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32歳、人生初の人間ドック(検便編)

人生初の人間ドックを受けた。
32歳で人間ドック、早いとお思いでしょうか?

ことの発端はここ数ヶ月の体調不良。元々かなりの貧血持ちなのだが、最近は特に多発しており周囲に迷惑をかけていた。ある日ついに母親の目の前でぶっ倒れ、見かねた母がクリニックのURLと共に「今すぐ申し込みなさい!!」と連絡してきたのである。

私はフリーランスのため健康診断さえ長年受けていない。
というか、フリーランスを言い訳にして区の無料診断さえ避けてきた。自分の健康状態を知るのが怖かったのだ。だって絶対良くないから。自分でもわかる。
でも周囲に迷惑をかけるのは良くない!絶対!
ということで、これはいい機会だと思い早速申し込んだ。


ちなみに母がお勧めしてきたクリニックは、本人が通っていたとか誰かにお勧めされたとか、そういう信頼あるところなのかと思ったら、ただ「人間ドック」と検索して一番上に出てきたところだったらしい。単純に広告に力を入れているクリニックだった。


ネットで申し込みをした数日後、早速クリニックから封筒が送られてきた。だが私は生粋のめんどくさがりなので、その封筒を数日間玄関の脇でほったらかしにしていた。
検査4日前になってやっとその存在を思い出す。そういえばこの封筒、妙にぶ厚い。もしや、検査に当たって1週間前から酒禁止とか、尿を事前に送れとかそんなことが書いてあったんじゃないか?そうだったらすでに手遅れだ。どうしよう、もう入金はしてしまった。最悪の場合はキャンセルできるんだろうか……焦る気持ちを抑え私はやっと開封した。
そこには何枚かの記入書類や問診票、そして検便キットが入っていた。


検便……???
そう、人間ドックには「検便」が必須なのだった。
「検便」……私は初めて見る文字に目を疑った。
「検尿じゃなくて検便?」
私にとって人生初の人間ドック、それすなわち人生初の検便であった。

検便は2回分を提出せねばならない。
さてみなさん、検便初挑戦の人間にとって、一番の課題はなんだと思いますか?
「便を採取するなんて汚い」……ええ、おっしゃる通りそれも思ったけれど、それより大きな問題は「果たして日程通り順調に便が出るのか」という点である。ネットで調べたところ【あまり時間の経った便はよくないから、できれば提出日の当日、前日、前々日の便から2回採取する必要がある】と記載されていた。だがクリニックからの書類を読むと【当日の便は提出禁止】の文字。つまり今回は「前日、前々日」この2日間で勝負しなければならないのだ。いくらなんでもシビアすぎる。1日でも出なかったら即アウト。ここまで緊張感を持って自らの便を願うのは初めてのことである。


検便、間に合うのか?
そんなに毎日出るわけでもない私、というか改めて振り返ってみると私どんな頻度で出てるんだろう。あまり意識してなかった。だが少なくとも毎日必ず1回、というペースではないだろう。
この勝負、かなりの確率で負ける。

キャンセル、の文字が私の頭を横切ったが、書類にははっきりと【キャンセル不可】と書いてある。


くそ……やるしかないのか!!

出んのか!?おい、ちゃんと出てこれんのか!!

私は、まだ姿もなしてないであろう体内の便に語りかける。



あまりのプレッシャーで押しつぶされそうになり、その日から便最優先生活にシフトチェンジした。ヨーグルトやスープを多く摂取し、食物繊維が豊富だという「スーパー大麦」なるものを食べてみた。はっきり言ってそれまでの私の便は快調ではなかった。だから残された日数でできることをやるしかなかった。スーパー大麦は1日1袋でいいところを、1食で2袋食べた。1日6袋だ。なんでも極端になるところが私の良くないとこである。

突然開始されたヘルシー生活の甲斐あり、便採取の幕開けである検査3日前の夜から私の腸は活発に動きはじめた。ピンポイント&ナイスタイミング!

そして、採取の許可が降りたその日、0時を過ぎたあたりから腸が踊り出したのだ。まだ就寝前だが日付は変わった、いいだろう。これを逃す手はない!
私はこれ幸いとキットを持ってトイレに駆け込んだ。


検査前々日の午前0時、そして昼12時としっかり任務遂行した私の腸はその後もとどまるところを知らず、1日で4回もやりのけた。もちろん翌日もしっかり出た。しかも立派だった。恐るべし「スーパー大麦」。

検便は早々に取り終わってしまい、なんだこんなことならもっと直前の便を採取すればよかった、と呑気なことを考える。検査する方だって、できるだけ新鮮なものを扱いたいだろう。
採取キットを多めに入れてくれたらその中から新鮮な順に提出できるのになあ、と余裕をこいた私は思う。1日1便であんなに震えていた私が。
人はやはり、立場が変わると傲慢になる。


人間ドック(当日編)に続く。。

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