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シュレディンガーの猫
例えばAさんが、ワタシの言葉が気に入らない、とします。
Aさんは自分を楽しませてくれる言葉が欲しい。ワタシの言葉は気に入らない、と言っています。
ワタシの特性は、目に見えるものを忠実に写しとる、とします。
洋裁をしていますので、たとえばウエストが3cm大きくなれば、パンツなら穿けませんので、製図は引き直しになります。
そして、個人の現在の好みがわからないか、言わない、あるいは悪かったことしか言わないとします。
常に食べていて、食べすぎて気持ち悪いと言う程度の情報しかないとします。
そうなると、ワタシは写しとるイメージとしては、3cm以上ウエストが大きくなった、困るね、と口にします。
そして、食べすぎなんじゃないか、と呟きます。
楽しい情報はありませんので、それで話は終わりです。ワタシの仕事は、現実を写しとる役目です。芸人じゃないし。
その返事が、なぜAを楽しませないんだ?という答えでした。
ワタシは頭を抱えます。
目の前にある材料は、本人の輪郭だけです。
Aが何が好みなのか、わかりません。少なくとも、ワタシの作品が好みでないという情報しかないのです。
怒っていますが、ワタシの属性を知ろうとはしません。
ワタシはものづくりの関係上、数センチの誤差でも、写しとる作業が出来なくなるのです。
例えば猫なら30cm位だと思いますが、それを15センチくらいの大きさに作っています。
マズルの大きさだと1cmくらいしかありませんが、これをつけないと猫に見えません。
耳を三角にしたくらいでは、猫と断言出来ません。顔を人間のように正面に集める、胴体長め、しっぽは足の長さプラス関節1つ分、など抑えて、やっと猫になっていくのです。
さらに違う猫にしようと思えば、体格、模様などだけでなく、性格がわかるような雰囲気も出していきます。
こんな細かい作業ばかりしていますので、浮世の情報はあまり詳しくないです。
ただ、怒られてばかりなので、まずはなぜなのか考えてみました。
この時ヒントになったのが、題名につけた、シュレディンガーの猫。
知らなかったので調べたんですが、昨年のノーベル物理学賞でシュナイダーの猫のコペンハーゲン理論を裏付けた方が受賞したそうで、、
結果は、見ないとわからないが、50%の確率はある。
量子力学の話、最近よく聞くようになりましたが、見ないとわからないけど現象としては生死どちらもある。なんて話を計算式にするって凄いなあ。。
それはさておき、話がずれている、Aを楽しませるのも材料がないので無理、ということがわかったのです。
つまり、Aがワタシに期待している材料もないし、ワタシが見えるAの素材にも素敵な要素はありません。
そして、Aが期待している言葉を得るのなら、ワタシに今ナウの自分の好みを伝えないと難しい、ということも、わかりました。
つまり、迫られたり脅されたりしたら、気に入る言葉はひとつも見つからないのです。
ワタシは妄想とか想像とか、そういう能力がかなり欠けています。そのかわり、誰かがイメージを送ってくるといきなり再現出来るという力を身につけました。
これ作ってくれ、と言われたらそのうち突然イメージが降りてくるのです。雷のように。
そのかわり、調整役とか、バランスとってくれとかいうのは難しいです。
作っている人にはわかると思うのですが、この世に存在しないものを作るのは難しいです。大抵、誰かしら作ったものが元ネタにある。
そのため、今あるものでバランスをとるのが難しいのです。似ているけど違うものしか作れない。
今のワタシが楽しいことを言え、と言われても、芸人さんに面白いこと言えと言ってるのと同じように聞こえます。
芸人さんはネタを常に考えています。相手の材料に頼らずに喋るネタですが、相手によっては伝わらないこともあります。
だからといって、その芸人さんがダメとは限りません。たまたま、そのネタで笑えなかっただけ。
ワタシの話がスベッているのはわかりましたが、言われて不愉快だ、謝れ、と脅すのは、ワタシに楽しい素材を渡せば避けられること。ただ、それだけです。
ワタシという素材を活かせなかったのに、ワタシを責めて、いい言葉に変えるよう言われても、ワタシはただの職人であり、増幅器なので。。
さらに、「フツーの人はこう言う」と言っているのだから、ワタシが言うセリフでないことは、知っているじゃないですか。
ワタシは「フツーの人」ではないです。
フツーの人が言う言葉に合わせろ、と言うのは、クリエイターにとっては著作権違反です。
人と同じものを作ることは、販売が目的なワタシには出来ません。
言葉のプロではありませんが、常に他の人と違うように、気を配っているワタシには、考え方が違いすぎて出来ないのです。
このように、普段心がけている事は、身口意(しんくい)にもそのまま出てしまいます。
ワタシの身口意を否定することは、ワタシのポジションや行動を否定することに見えます。
そして、ワタシに面白くない話をしてから、素敵な言葉の返しを求めるため、ワタシの思考が破綻します。
現実を面白くしたいのなら、言葉も自分が面白いものをキーワードに入れてほしい。
つまり、心を閉ざしているから、いい言葉も受け取れないのです。
自分から材料を出さない、面白い言葉を言わないということは、面白い言葉を避けた話を返すことしか出来ません。
そのまま、面白くない内容のやり取りしか出来ないため、ワタシも心を開けることは出来ないのです。
しんどい事辛い事しか言わない人に、素敵な言葉を求められると、ワタシが破綻するのはなぜか、やっと思考の流れがわかりました。
店員さんをしていた時は、頭が店員さんというモードに入ります。
接客はお客様が求めている事を全面に出してきます。用事があってここにいるため、解決が最優先です。
どう返すかは、お店側がある程度決めているため、決まった返事を返すのが仕事になります。
今でいう、ロボットチャットと変わりません。
大半の仕事では、ありがとうございました、しかしゃべりません。
だから無人でも出来るのです。
これも、心は閉ざしています。
お客様には関係ない情報を与えない。でもたまに来る友達には、普通の会話をします。
仕事場とはいえ、そこへ来てくれている、時間を取ってくれている、という良い情報がプラスされています。
店員モードのスイッチは、オンラインショップ上にありますので、普段のワタシにそのスイッチはありません。
仕事場では、時間を取って仕事をしている、仕事場でどんな仕事をしている、というプラス情報が共有されているため、お互いの情報は知らなくても会話は成立します。
それ以外の場で会話を良い方へ持っていきたい場合、何かしらの情報解禁が必要です。
現在の人は好みが細かいため、男性女性くらいでは適切な話題を提供出来ませんし、健康か、機嫌が良いか、でも対応は変える必要があります。
不健康、機嫌が悪い、という情報は時々ありますが、機嫌が良い時に話しかけてくることはありません。
ワタシは健康な明るい話題の中に入れてくれれば、いくらでもしゃべります。
不健康な人に、こちらから喋ることはありません。専門家ではないので。
不機嫌な人なら尚更です。何も言わなくても怒る可能性があります。
Aの人は、自分が機嫌が良いのかどうか、自分ではわからないそうです。
こちらから見てる感じでは、機嫌の良い時に話しかけてくることはなく、悪い時に話しかけて来ることが多いです。
そんな時限爆弾を持って声をかけてくるのだから、どうすればご機嫌を損ねない話が出来るのか、わかりません。
ワタシは話の専門家ではありません。ご機嫌伺いでもありません。どうしてこんなに怒られ、責められるのか、わかりはしましたが、役目は変わりはしないのです。。
たくさんの祝詞や真言を聞いて夜を過ごしました。
ワタシの夜明けは、いつ来るのだろう。
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