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うちの黒き猫 #5 Diabloという名の猫

「Diablo?!」
「悪魔」を意味するハードな名前に驚く。
自分の猫に「悪魔」と名付けるとは…
何だかねえ…と先生と顔を見合わせた。
後々分かったのだが、飼い主が好きなゲームタイトルから取った名前だった。

ディアブロちゃん。
呼びづらい…
縮めて「ディアちゃん?」と呼んでみる。
ピキッと反応した。でも何だか緊張感を走らせて落ち着かない様子。
再度「ディアちゃん」と呼ぶと体勢を低くして固まった。
もしかすると、その名前と嫌な記憶がワンセットになっているのではないだろうか。
さて、どうしよう。
「くろちゃん」とか「猫ちゃん」ていうのも何だし…

宇多天皇の愛猫日記の話を思い出した。
平安時代中期 寛平元年から記された宇多天皇の日記「寛平御記」に出てくる飼い猫についての記述が素晴らしい。

『 私の猫は類まれな毛色をしている。他所の猫はみな浅黒い色なのに、私の猫は墨のような漆黒の毛色をしておりとても美しい 』
『 伏せている時は足も尻尾も見えず、まるで黒い宝玉のよう 』
『 歩く時はひっそりと音もたてず、雲上の黒龍のごとし 』
と、何とも美しい表現でうちの子自慢をしているのだ。

墨のような漆黒…すみ…というわけで呼び名は「すみちゃん」に。
旧名ディアブロさんは意外と新しい名前にすぐ馴染み「すみちゃん」と呼ぶと「ぎゃー」と返事してスリスリしに来る。

マイクロチップのデータから、すみちゃんは5歳と知った。
ディアブロ時代に避妊手術も済んでいた。
避妊手術をすると穏やかで落ち着いた性格になる(ことがある)とよく聞くがすみちゃんは違った。
活発で釣り遊びが大好き。紐の先の獲物を追って素晴らしい回転ジャンプを見せてくれる。
これぞ猫という感じで塀でも屋根でも軽々と登って私を驚かせた。


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