認大会も予定している所なので、少しずつ声出しに慣らしながら、自分の読みを掴めるよう努力を重ねていきたいと思います。
長々とした内容になりましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
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