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歯列矯正・・・する?
先日、歯磨きのあと、鏡を見ながらフロスをしていたら気が付いた。
奥歯の側面が黒ずんでいる気がする…。
虫歯の痛みが大嫌いなので、即歯医者の予約をして受診。幸い虫歯ではなくて、昔の治療時に使ったプラスチックが劣化して黒ずんでしまっていたらしい。
歯医者さんに「古いプラスチックは次回取り換えましょう」と案内されたあと、「そんなことより」と言わんばかりのテンションで「歯並びが悪いですよね」と言われた。
曰く、これから老化していくにあたり、手先を器用に動かし続けるのは難しくなる。今の歯並びではフロスも結構手間がかかっているはず。老後に向けて手入れがしやすい歯並びにしておくべきだ、と。歯列矯正を勧められたのである。
私は歯並びが悪い。「悪いですよね」という言葉に食い気味で「はい」と言うほどには、まあ、悪い。前歯が永久歯になった小学校一年生のときからなので、この歯並びとは結構長い付き合いだ。
上は左の前歯が斜め横向きに生えていて、歯を見せて笑うと普通の人には見えないはずの「前歯の側面」が見える。下の前歯は三本が少しずつ重なって生えていて、奥においやられた一本は、正直まともに磨けていないと思う。
そういえば息子を保育園に迎えに行ったとき、息子の友だちに「そのずれ歯どうしたの?」と素直な眼差しで心配されたこともある。「ずれ歯」というパワーワードに身悶えしつつ、「お菓子の食べすぎでこうなったのだよ」と無駄に怖がらせた。ちょっと傷ついたので仕返しのつもりだったのだけれど、彼は衝撃のあまり言葉を失っていた。お菓子の食べすぎに心当たりがあったのかもしれない。(ごめん嘘だよ。とは一応言った。)
ところで「なぜ40歳手前になるまで歯列矯正してこなかったの?」と疑問に思うかもしれない。
私は金銭的にあまり余裕のない家庭で育ったために、子どものころは歯列矯正という選択肢を持てなかった。せいぜい祖母に言われて、スプーンを前歯に押し当てるという謎の療法を試したくらいだ。
社会人になってからは二回、歯科医院で矯正の相談をしたことがあるのだけれど、一度目は「生えずに埋まっている奥歯を二本、切開して抜かなければできません」と言われ、手術が怖すぎてやめた。二度目は別の歯医者で、「矯正するなら「歯並びをなおす」ということが生活の上でトップスリーに入らなければうまくいかない」と言われ、その時第二子の育休中だった私には、歯並びの優先順位をそんなに高くするのは無理だ…と怖気づいてやめた。
子どものときは金銭面、大人になってからは心理面の抵抗によって、歯列矯正を躊躇していたのだ。
思いがけず三度目の、「歯並びのことを考える」機会が訪れた。今の歯医者にはもう四年くらい通っているので、むしろどうして今まで何も言ってこなかったのか、という疑問は残るものの。
歯医者さんは言った。
「埋まっている奥歯なんてもう絶対に出てこないので、放っておいて大丈夫です」と。
「マウスピースならそんなに痛みもないし、この感じなら1年半くらいで終わるかなー」と。
これは、もしかして、ついに私の人生で「歯列矯正」に取り掛かるタイミングが来たのかもしれない・・・!
瞬間的にそう思ったが、私がもごもごしているうちに「ま、興味があったら矯正相談の予約をしてみてくださいねー」と営業は打ち切られてしまった。
会社辞めたら矯正相談、予約してみようかなあ。