耳でときめいた結末
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今回は、婚活中に友達に紹介してもらった人の話だ。
当時、とにかく婚活しまくっていた私に、婚活仲間の友達から素敵な誘いがあった。
最近合コンで知り合った人の会社の人を紹介したいんだけど、というもの。
ありがたくて涙が出そうだった。
快くお受けして、できるだけのかわいさを出して仕事終わりに居酒屋へ向かった。
話の内容は特に覚えていないが、これといった大事件もなく飲み会は終わった。
帰り道では、私と紹介してもらった人がペアで歩き、駅まで向かいながら連絡先を交換した。
彼はとても背が高くて、女子の中でも背が低い私と隣同士だと、顔はよく見えていない。
まぁでも、初対面でガッツリ横向きになって話すこともないし、駅に着いたらさよならだ。
その後、連絡を取り合うのだが、私はこの時点では彼が好印象だったに違いない。
程なくして、彼と電話で連絡を取り合うようになった。
彼はいわゆるイケボだった。
飲んでいる時は声なんて特に気にかけていなかったのに、電話で聞いてびっくりした。
そして、薄暗い居酒屋で一回会って適当に飲んだだけなので、イケボの良さに反比例して顔の印象がどんどん薄くなっていった。
***
今度会いませんか?と言われ、断る理由もないので、次の休みに約束をして、待ち合わせはタワレコの中になった(何で中だったんだろう)。
当日、タワレコでなかなか出会えず(当たり前だ)、連絡を取り合いながら私の元へやってきた彼を見て、あれ?と思った。
こんな顔だったかな…と。
彼が何か言っていた声は、確かに電話の声と同じだったので、頭の中で同一人物だと認識されたが、まだ心が追いついていなかった。
タワレコから少し歩いて、彼がおすすめだというカフェへ入る。
そのカフェは、入るのに一瞬躊躇するレベルで、私が今まで行ったどのカフェよりオシャレだった。
そこにズカズカと入って行く彼をチラチラと見ながら、この人だったかな…と何度も記憶を辿る。
***
カフェで対面に座り、真正面から顔を見る。
確かにあの時、一緒に飲んだ人、のような気がする、声も一緒だし。
だけど、こちらのハードルは、イケボのおかげで身勝手に上がりまくっていた。
耳から入るイケボと、目から入る顔の情報が頭の中でこんがらがる。
周りの雑踏とは対照的に、私たちのテーブルは盛り上がりに欠けていたが、もはやどうでも良かった。
そこで何か食べたのか食べなかったのか、どうやってその後別れたのか、私はその後の全ての記憶がない。
帰宅して、お礼の連絡はしたものの、その後こちらからフェードアウトしてしまった。
紹介してくれた友達経由で、何がダメだったか教えて欲しいと問い詰められのだが、私は正直に言うこともできず、何か無理だった…としか答えられなかった。
本当に申し訳なかったけど、この上がりきったハードルをどうすることもできなかった。
人はイケボで記憶を美化してしまう、と心に刻んだ。