【北島のマイナーゲーム紹介②】子供向けクロックタワー『ミッキーマウスの不思議な鏡』

こんにちは。北島です。

今回は『ミッキーマウスの不思議な鏡』というゲームを紹介します。例によって僕の幼少期のトラウマゲーであり、今回も怖い要素を中心に紹介することをご了承ください。

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本作は、前回紹介した『ミズパックマン メイズマッドネス』よりは知ってる方も多いですが、知名度の低いゲームです。皆さんは聞いたこと、プレイしたことがあるでしょうか。

1.カプコンによる初めての3Dディズニーゲー

ミッキーマウスの不思議な鏡』は、2002年にゲームキューブ向けにカプコンが開発したクリックアドベンチャーゲーム。カプコンとディズニーといえば、『わんぱくダック夢冒険』、『ミッキーのマジカルアドベンチャー』など、これまではやや高難易度な名作アクションゲームを多く提供してきたイメージがあります。

そんなカプコンが初めて作った3Dのディズニーゲームは、アクションではなくクリックアドベンチャー。クリックアドベンチャーとは、画面上にポインタが表示されており、画面に映っているオブジェクトをクリックすることでキャラクターがアクションを起こし、謎を解いていくというゲームジャンルで、代表例として挙げやすいのが、ホラーゲームの金字塔である『クロックタワー』シリーズ。考えてみればこのジャンル自体がある意味マイナーですよね。

小噺①

ちなみに、ミッキーが初めて3D化された作品は、本作の約半年前にスクウェアより発売された『キングダムハーツ』でした。キングダムハーツの開発者インタビューでは、「ミッキーはこれまで耳をどの方向から見ても丸くなるように描いてきたので、3Dにされるとその縛りを破ることになるため出演は難しい」とディズニー側からの申し出があり、ミッキーの出演シーンの制作が難航したことが語られています。

結局キングダムハーツでは、ミッキーは物語の最後のカットシーンにシルエットのみ登場し、耳はムービー専用のアニメーションで常にカメラから見て正面になるようにする、といった対応が取られました。これが功を奏したのか、次回作以降でミッキーはレギュラーキャラとなることができました。

それに対して本作『ミッキーマウスの不思議な鏡』では、ミッキーは普通に3Dで描画され、耳はカメラを無視して頭と一緒の向きになります。本作の開発者インタビューでは、もともと64向けに制作されていたことが明かされており、上記の制約はこの時点では重視していなかったのかは定かではありません。

この辺の詳しい経緯は知らないのですが、おそらくキングダムハーツの発売によってミッキーの3D化はタブーではなくなったのでしょうね。

(2021/10/6 追記) なんとスマブラSP最後のファイターに『キングダムハーツ』からソラが参戦することになりました。「誰もが望んでいたが、誰もが参戦は不可能だと思っていたキャラクター」と呼ばれるほどこの参戦には多くの苦労があったと思います。本当にありがとう、そしておめでとうございます。

2. どんなゲーム?

『ミッキーマウスの不思議な鏡』は、短編アニメミッキーの夢物語(英題: Thru The Mirror)』をベースに、その他ミッキー作品の小ネタが仕込まれたクリックアドベンチャーゲーム。『ミッキーの夢物語』では、寝ているミッキーが夢の中で自室の鏡に手を突っ込むと、鏡の向こうの世界に入ってしまい、夢ならではの不思議な体験をする、というお話が展開されます。

一方ゲームでは、ミッキーはオバケに手招きされ、鏡の中に入って行きます。しかしその後オバケが鏡を割り、その欠片を鏡の世界中にばら撒いてしまい、元の世界に帰れなくなってしまう。そういうわけで、ミッキーは元の世界に戻るため、鏡の欠片を集めに行く、というストーリーになっています。なんだかもうホラーゲームっぽいですね。

本作における鏡の世界は原作アニメとは異なり、ミッキーの自室ではなく、見たことのない大きな迷宮になっています。そのため、イベントもかなり多く、探索も難しいものになります。一応キッズモードという難易度が用意され、このモードではプレイヤーは何もしなくても勝手にミッキーが動いてクリアしてくれますが、やはりゲームとして買ったからにはなんとか自力でクリアしたいものです。

3. ゲームシステム

本作の特徴として「トリック」というシステムがあります。これはクロックタワーにおけるパニックコマンドの事前入力ようなもので、「ゲームの進展に必要なイベントで、ミッキーを手助けする力」になります。トリックを起こす回数には制限があり(最初は1回だけ)、これを増やすには鏡の世界のあちこちに浮いている「星の器」を取得する必要があります

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このゲームにはゲームオーバーの概念はありませんが、ゲームが進行できなければ実質詰みなので、星を回収してさまざまなトリックを起こし、アイテムを使って謎を解きながら鏡の欠片を集めていくのがこのゲームの主な流れとなります。

小噺②

話は変わりますが、カプコンは後にプレイステーション2で『クロックタワー3』というゲームを発売します。このゲームは、位置付け的には前のナンバリングタイトルである『クロックタワー2(ヒューマン / 1996年)の続編ではありますが、根本的に開発元が異なることから、ストーリー・システム共に前作までのクロックタワーとは全く共通性のないものになっています。

時代的にクリックアドベンチャーでは面白さを確立できなかったのか、制作会社が変わったことで意図的にスタイルを変えようと思ったのかは分かりませんが、クロックタワー3アクション寄りのサバイバルホラーになり、「クロックタワーの続編」として見ると賛否の分かれるものになりました。

そんなカプコンですが、本稿の紹介作品のようなクリックアドベンチャーも過去には作っていたことを考えると、もしかするとクロックタワー3をクリックアドベンチャーにする未来もあったのではないか、と想像を膨らませてみたりしちゃいます。

4. ここが怖い①「シンプルにオバケが出ること」

本作ではオバケがミッキーに対して様々なイタズラを仕掛けてくるのですが、このオバケのデザインが絶妙に怖いです。

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いったんもめんに口がついたようなデザインで、表情は常に怒っているようで、高くて不気味な笑い声を発します。そして毎回ミッキーの行手を阻み、後述するようなちょっと怖いイタズラをしてきます。

そのため、オバケが画面に登場したり笑い声を上げるたびに、幼少期の北島はドキドキしていました。

5.ここが怖い②「不思議なイベントの数々」

このゲームで発生するイベント、結構な割合でミッキーが酷い目に遭います夢の世界の話なので、ミッキーが小さくなったり家具が意思を持ったりなどファンタジックな出来事が起こるのですが、それによってもたらされる結果が大抵「相対的に大きくなった物に追いかけられる」「動き出した家具が襲ってくる」など、「幼少期に見た悪夢」に近いものばかりで、プレイしていて割と精神を削られました

6.ここが怖い③「随所に散りばめられたホラー的演出」

前述したオバケやイベントに話は繋がりますが、オバケがミッキーにイタズラをしてくる中で、「薄暗い部屋でミッキーの影から目だけが見つめている」とか、「絵画の女性が突然大きい音と共に恐ろしい魔女の絵に変わる」(こういった演出は欧米ではJumpscareと呼ばれています)など、大人になった今見ても普通に怖い、ビックリするような演出が多々あります。

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親子で遊べるミッキーのゲーム」というコンセプトのもと全年齢向けに制作されたのになぜガチホラー要素があるのかは分かりませんが、そんな理由でかなりトラウマゲーになってしまいました。

7. まとめ

以上のように怖い要素が多く、幼少期は怯えながらプレイしていた『ミッキーマウスの不思議な鏡』ですが、内容を思い出すために検索窓にタイトル入力したところ、サジェストに「トラウマ」と出てきたのでプレイした皆さんもかなり怖い思いをしていたのが分かりました。

しかし、本作はやり込み要素としてバラエティ豊かなミニゲーム元の世界に持ち帰れる収集アイテム(おみやげ)があったり、ラストにはちょっとグッとくる演出、鏡の欠片の収集率によるマルチエンディングなどがあり、非常に完成度の高い作品となっています。

また本作は『ミズパックマン メイズ マッドネス』ほどは知名度が低くないため、探せばプレイ動画も見つかるし、ゲームキューブ、Wiiがあれば自分でも遊べます。気になった方は是非調べてみてください。

またいずれ他のゲームを紹介します。それでは!



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