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【第6回】講義予告

 凍った風が肌を刺すように、急に寒さを感じるようになった。秋は、銀杏並木の黄色と、雲一つない秋晴れの高い空の青とのコントラストが好きだった。気が付けば師走。銀杏もぽつぽつと葉を落としている。冬だなあと、赤く染まる指先をみて感じるようになった。そんな空気の冷たさとは裏腹に、冬は生命・自然の色を濃く、暖かく感じさせる気がする。
 なにものゼミも第6回を迎える。ついこの間、クーラーの効いた部屋で汗を乾かしながらゼミの名前を決めたばかりだと思っていたのに、四季の移り変わりとともに、このゼミも回数を重ね、色濃くなっているのではないか。人肌恋しい季節というが、語られるリアルを受け止めて自分の心を温め、考えを全身にめぐらせてほしい。考えれば考えるほど、体は熱く燃える。冬は生命を色濃くする、私たちがこれからを生きるために考えるにはぴったりの季節ではないか。

 第6回なにものゼミは、毎日新聞の記者である上東麻子氏をゲストとしてお招きし、『メディアと障害者』と『境界』をテーマにお話しいただく。上東氏は、毎日新聞が新聞協会賞を受賞したキャンペーン報道『旧優生保護法を問う』取材班のおひとりである。今年でいえば、『#やまゆり園事件は終わったか~福祉を問う』を毎日新聞デジタルで連載された。第6回講義では、この「津久井やまゆり園と報道」がメインとなる。

 今回の講義担当、石垣は「あえて答えのない問いを」と話す。障害者にとっての「普通」の生活とは一体何か。当たり前とは何か。これまでの講義に参加された方々にとっても、さらに考えを深める機会になるのではないかと感じる。私たちを「普通」という檻に閉じ込めているものは何なのだろうか。「真実を追う報道」で見えてきたものは一体何なのか。答えのない問いこそ、その現場を知る人の言葉を聞くことによって何かを掴むことができるのではないか。
 また、記者として障害者の方と関わる中での苦悩などについても、私たちが知り得ない体験をお話しいただけるのではないか。

 今回も私たちの思考を止めずに、そのリアルに迫りたい。

第6回フライヤー


 

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