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旅日記【加計呂麻島①】

私は、旅の記録。

目的地は奄美大島の下の加計呂麻島というところだ 。

元々は私の敬愛する又吉さんのお母様のご出身という事ということで、
又吉さんがYouTubeで加計呂麻に訪れた際のエピソードを色々話していた。

島に伝わるケンムンという妖怪の話。島の人たちの空気感の話。それらの話を聞いていると実際に行きたくなった。

まず関空から奄美空港まで飛んだ。

加計呂麻島は奄美大島のに南側に位置している。

奄美空港は島の北側に位置しているので、島の南側に移動しないといけない。

空港近くにあるレンタカー屋さんをしらみつぶしに当たったがどこも予約がいっぱいだと言っていた。

島の平日という事で侮っていた。

20分程炎天下の中歩いた自分が馬鹿馬鹿しくなったが、予約をしてなかった自分が悪い。

もう一度空港に戻り、残りの交通手段は地元のバスで移動するらしいのだがどのバスに乗ればいいのか全然分からない。

停車中のバスの運転手さんに聞いた。

スーツでは無く、アロハシャツみたいなものを着ていた運転手さんは全部教えてくれた。

そしてその教えてもらった地元のバスに揺られること2時間。

奄美大島最南端の街、古仁屋に到着した。

それから船が出航するまで2時間程の空白の時間があったので私は街を散歩してみた。

スーパーは一軒。コンビニも一軒。薬局も一軒。カフェも一軒。だが、パチンコ屋は五軒。どこでも人は変わらない。

その街には海と反対側に山があり、その山を少し登った所に神社があった。

僕は神社の由緒書きが好きでボーッと読んでしまうことがあるが、その神社は由緒書きがほぼ無かった。

途中お腹が空いたので街に一軒しかないスーパーでスパムおにぎりを食べた。

ここは琉球もエッセンスもいいバランスで混ざり合っている。

城の事をグスクと読んだり、シーサーがあったり、スパムがあったり。面白いなと思った。

船の時間になったので港に戻り、船に乗り込んだ。 それから20分の船旅を挟んでようやく到着する。


加計呂麻島に到着

港には宿主が迎えに来てくれた。

ミッションの軽トラに乗りながらタバコを咥えて細くすらっと、肌は島人という感じの小麦色よりもっと黒い。

宿は集落から少しだけ離れており、集落の真ん中から田んぼの間の一本道を通らなければならない。

自然しか無いとはこのことかと思った。 宿に着き、色々説明を受けた。

お世辞にも綺麗な宿とは言えないが昔ながらの屋根が低くトイレが奥になるスタイルで爺ちゃんの家を思い出した。

そして財布と携帯だけを持ち、すぐに海を見に行った。

それまでの道も素晴らしくハイビスカスやシーサーが飾ってあったりした。

途中に唯一島で酒が売っている林商店に寄り一番搾りを買った。

海に近づくにつれ波の音が聞こえてくる。

その音が大きくなるに比例して私のワクワクも大きくなっていった。

海が見える。

空と海が異常に近い気がした。

雲が大きいのが原因なのかもしれない。

雲が動いているはずなのに島が動いているような感覚になる。

よく、田舎は時間がゆっくり流れていると言うがそれは本当だった。

浜の堤防に上り夕日を見ながらビールを飲んでいたら、後ろを犬と散歩中のお婆ちゃんが「こんばんわ」と話しかけてくれた。

ちなみにその時はまだ5時前である。

時計ではなく太陽と向き合って生活しているのだなと思った。

5分後にお婆ちゃんの進行方向の方を向くとまだ近くを歩いている。

「歩くの遅!」と心の中で突っ込んでしまったが「いや、これでいいのだ」とバカボンのパパみたいな事を思ってしまった。

島には島の時間があって、人には人の時間がある。

同じ尺度で人を見てはいけない。

晩御飯

晩はそのまま島に一軒しかない居酒屋に行った。

たまたま地元の方々がいらっしゃる場に混ぜてもらい一緒に酒を酌み交わした。

テラス席のような感じで風と波の音が気持ちいい。相席成立である。

地元のお爺ちゃんと月に一回は大阪からボランティアで島の事を手伝っている男性と女性の方と飲んだ。

爺ちゃんはイメージとは似つかわしくないフォントで爺ちゃんの名前が書かれたタンブラーを片手にHOPEを吸いながら黒糖焼酎の水割りを飲んでいた。

それだけで微笑ましくなる。

恐らく還暦か何かのお祝いで家族か地元の人達から貰ったのだろう。

そして僕の仕事、この島に来た経緯なども話した。

爺ちゃんは口数こそ少ないが一つ一つが刺さった。

「自然のモノも人間が手をかけたほうがいい時もある事」
「自分のアイデンティティは鹿児島でも沖縄でもなく、島人だと言うこと」
「環境によって人は輝けるし輝けない事」
「でも環境がどうこうではなくて頑張ってる人が素晴らしいこと」
「でも仕事はガムシャラにし過ぎてはいけない事」
「大阪の人達は頑張り過ぎた」

気がつくと太陽が沈み、お月様が見え始め、星が輝き出した。
 
最後に爺ちゃんはバナナを2本くれた。

この場所に来ると自然と「お月様」と口にしている自分に驚いた。

知らず知らずのうちに感謝の念や尊敬の念が生まれていたのであろうか。

話の中で明日は畑の草刈りをすると言うので僕も仕事をすることになった。

仕事をしない為の旅だったが気付いたら仕事をしている。

やっぱりお願いされたらNOが言えない性格なのかもしれない。

御三方が帰った後、僕はまだ飲み足りなかったので 店の中に入りまたまた地元の人たちと飲んでいた。

その方は半分を大阪で、半分を加計呂麻で過ごすらしく、夏の期間は毎日釣りをして、酒を飲んでと言う生活らしい。

でも年々釣れる魚の種類も量も減ってきていると言っていた。

もう1人の男性はその人の弟で、ハブ狩りや猪狩りをしているらしい。

そして狩った猪や釣った魚でBBQをするのが楽しみなんだそうだ。

僕の宿への田んぼを通る道はハブ出没ポイントらしく帰りは軽トラで送ってもらった。


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