10ぷんの奇跡
夜煽った安いワインが頭をく痛くさせています。
人殺しの目をしていると言われた私の目はより一層鋭さを増している事でしょう。
本当に何もしたくないけど駅のホームに居ます。
すっぴん冷えピタ帽子マスクマフラーという不審者極まりない格好してます。
今日は許してよ、みんなの事も許してあげるからさ。
今日だけね。
不安だなって一言で言い表せない日が続いてて、言葉にできない不幸が詰め寄って来て、この車両で一番黒い自信がある。おでこの冷たさが引き立つ生温い空間。もう斜めになった太陽が赤を帯びて指先を照らしている。太陽が平等じゃなかったらどうしよう、そんな要らぬ不安を少しだけ考えた。
冬の空気を吸う度に私の黒が削ぎ落とされていく気がする。だから大袈裟に息を吸ってしまう。
このまま私の部分もほどけてしまえば、この最悪な気分も無くなるだろうに。
人の言葉は凄いと思う。占い師が言った「貴女はついてる星を持ってる人ですよ。何をやってもうまくいくタイプ」の言葉をずっと鵜呑みにしていたせいで、一つ一つの不幸をそこまで見つめ無くて済んだ。だけどどうだ?今年に入ってからの不幸を数えたら、めちゃめちゃですよ?はぁ。。。私が単純な人間で良かったな。人から言われたら、そうかそういう人間なのかと思ってしまうじゃない。お陰で考え込まなくて済んでたけど、どうしても本質がチラ見えしてしまって、チラってする度に心の淀みが増していく。
どどめ色の空が丁度良く私を包んで居て、あぁなんだ、ちょっとだけ生きやすいじゃんかって思いました。
いつか今年が笑い話になるなら、その頃までは生きてみようと思うんです。
あーあ、ワインなんか勢い良く飲むもんじゃないね。
ハイエースで寝てから帰ります。