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石油をマイニング(採掘)する前にデータのマイニング

南国で私たちが取り組んでいる油田は歴史も長く50年以上も生産を続けています。

油田を発見する前から、物理探査データなどが取られはじめ、試掘井、評価井と掘削していく中でデータの収集が行われ、生産に移行してからも生産井や、圧力維持のための水やガスの圧入井など数多くの井戸を掘削しながら、大量の地下情報を収集してきています。

時代とともに新しいツールが開発され、今までになかった新しいタイプのデータも次々と収集されてきています。

また、生産、圧入を行っている井戸では、生産/圧入レート、圧力、生産流体中の油/水/ガスの量比をはじめとして、日々、継続してデータを収集しています。その量は膨大です。

流体や地層のサンプルであるコアの分析にも様々な種類があります。

そして過去に行われてきた様々なスタディ。比較的新しいスタディはレポートもテキストで全文検索をかけられますが、古いレポートは紙のレポートをスキャンした画像ファイルとして保存されており、キーワードやタイトルも適切でない場合があります。

このようなデータをいかに管理するか、また様々な種類のデータを統合していかに意味のある情報を取り出すか、おそらくどの世界にも共通する課題を石油会社は抱えています。

「抜本的にデータベースをきれいにしたい!」今まで数多くのエンジニアがそう望み、いろいろと試みては挫折してきた歴史があります。

データをよく使う人は、データマネージメントの課題も良く理解していますが、日々忙しくてなかなかデータマネージメントにとりくむことができず、一方で日々データをあまり使わない人は課題も認識できずデータをどうマネージしてよいかわからないというジレンマもあります。

しっかりとQCされたデータをきちんと管理するのはもちろん基本中の基本だとは思いますが、これだけ経緯も分からないような過去のデータが増えて、QCのバックログもままならなくなってくると、データマイニング技術によるデータの抽出や、データの分析・解析に力を入れて、データの信頼性の不確実性も加味した分析というのもやり方の一つとして考えられるような気もしてきます。

最近は様々な種類の情報に対応するデータマイニングツールも出ていますし、大量のデータをどう活かすか、今までとは違う発想が出てきてもおかしくないと思っています。まだまだ本当の意味でのデータマイニングの域にまで達していないのが現状ですが、この巨大なデータを人工知能などを活用して解析・分析を行えば新しい発見があるのではないかと思っています。

ただ、若い人には新しく入手するデータに関しては、しっかりとQCを行い、データ一つ一つを大切に扱い、個々のデータの価値をしっかりと認識してほしいと思います。


50年以上も歴史があると、油田の歴史を一から把握している人が会社にはほとんどいなくなっています。組織として社員の経験をいかに蓄積していくかも重要ですね。

経験のある社員がいなくなるとまたスクラッチからのスタートというのでは困ります。ちなみに「スクラッチ」って何のことかと思ったら、地面をひっかいて描いたスタートラインのことなのですね。つまり、振り出しにもどってやり直すってことですね。

人生はそれもありかも知れませんが、会社は結構困ります。。。

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