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雑記「フジファブリックの対バンライブ行ってきた」

※この記事にはフジファブリック20周年記念3マンSPECIAL LIVE at OSAKA-JO HALL 2024 「ノンフィクション」のネタバレが多く含まれます

今年の2月頃、メジャーデビュー20周年を迎えたフジファブリックが大阪でくるりとASIAN KUNG-FU GENERATIONを対バン相手に据えたスペシャルライブを行うとの報が流れた。

この手のニュースを見る時、いつもの自分なら「ほえー行ってみたいなぁ」くらいの事を思いつつ結局行かないのが定石だったのだが、サカナクションの復活ライブに誘ってくれた数少ない音楽友達が「これも行ってみる?」と同じように誘ってくれて、いざ応募してもらったら見事アリーナ席が当選。サカナクションの時より近くで演者を拝めることが確定した。

3組への印象はこの記事で言及した時とさほど変わっておらず、アジカンは「BEST HIT AKG」聴いただけのハイパーにわか状態、くるりは高校生時代の青春として自分の中に刻まれていてこの3組では一番好き、そして主催者であるフジファブリックは志村正彦が亡くなり現在の体制になってからの作品はあまり知らない、というアリーナまで行く奴にしてはわりとおこがましいレベルの認知度しかない状態でライブに臨むことになった。

会場に入ってまず驚いたのが、(当たり前のことだけど)この3組を見るために大阪まで足を運ぶ人がこんなにもいるのかということ。なんせ同世代の友人知人にはこの3組の話をできる人がほとんどおらず、軽音サークル内でさえ話は通じるけど主軸ではないというか、「良いよね」とは言いつつこの3組が一押しという人には出会ってこなかったので、そのイメージとのギャップに改めて驚かされた。

スクリーンにはフジファブリックの3人が物販のグッズを紹介する映像と、今回のライブの協賛社と思われる企業のCMが交互に流されていた。グッズ紹介はYouTuber風の編集が施された普通の紹介映像だったんだけど、随所に入る「ポン」とか「シャラララ…」みたいなSEがスピーカーがライブ仕様なせいでやたら重低音が強調されて響いてくるのが不気味だった。

とかなんとか思ってたらスタッフさんによるマイクの最終チェックが行われライブが始まった。


ASIAN KUNG-FU GENERATION

1.茜色の夕日
いきなり主催者の代表曲のカバーで幕を開けた。この曲をやるならば前情報として仕入れてたように志村ボーカルをテープで流しながらやると予想していたのでカバーで披露、それも1発目からというのは意表を突かれた。
結構原曲に忠実にやっていてアジカンっぽさはあまりなかったものの、原作へのリスペクトを忘れない好カバーだったと思う。舞台袖で誰か(スタッフ?)がエアドラムをしてノッてたのも印象的だった。

2.君という花
そして流れるようにこの曲に繋がる。元々ライブでの定番曲だったらしく、サビの追っかけコーラスを客が歌う掛け合いがバッチリ決まっていた。この曲はベストで聴いてそこそこ好感触だった記憶があり、とりあえず知ってる曲が出てきたことで一安心した。

3.リライト
ここで早くも代表曲の登場。3組の中では一番ライブで盛り上がる持ち歌が多いイメージの彼らだが、ここで客席は多分今日一番の盛り上がりを見せ、ラストのサビではゴッチが皆を煽ったのもあって大合唱が炸裂した。

4.ソラニン
続けて激しめの曲。この曲も結構有名なので、温まった場の空気はそのまま保温されながら進んでいった。ただでさえ音程高めなアジカンの曲の中でもこの曲は輪をかけて高いイメージだったのでイントロが聴こえてきた時にはこの曲歌えるのか?と要らぬ心配をしていたのだが、サビの高音跳躍は若干疑惑の判定で切り抜け、最後の絶叫はさすがに歌わなかった

5.君の街まで
さらに代表曲を畳みかける。カバーを除くとここまで全部「BEST HIT AKG」収録曲だけで構成されており、ずいぶん初心者に優しいなと思った。やはり対バンとなると名刺代わりの代表曲を並べるのがお約束なのかなぁ、とか思いつつ自分はその名刺代わりの代表曲以外を全く知らないので初心者に優しいこのセットリストは聴いてて楽しいし好印象だった。

6.荒野を歩け
ここからは全部「BEST HIT AKG」以降の曲なので必然的に知らない曲。この曲は以前のアジカンのイメージと地続きな感じの曲で、初めて聴いた割にはそんなにテンションを落とす事もなく普通に盛り上がりながら聴けた

7.迷子犬と雨のビート w/ 金澤ダイスケ
ここでフジファブリックよりキーボード担当・金澤ダイスケが客演で登場。なんでもバンドの活動が止まった時期くらいにアジカンのライブでサポートをしていたらしく「メンバーの人間関係がカサカサしてた、ヒアルロン酸が足りてなかった時に潤いを与えてくれた」との紹介でステージに上げられ、開口一番に「どうも、ヒアルロン酸です」と言い放ち笑いをかっさらった。
この記事でドラマー・伊地知潔と料理仲間なのは知っていたが、アジカンのライブで一時期サポートをしていたのはこのとき初めて知った。そして当時ライブで実際に使っていた音色をまだ保存しているという前置きでこの曲が始まった。
原曲は聴いたことないけど多分ブラスセクションをふんだんに使った曲なのだろう、その保存してあった音色がいかにも頑張ってブラスをキーボードで再現しましたって感じの音色だった。曲自体はそういう音色を活かすようなほのぼのした曲調で、山下達郎の「パレード」をちょっと連想した。

8.今を生きて
跳ねたリズムが特徴的な大人しめの一曲。曲の中で何回か「イェー イェー」と歌う箇所があり、そこに合わせてファンの方が拳を上げていたので自分もここで来そうと思ったタイミングを見計らって100%勘で拳を上げていた。何回かは不発に終わったがなかなかの高確率で正解することができて満足。

くるり

1.東京
期待の一発目はデビュー曲にして代表曲。イントロのギターが聴こえてきた途端に客席もどよめいていた。客席の人々の間での知名度は充分だし、無論良い曲ではあるんだけど何せバラードなんで、拳を上げたり一緒に歌ったりする曲ではないし、かといって座るのも失礼だしステージ見えなくなるし…という事で皆棒立ちのままステージをただ眺めていたのがシュールだった。

2.潮風のアリア
続いては最新作の一個前のアルバムでリード曲となったゆったりバラード。この調子で行くのなら着席で見てても良かったかもしれないが、周囲の人が座る気配が全くなく、同調圧力に屈した私はこのブロックも終始立ち状態で見届けたのであった。この曲は当時在籍していたメンバー・ファンファンによるトランペットが肝だと思っていたのだが、今回はトランペットの姿こそないものの確かに音だけは聞こえる(キーボードで再現したのか、テープとか流して対処していたのか…)トリックを使われ聴感としてはCDで聴くのとほぼ変わらなかった

3.Morning Paper
お次はどマイナーなアルバム曲。フジファブリックのデビュー20周年を祝うライブだからなのか、発売から同じ20周年のアルバムから曲を持ってきた。周りを軽く見まわした感じこの曲を元から知っているのは周囲では自分だけっぽいことが分かり、少し優越感に浸りながら曲を聴いていた。一度演奏が停止してからテンポアップして戻ってくるギミックが何回も仕掛けられてる曲なので、演奏が止まるたびに曲が終わったと勘違いして皆が拍手し始めるのが面白かった。

4.ブレーメン
これまた流麗なバラード。原曲は本場のオーケストラと共演したクラシカルな曲だったが今回は装飾一切なしのバンドバージョンで披露された。原曲と比べるとかなり質素な印象になりそうな編成だが、いざ聴いてみたらそんなに違和感がなかったのは曲自体の芯が強いからなのか。

5.TIME
今回唯一知らなかった曲。音楽仲間には「多分最新アルバムの中の一曲なんじゃないか」と話したけど帰って調べたら全然違った(2014年発売)。近年のくるりらしいこじんまりとした優しげな曲で、改めてSpotifyで聴き返したらライブでは入っていなかったトランペットも相まって無印良品で流れてそうだなと思った。

6.琥珀色の街、上海蟹の朝
ここ数年(と言っても8年前…)で最大のヒット曲。ヒップホップ調の楽曲だが打ち込みなしのオール生演奏で披露された。ライブのこの曲ではサビの所で蟹にちなんでみんなでピースサインを掲げながら手を左右に振るという情報を仕入れていたのでやってみたけど、いざその時になったら実際にやってる人は数えるほどしかいなかった。まぁ観客の中には主催のフジファブリックやアジカン目当てでくるりの曲はあまり知らないって人も多かっただろうしそこは仕方なかったのかな、と今にして思う。しかし私は我を貫いてピースサインを最後のサビまで掲げ続けたのであった。

7.ばらの花
そして最大の代表曲。音源で聴いても生で聴いてもこの曲には安定の良さがあることが改めてよく分かった。そんなに熱いノリで聴くような曲ではないので相変わらず客席は静かだったけどこの曲が演奏されている間は心なしか周りのテンションもそれまでよりやや上がっていた気がした。

8.ロックンロール w/ 山内総一郎
ここでくるりも主催者を召喚。2010年頃にライブのサポートメンバーとして参加してもらっていたギターの山内氏がやってきた。アジカンと同じくその頃の曲をやるのかと思いきや「リライト以上の盛り上がりを」とのMCから始まったのはフジファブリックと同じく世に出て20周年のこの曲。確か自分が知ってるこの曲のライブ音源は全部一個キーを下げてたのでもしかしたらこの曲原キーでやるのってめっちゃレア?
結果的にこのブロック最大にして唯一のアッパーな曲となり、客席の盛り上がりも最高潮。後半のギターセッションではサポートギターの松本大樹氏が「まだまだ足んねーよ!」とばかりに観客を煽っていたのも印象的だった。

9.La Palummella
ここで終わっていれば大団円だったが、本人曰く「くるりは空気の読めないバンド」「目下のところ最新曲がやれてない」ということで最新曲で締め。イタリアの著名な音楽家と共にナポリ民謡をベースに制作したという荘厳な一曲で、当然ながら観客は圧倒されるばかり。曲が終わった後に後ろの席のカップルが「やっぱくるりだわ」「やりたい音楽をやりたい時にやる人達」と言っていた。恐らくそういう事なのだろう(?)。

フジファブリック

1.Portrait
今回は3組とも1曲目はバラードという取り決めでもあったのだろうか?示し合わせたかのように彼らもバラードで入ってきた。ストリングスを抜いたback numberみたいな印象の王道正統派なバラードで、平メロがちょっと「水平線」に似てるなーと思いつつ普通に曲に染み入りながら聴いていた

2.破顔
非常に高揚感あるスタジアム系ロック。このへん記憶が曖昧で、この曲での出来事だったかはちょっと自信ないけど、キーボード担当の金澤さんが急にギターを演奏し始めてビックリした。確かにこの曲にキーボードを入れる隙はなさそうだけど、その手があったかっていうかその手使えたのか

3.LIFE
自分が知ってた数少ない山内ボーカル期の楽曲。快活でウキウキなポップスでフジファブリック全史を通してもかなり好きなのでここで生で聴けたのは率直に嬉しかった。間奏のギターソロは速弾きが炸裂するテクニカルなものでこれを演奏しつつ歌うのはかなり難しそうと思っていたけどそこはさすが元専属ギタリスト、難なくソロをこなしボーカルもばっちり決めていった。

4.ループ&ループ
何の前触れもなくゲストの持ち歌をカバー。しかもベストに入っている割と知名度高めの曲ということで周りは歓喜、自分も大歓喜であった。アジカンの「茜色の夕日」カバーがそうであったようにこちらも原曲から大きく逸脱したりはしない丁寧なカバーで好感が持てる。

5.魔法のじゅうたん
間に前曲とこの曲のカバーについて軽くMCを挟んでからの披露。山内氏がギターサポートとしてくるりのライブに帯同していた頃に出ていた一曲で、くるり側がやるかなと思ってたらまさかのここで来た。原曲はくるりなりの王道路線といった感じで親しみやすくて切ないメロディが個人的にはグッときてかなり好きなんだけど、このカバーは山内さんの端正なボーカルで曲のそういう良さが引き立ったように感じる。

6.ショウ・タイム
3~4部構成くらいの曲調が二転三転する変態チックな一曲。正直この辺りはあんまり覚えてなくて、記事を書きながらSpotifyのセトリ再現プレイリストを聴いてて「こんな曲やってたっけ?」となったんだけどなんで記憶にないのか不思議なくらいインパクト絶大な曲だとも思う。

7.銀河
フジファブリック単独では本日唯一の志村時代の曲。ベストで初めて聴いた時は前後の曲に惹かれ、志村時代のアルバムはこの曲が入った「FAB FOX」だけ唯一持ってなかったりするので、個人的には正直そんなにこれといった印象はなかった曲なのだが、今回ライブで聴いてその印象がやや上向いた。生で聴くのとCD音源で聴くのとではやっぱりどこか違うのだろう。

8.ミラクルレボリューションNo.9
最新作よりディスコ調のフレデリックっぽいナンバー。ボーカルの山内氏もギターを手放しハンドマイクで踊りながら歌い始めた。専用の振付けがあるらしく、見よう見まねながらノリノリでやっていたのだが、この曲辺りからずっと立ちっぱなし&腕上げっぱなしで負担かかりまくりだった足腰と腕が悲鳴を上げ始める。まぁ座れば良いんだけど、周りが皆立って踊ってる中で一人だけ座ってしまうというのはちょっと心理的に…ね…。

9.Feverman
ここでまさかの民謡。こういうのはくるりの専売特許だと思っていたので、フジファブリックがこんな曲を作っていたとはと度肝を抜かれた。この曲も阿波踊りみたいな振付があり、後半ベースの加藤さんが(演奏パートがなくて暇だったのか)ずっとその振付を踊っていたのが印象的だった。
個人的には皆でそうやって踊るのは楽しかったと同時に先程も書いたように体の節々がガタついていながら踊りが止めるに止められない状態で、非常に愛憎入り混じった心境でこの時を過ごした。終わったと思って腕を下ろした途端にもう一周やり始めた時はさすがにふざけんなと思

10.手紙
とうとうこれで最後。直前のMCで「今日がちょうど一番最初のアルバムを出して20周年」とか言ってたので1stアルバムからの曲なのかなと思ってたけど帰って調べたらめちゃめちゃ最近の曲だった(2018年発売)。彼らが得意としている叙情的なバラードで、MCの影響で初期の曲だと勘違いしていた影響もあるんだろうけど、それこそ志村さんが書いててもおかしくない種類の曲だよなと思う。

アンコール

1.若者のすべて w/ 後藤正文、くるり
長いアンコールの催促を経て、ここでついに3組が合流。主催者最大の代表曲をコラボで披露した。この光景にはやはり感慨深いものがあり、周囲では何人か泣いてる人の姿も見受けられた。
あと、アジカンからはボーカルのゴッチが単体で来て、くるりはメンバーが2人しかいないので両方来てたけど、ベースの佐藤さんはこの曲で何を担当していたのか?一応ベースらしき楽器を持参しているのは確認できたけど、左右のスクリーンでは全然抜かれない(てかボーカルばかり映されて佐藤さんどころかフジファブリック側の楽器隊も映らなかった)から何をしているのかはっきりとは見えなかったし、普通にベースを弾いてたとしても加藤さんと楽器が被るし(もしかして演奏を分け合ってた?)、いつもくるりでやってるようにコーラスを入れてた様子もなかったし、その場で見ていながらなおであった。

2.SUPER!!
ラストはしんみり…じゃなくて思いっきり盛り上がって明るい感じで締め。この曲は一緒に見に行った音楽友達に昔オススメされて聴いてた曲なので、最後の最後に全く知らない曲が来て置いて行かれる最悪の事態は避けれた。やはり持つべきものは友、この曲を教えてくれた音楽友達に感謝である。

というわけで生のくるりを拝めたし、活動休止に向かうフジファブリックの勇姿も見届けられたし、概ね満足のライブであった。もっと見たかった気もするけど、まぁ物足りないくらいがきっとちょうど良いのであろう。

3組とも「これ聴きたかったなぁ」という曲は各々まだまだ沢山あるので、またどっかで何かの機会に聴きに行けたら良いなぁと思う。




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