山本さほさんと、小川哲さんが入籍されてテンションが上がったという話。
昨日以下のツイートでテンションが上がりました。
私は40代にして「週刊ファミ通」は毎週欠かさず読んでいるのですが、一つには山本さほさんのエッセイマンガ『無慈悲な8bit』を読むためだったりします。
『無慈悲な8bit』では色々なゲームが紹介されているので気になるものをリストに追加したり、結構積みゲー増えたなぁと思っていたタイミングで私なんかよりも全然積んでる山本さほさんを見て私はまだ大丈夫だと安心したり。ゲームあるあるや日常ネタにほっこりしたりと、少し私よりはお若いですが大きく区切ると同世代なので、いつも友達の日記を見るような目で楽しませてもらっています。
そんな山本さほさんが小説家の小川哲さんと入籍されたということで非常にテンションがあがりました。今後『無慈悲な8bit』でも小川哲さんの話が出てくると良いなぁなどと勝手な期待をしています。
と言うのも、私が小川哲さんの作品のファンでもあるからです。好きな作品を書いているお二人が入籍されるというのは、それぞれが別の方と入籍されるよりも、一粒で二度おいしい的に嬉しいものです。
本当におめでとうございます🎉友達同士が結婚したかのように嬉しいです。
折角なので、今年書いた、小川哲さんの本の感想も貼り付けておきます、私の文章力では伝えられていないですが、本当にどの小説も素晴らしいです。
『地図と拳』
ラストシーンが美しすぎるんだけれどもそれ以上に、作中に出てくる「日華青年和合の会」やら「仮想内閣」のシーンで満州やら当時の日本なんかの情勢を巡る複雑な状況を鮮やかにそして分かり易く描写しているところが本当にすごいくて、すごい。この説明を見るためだけにでもこの小説は読む価値があるなぁと思わされる。
参考文献の数とその情報を頭に入れたうえで大きな齟齬なく、心動かすストーリーを紡ぐってのはマジですごい。
キャラクタも非常に魅力的で、無敵超人の細川はもちろんのこと、高木の人間臭さも、明男や丞琳のおぼこさも、中川の哀愁も、安井の弱さも、石本の強さも、孫悟空の奇妙さもいずれも印象深い。
個人的には町野軍曹の「俺に言われたから撃つんだと自分に言い聞かせろ」という台詞が好きです。あと、明男の船のシーンも高木との対比でご飯何杯でもイケるぐらいよかった。
小川さんの作品は初めて読んだのですが、この人凄いのでは?と思いました。非常によかったので別途まとめたいところです。
『君のクイズ』
競技クイズをやっている人は、ほとんどのクイズの答えは当然わかるので、問題文が読み上げられるなか出来るだけ早く問題を確定させる勝負をしているというのが面白かった。
人は死なないが、クイズプレイヤーの早押しと言う魔法のように見えるものを、主人公の人生と共に紐解いていくミステリー。オチにリアリティが有って好き。
『嘘と正典』
もっと読みたい話ばかりで、良い短編集だけど、逆に物足りなさも感じました。
・魔術師
これはうまい。マジックショーでも見させられたかのような読後感
・時の扉
なんか、王と地下室と銃でそれかなぁと思ったらそれだった。
・最後の不良
私はおしゃれとは対極にいて、ジーンズと白シャツとかジーンズとパーカーという作中に出てきた人たちのような恰好をしているので、そこまで見た目で自分を表現したいという感覚自体が良くわからん。でもなんとなく理解できてしまう話ではある。
・嘘と正典
最近「Steins Gate;」をクリアしたので、まさにこれはDメールとか思った。因果の詰まりとか、分岐した世界のせいで計算量が増加し、時空が不安定にって辺りが急にSFでよかった。
『ゲームの王国』
グロテスクな表現が多いですが、泥の戦闘後の解放よりも、どんどん処理されていく、ロベーブレソンの住民よりも、秘密警察による拷問の数々よりも、描かれている出来事の多くががルール設計によって起こっているってのがグロテスクだと思うわけですよ。私は。
記憶力が悪いからなのか、自分の記憶をあまり信用していないところがあります。反芻した記憶は勝手に改竄されてしまっているんでしょうし、実際のところ、反芻していない記憶はどんどん消えていってると感じています。
上巻から半世紀がたった下巻では、登場人物たちの記憶も怪しくなっている箇所が多かったりする、でも、私からするとそんなもんだよなぁと思ったりするわけですよ。こっちは前日に上巻読んだところだから色々覚えてるけど半世紀もだったら大抵のことは忘れてるか、誤って覚えてるんじゃないかと思うわけです。
そんな概念の塊であって事実の塊ではない、フワフワした記憶の上に我々は立って生きてるわけです。なので物語ってのは私を形作るパーツ足り得るわけですよ。これからはこんな甘酸っぱかったり、苦かったり、芳醇だったりする物語の上に立って生きられるわけですから、私は幸せだなぁと思ったりするわけです。