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不感症考:アンテナの故障

安定したオーガズムが得られなかった頃、どうしても受け入れられなかったことがありました。

それは、異性を「タイプ」「アリ」「ナシ」に分けることです。

タイプ:セックスして!遺伝子ちょうだい!(見返りは要らない。損してもいい!)
アリ:金銭や高級料理、高級ジュエリー、婚姻届、付き合うという口約束、職場でのポジション等、条件付きでセックス可能
ナシ:どんな条件でもセックス不可能

日常生活においては、物理的距離を積極的に縮めたくなる異性を「タイプ」、積極的に距離を縮めようとは思わないが距離を取る程ではない異性を「アリ」、さっと距離を取りたくなる異性を「ナシ」と判断します。


私は大学院生の頃に、精神科で2年間臨床実習をしていました。数人の学生と行動を共にしていたのですが、ある研修医の隣に座っていた際に、当時指導教官だった🐢さんから「(研修医のこと)嫌いだろ」と指摘されました。

私としては、明るく面倒見の良い研修医のことが好きでしたが、🐢さんの観察によると、研修医が動くたびに、身を捩ったり、すっと距離を取る様子が見られたそうです。

私は避けているつもりも嫌いという自覚もなかったので、最初は話を盛り上げるためにからかっているのかな?と疑っていました。

しかし🐢さんとディスカッションする中で、自分は「人を嫌う」というネガティブな感情を否認していることに気付きます。また、否認するためにアルコールを使って意識を落としていることも自覚しました。

「そういえば、お酒を常飲するきっかけとなったのも、苦手科目に対する嫌悪感を下げるためだったな。」

なんと私は10代の頃には既に、「嫌いだー!」という身体の叫びを受け入れずに、抗おうとする癖がついており、その結果、自分の主観に嘘をつく捻くれ者になってしまっていたのです。


「タイプ」「アリ」「ナシ」概念は、ヒトが生得的に身につけている本能的な感覚です。
たとえ小さい子供であっても、目の前の対象が自分にとってポジティブなものかネガティブなものかを瞬時に判断して、接近・回避行動をしています。

「タイプ」の見極めについても、ディスカッションテーマとして興味深いですが、何よりも、「ナシ」を判別して回避することが重要なのかなと思います。

「ナシ」という直感は、本人が自覚する前に、対象の病気の有無や悪意の存在を教えてくれ、将来自分に降りかかるかもしれない災難を未然に防いでくれます。

また、これは主に女性に言えることですが、「ナシ」を回避することにより、自身のスペックよりもダウングレードした子供を妊娠することを防ぐことができます。

女性は出産後、10年近く子供にかかりきりになります。お気に入りの遺伝子を掛け合わせて、自身の遺伝子を次世代でバージョンアップさせることができればコスパが良いのですが、うっかり「ナシ」遺伝子を掴んでしまったら悲惨です。

世の中の女性をみてみると、「タイプ」「アリ」「ナシ」よりも、顔面や学歴、お金といった、自身の劣等感を埋めるための男性選択がよく見受けられます。また、飲酒等で自分を麻痺させてセックスをする方も少なくないように思います。

私も若い頃からの飲酒により、ネガティブな感情から生じる様々な自律神経反応を麻痺させ、自分自身で「タイプ」「アリ」「ナシ」のアンテナを故障させていたのでしょう。

振り返ると、随分と恐ろしいことをしていたなと思います。「タイプ」「アリ」「ナシ」から目を背けるなんて、今では考えられません。

「タイプ」「アリ」「ナシ」の区別がハッキリとした今、あらゆる人間関係がスムーズになりました。以前は「ナシ」に対しても「タイプ」のように扱い、その結果、危険な目に遭うことが何度かありました。

今は「ナシ」さんには親切に、しかし距離を持って接することにより、無用なトラブルが起こらなくなりました。

身体反応の語りを聴き、そのまま言葉にする。
長年自分自身に嘘をつきまくっていたので、とても難しかったのですが、数年かけてアンテナを修理していきました。

ちょうど主観と身体反応が一致してきた頃に、中イキの扉も開き始めました。

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