Z世代が聴く名盤 #16 B'z「B'z The Best "Pleasure"」
ここ数年で「Z世代」という単語をよく聞くようになった。「団塊世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」等に続く新たな世代の区分である。
なんでも世間様はこの世代を「自分達とは全く違う感性を持った若者」と見ているようで、そんな歳の若者が起こした迷惑行為やトラブルを見つけては叩く報道や、そんな歳の若者を集めては「昔はこうだった」と昭和や平成の映像やらを持ち出して色々説明して反応を見てみる企画が最近増えてきており、「最近の若いのは何を考えているのやら」という空気をなんとな~く感じる事が多くなってきた。
そこまで我々の考えていることが気になるなら発信していこうじゃないか、ということでこのシリーズを始めることにした。当記事はZ世代にあたる筆者が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけの記事である。
筆者は2003年生まれで、ニュースなどで取り沙汰される「Z世代」よりやや年上だが、WikipediaによればZ世代とは概ね1995~2010年生まれの若者を指すとのことなので、そのちょうど真ん中あたりに生まれた自分はバリバリZ世代を名乗れる。
作品情報
B'z、初のベストアルバム。当時の代表曲から14曲が収録されている。
前置き
B'zといえば、世代の人にとっては絶対的なカリスマ2人組という認識でほぼ浸透しているものかと思っているが、自分が物心つく頃にはメディア露出が控えめになってたり大ヒットを連発するタイプじゃなくなってたのもあって実のところその凄さがイマイチ伝わっていない。
テレビでもネットでも頻繁に取り上げられ一種のネットミームにまでなった「ultra soul」とラグビーW杯のテーマ曲になり一時期テレビで繰り返し放映されていた「兵、走る」の2曲は唯一ちゃんと聴いたことがあるが、今作はそれ以前のミリオンヒットを連発していた頃の曲が収録範囲である。
音楽性が近いMr.Childrenやスピッツ、事務所の後輩であるWANDSやFIELD OF VIEWはよく聴いてたのになぜB'zだけは聴いてこなかったのか、あんまり深く考えたことはなかったが、単に接点やきっかけがなかったとか、周りの称賛を見ていてなんだか高尚な感じがして近寄りがたかったとか、ロックはギターとボーカルが花形で、その他は脇役という価値観が古臭いと思ってて(自分がドラムやってるからというのもある)、B'zはまさにその象徴だった…とか考えれば考えるほど色々出てくる。
とはいえ彼らがJ-POP史に残る偉大な2人組であることは過去の実績を見れば明らかであり、仮にも邦楽好きを名乗るのならばこの辺は聴いておいた方が良いだろうと考え、CD1枚分でさらっと聴ける今作をSpotifyで聴いてみた。
感想
一言でいえばギターorダンス。個人的にB'zのパブリックイメージとして想定していたギターを効かせたロックに加えて、特に初期の曲に「ultra soul」のような四つ打ちリズムのダンサブルな曲が多く見られた。一方でバラードは前半後半にそれぞれ1曲ずつ入っているくらいで正直影が薄く、結果的には終始ハイテンションで駆け抜けていく構成になっている。
サウンドは曲が1990~98年と幅広い時期に作られたとあって結構まちまち。最新の「さまよえる蒼い弾丸」とかは今発売しても受け入れられそうだが、比較的昔の「LADY NAVIGATION」辺りはいかにもビーイング的な打ち込みがやはりどうしても平成を感じてしまうというか、普遍的で今と地続きな要素が多いこの時期の曲で唯一時代を感じる部分がガッツリ出てしまっている。
とはいえこうした音使いも時代ならではの味であり、人によって好き嫌いはあるだろうけど自分的には全然嫌いじゃない。今の段階では想像できないが現在流行っている曲も未来にはどこかしら古臭いと扱われる箇所が出てくるだろうし、そういう所も含めてあんなに売れたのだと思う。
それとかつてのB'zは今よりもずっとポップだったというのは話には聞いてたけど今回初めてちゃんと聴いてみて現在とのギャップに仰天した。「太陽のKomachi Angel」等は硬派なイメージを持ってた自分には笑撃モノである。
一番好きな曲:Calling
一番「…」な曲:Don't Leave Me