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「親子分離しない」を考える

これまで関わってきた社会的養護を受けてきた子どもの全ては「親子分離」を経験しています。決して子どもが望んだわけでなく、両親、そして支援する大人(児相、施設の職員、里親)も「子どもの権利」の中で最も大切にしなくてはならない「親と子が分離しないで生きていくサポート」を日本はないがしろにしてきたように思えてなりません。

戦災孤児は戦争が親子を分断しました。しかし、戦後79年も経った今でも行政機関による「措置という分断」は変わらずに行われ、日本のこの制度は国際的に問題になり、外圧もあって変わりつつあるのです。(情けないけど)

今までの「子どもの最善の利益」は子どもの意見が充分に聴かれたものでなく、誰か(児相)の「良かれ」で、ほとんどの子が「家庭で育つ権利」を、守られることなく、ほとんどの子が児童養護施設に措置されているのです。

里親は代替家庭養育です。私の知る25年間、最初の里親研修後に体系化された里親研修はありません。途中で更新研修ができましたが、その他は任意参加で、施設職員に施されるような研修はないのです。だから、養育は里親の意識任せで、措置解除も児相の一存で、里親への感謝や人権への配慮も無く突然引き上げられているようです。

里親子であっても子どもにとっては2回目の家族分離。子どもも里親も納得がいく説明は不可欠です。数年で交代する児相職員との信頼関係は無く、(実はこの部分が日本の児童養護の決定的な欠点だと思っています)責任を薄める『公務員の異動制度』が、日本の社会的養育が改善されてこない第一の要因で、他国との30年の福祉の遅れも日本の体質(行政内で忖度が横行し、改善よりも前例踏襲、改善案が通らない風通しの悪さ)にあると推察しています。

さて、昨年からフランスの福祉研究家の安發明子さんから学ぶ中で、フランスでは「心配な家庭」と思われた時点で、児童相談所からプロの社会福祉士(エデュケーター)が複数入り、精神的、教育的、また、生活のサポートが集中的に3ヶ月入り、その3割以上が親子分離しないで、家族が回復しているということでした。

日本の場合、児童相談所が入るケースは市町村の見守る家庭の中でも重いケースで、そのほとんどが親子分離を前提としているようです。子どもの社会福祉士も少なく、居たとしても3年未満でその職場を離れる(異動)ので、担当が長期に見守り続けることはできないシステムで、職員は気持ちがあっても異動すれば個人情報保護という観点から、それ以上動向を知ることができず、関われないのが現状です。その点はフランスも同じかもしれませんが、職員の多くが長くその職に就くので、2~3年ということは少ないそうです。

親の育てる力が弱い子どもたちにとって、「成長を見守り、励まし続けてくれる特定の大人」は、彼らの成長には不可欠です。子どもは見られているから(承認)頑張るのだし、その能力を開花させることができる。肉親でなくても地域のオバサンでも、監督・コーチでもいいんです。
大事なのは「その子への想いをもっている大人」

「親子分離をしない」
ここには「2人の親が家庭の中で穏やかに対話できているか」「家事分担は平等か?」「差別や偏りはないか」「男・女・兄弟姉妹一人一人の尊重はあるか」など立場以前に「人としての平等」があるかどうかを点検しましょう。日常の中で、小さな問題に向き合い、勇気を出して乗り越えることが良い家族になるための一番の近道です。面倒くさがらずに、ていねいに。

日本の政治家は「子どもは国の宝」といいながら、子どもという苗に肥やし(お金や教育)を掛けず、労働力という収穫だけを得ようとしている。
だから、日本は貧しくなっている。そこに気づいてほしい。


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