Z世代が聴く名盤 #30 Taylor Swift「1989」
ここ数年で「Z世代」という単語をよく聞くようになった。「団塊世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」等に続く新たな世代の区分である。
なんでも世間様はこの世代を「自分達とは全く違う感性を持った若者」と見ているようで、そんな歳の若者が起こした迷惑行為やトラブルを見つけては叩く報道や、そんな歳の若者を集めては「昔はこうだった」と昭和や平成の映像やらを持ち出して色々説明して反応を見てみる企画が最近増えてきており、「最近の若いのは何を考えているのやら」という空気をなんとな~く感じる事が多くなってきた。
そこまで我々の考えていることが気になるなら発信していこうじゃないか、ということでこのシリーズを始めることにした。当記事はZ世代にあたる筆者が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけの記事である。
筆者は2003年生まれで、ニュースなどで取り沙汰される「Z世代」よりやや年上だが、WikipediaによればZ世代とは概ね1995~2010年生まれの若者を指すとのことなので、そのちょうど真ん中あたりに生まれた自分はバリバリZ世代を名乗れる。
作品情報
テイラー・スウィフト、5枚目のオリジナル・アルバム。タイトルの「1989」は彼女の生まれ年である。
前置き
最近になってnote界隈で凄く面白い記事を書く人を見つけた。
独特のテンションでウィットに富んだ漫談っぽいレビューを書いてる方で、めっちゃ久々に「この人の書く記事がもっと読みたい!」と心を動かされ、ここ数日ちょこちょこ過去の記事を拝読させてもらっているのだが、そんな彼が現在最新の記事で取り上げているのがテイラー・スウィフトである。
テイラー・スウィフトの曲は今までとはまた違うベクトルで馴染みがない。これまで取り上げてきた洋楽はほとんどが60~90年代の親世代(下手したら祖父母?)の名盤ばかりだったのに対して、今作は2014年発売で世代的にはガッツリ直撃している。
ただ自分のキャラ的にキラキラした彼女の曲は受け入れがたく、名盤として扱うにはポップすぎる&まだ時間が経ってなさすぎるのもあってかあんまり「名盤」的な扱いを受けられず、その手の特集では影が薄いので正直見向きもしていなかった。一応パソコンに図書館のCDを取り込む活動をしてた頃に今作も取り込んでいたのだが、案の定全曲通して聴くまでには至っておらずちゃんと知ってる曲は「Shake It Off」しかない。
というわけでこれまで彼女の音楽に対しては特に何の感情も持たずにやってきたのだが、前述のあの人が記事の中で今作をべた褒めしているのを見て、そこまで良い作品ならいっちょ聴いてみっかと思った次第である。
感想
清々しいほど何も残らない。作風としては前述の記事で言われていたようにイオンモールの服屋とかでかかってそうなキラキラしたシンセポップで統一されており、陰気さなどカケラも見つけられない「陽」全開の作品である。個人的にはそれ以上の物を見出すことができず、全体的には好印象なのだが曲単体で覚えているのは結局「Shake It Off」しかないというねじれ現象がどうにも解消できなかった。
…というのがお試しで一回通して聴いてみた感想。諸事情によりメンタルがやられていてなかなかこういう眩しさしか感じなさそうな作品を聴く気にはなれない状況で重い腰を上げて作業用BGMとして一回聴いてみたけど、見事なまでにイメージ通りであり、今何曲目を聴いているのか3曲目あたりから分からなくなってくるという初めての現象にも遭遇し、こういう記事を書くうえでは今作は相当手強い(書くことが見つからないから)と感じた。
その後何回か聴き返した感想としては、1曲目の「Welcome to New York」がだんだん印象に残ってきたかな、というのと最後の「This Love」~「Clean」辺りが全部静かに抑えた曲で固められているのに気づいて、当時あちら側でゴシップ界隈を賑わせていた自由奔放で破天荒なイメージのある彼女でもそういうセオリー(アルバムの最後はバラードや静かな曲で締めるのが鉄板みたいな風潮)には従うんだ、という点がちょっと面白くて最後の3曲がそれきっかけで残るようになった。
メタリカのときもそうだったけど、慣れてないジャンルの曲をいきなり耳にぶち込んでもそっち方面に目覚めることはないわけで、普通に右から左へと突き抜けて行ってしまうことが改めてよく分かった。記事全体に渡ってほぼネガキャンみたいな文章しか書けてないので最後に今作を擁護させて頂くと「Shake It Off」みたいなイケイケの洋楽が好きならばまずもって外さない作風なので、そういう人には今作を強くお勧めしたいし、それ以外の人にも聴き心地が良くてそれでいて「今の何だ⁉」みたいに思考を持っていかれる引っ掛かりもないので作業用BGMとしてマジでこの上ない一作であるということだけは伝えておきたい。
一番好きな曲:Shake It Off
一番「…」な曲:特にないけど強いて言うならI Know Places