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プリンターを必要としない生活が欲しくて。

これまで何台か家庭用プリンターを使ってきたけれど、快適に使えるプリンターってものに出合えた経験が正直乏しい。

多機能が売りなんだろうけど、そもそも基本的な機能に難がある物も多い。「そんなところに技術と労力を使わなくていいから、もっとこっち側の機能を強固なものにしてくれよ」と幾度となくつぶやいてきた。

インク漏れがひどくてキレイに印刷出来ず、内部クリーニング機能を使ったらそれだけでインク残量が半分以上消える、なんて事もあった。

その純正インクも『6色セットで6000円超』だったりするので地味にげんなりする。電源を入れると勝手に始まる自動メンテナンスで、削られて消えるだけのインクの割合がかなり多いからだ。

挙げ句、買ってきたばかりのプリンターに初期不良の香りが感じられたので返品しようとしたら、「開封済みの製品の返品は受け付けられません」との注意書きがあったりするもんだから、腹立たしさを通り越して無気力になる。

『…プリンターを必要としない生活が欲しい。』

段々とそう思うようになっていった。

しかし現状パソコンに繋いでスキャナーとしても使っているので、その考えは破棄…

…と思ったが、

『じゃあスキャナー買って、コピーが必要な時はコンビニに行けばいいんじゃね』

『プリンター本体とインクの合計金額より絶対安く済むよ』

と今年に入ってから脳が即答。

自宅周辺には徒歩5分圏内にコンビニが3件ある。

要は慣れればいい。

こうして現在使用中の多機能プリンターはスキャナーとしての役割だけをさせる事にし、

印刷が必要な場合はコンビニに行く…という生活を自分に馴染ませる事にした。

ーー

そうして今年も残りひと月。

今のところコピー関連での問題は無い。

そもそも書類をコピーする頻度が年間を通してそれほど多くはないので、現在使用中のプリンターがお釈迦になったら、以降、家庭用プリンターは購入しない可能性が濃厚になってきた。

ところで12月といえば親から「年賀状を印刷してくれ」と言われる時期でもある。

過去何度かは、私が描いた干支のイラストを通信面に印刷して親に渡していたが、

今回は『既にデザインされている年賀はがき』をネット注文して完結させた。私が使う分も含めて。

絵を描く事を生業(なりわい)にしている人間なのに、自分の絵で年賀状を描かないなんて。

というプライドめいたものが無いワケではないのだが、

それにしたって私は漫画を描くのはある程度得意だが、ハガキのデザインには疎いのである。

これで結構、毎年悩むのだ。

苦痛とまではいかないが、どう描こうか悩んでしまう。

悩むくらいなら気持ちよく、サクッとハガキを送り出したい。

そのためにデザインのプロに頼ったっていいじゃないか。

絵が上手い人は世の中にごまんといるのだから、

そこにお世話になったっていいじゃないか。

そうして自分に許可を出した11月、

オンラインストアでイラスト入り年賀はがきを、私はうきうきしながら選んでいた。

可愛いデザインがいっぱいあって嬉しい。

来年は卯(うさぎ)だから余計にそう思うのかもしれない。

「インク汚れがついたから印刷し直しだ」

「絵が曲がってる」

「裏表逆に印刷しちゃった」

今年は、そういう失敗をしなくて済むんだなぁ…

そう思ったらすごく心が軽くなった。

とは言え私が漫画家として年賀状を出すのは出版関係者に対してだけで、読者さんに直接送る事はないのだが。(※成人向け漫画家からハガキ等が届くと、かえって相手に迷惑になりえると知ってからは、お便りに返事は送らない事にした。)

とにかく、絵を描かない分メッセージは丁寧に書こう。

そうしよう。と決めた。

来年の今頃はまた気が変わって、自分でデザインしてる可能性もあるけれど、

その時はその時でがんばってくれ。

年賀状をセブンイレブンのマルチコピー機で印刷する手もあるし

印刷所にデータ入稿して年賀はがきを作ってもらう手だってある。


…なんで自宅での印刷に固執していたんだろうね。

世の中はこんなにも便利なのに。


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名仁川るい(ナニガワルイ:成人向け漫画家)
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