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【遺跡探訪28】ライ王伝説を探して迷子になった(バイヨン Bayon 12世紀後半)

先日行ったアンコールトム内の「ライ王のテラス」の元になったライ王伝説のレリーフがバイヨンの第二回廊にあるという話を聞いて、近々行こうと思っていました。

クメール正月晦日

クメール正月を控え、昨日が仕事納めや学校最終日だったところが多かったようです。昨日は近所で夜中まで宴会をやっているのが聞こえました。

アンコールワット外濠沿いの道には、イベントスポンサーらしきChip Mongの旗がたくさん立っていました。Chip Mongは、ベトナムで言うVin Group(どんな事業もやっている巨大ローカル企業)のカンボジア版で、特にショッピングモールと銀行が有名です。

まだシェムリアップにはChip Mong Mallは来ていないようです。この旗に書いてあるメガモールも、プノンペンの新しいモールのよう。

今日は空気もあまり澄んでなくて、外濠の水も濁って見えます。とにかく暑いです。4月の典型的な気候でしょうか。

アンコールワットとバイヨンの人出がすごい

写真は朝8:00頃ですが、既にアンコールワットから帰ってくる人の流れがあります。いや、早朝に行った方、正解です。

両脇の店舗はやっと躯体ができた様子でした。果たして正月に間に合うのか?

3年ぶりのイベント解禁

アンコールトムのチケットコントロール前には、クメール正月のイベントマップが設置されていました。巨大イベントは3年ぶり、アンコールワットとアンコールトム周辺で様々なイベントが行われるようです。

バイヨンに着きました。これも3年ぶりのバイヨン渋滞です。そう言えば、その昔はバイヨンといえば象でバイヨン遺跡を一周するアクティビティがあったのですが、コロナで中止後、もう二度と戻ってこないかもしれないな、と思います。

私はここでは乗ったことないのですが、ベトナムの高原バンメトートで小学生だった長男と象に乗り、オーバーワークの象に同情してしまいました。

バイヨンの観光客が多い!

最近、小規模遺跡ばかりに行っていた私は、クメール正月+バイヨン(有名遺跡)の混雑を予期していませんでした。

石碑の左のシンハはイベントステージのために設置されたようです。木彫です。

正面の東門から入れず迂回

東門はイベントステージの準備のため、通行止めになっていました。そして道を塞がれたアリの列のように人々が東門の左右からバラバラに内部に入っていく様子が見えました。

東側より。第一回廊と第二回廊の間です。

迷子になる

そう言えば、私はバイヨンの第二回廊より上に一人で行くのは初めてでした。多分バイヨンは今回で4回目で、初めての時は方向に強い夫が一緒、2回目は両親と来たのでガイドさんと一緒、3回目は第一回廊のみでした。

来るまで忘れていたのですが、バイヨンの第二回廊は、アンコールワットや他の寺院のように平らな回廊ではなく、激しく上下し、しばしば回り道もある、迷路のような道なのでした。

時々上の写真のようなハッとする彫刻があり心奪われているうちに、今来た道と目指す道が分からなくなってしまう、迷宮なのです。(方向音痴?)太陽が東ということだけを頼りに、ガイドブック片手に進みました。

そして段差がすごく、道も時々内側や外側に行かないと真っ直ぐに進めない。

先に見る予定だった第二回廊の東側の壁面にあるはずの「ライ王伝説」が見つからず、もしかしてここは第二回廊ではないのでは?という疑いまで出てきたので、地元っぽい人に「ここsecond floorですよね?北はこちらですよね?」と聞きながら、何とか乳海攪拌へ到着。

残念だったバイヨンの乳海攪拌

先日のプレア・ピトゥの乳海攪拌が非常に良かったため、バイヨンにも乳海攪拌があると知って、また「ライ王伝説」と同じ第二回廊ということで、今回見に行こうと決めていました。

どうしてこんなに色々な遺跡に乳海攪拌があるのだろうと思いましたが、ヒンドゥー教版の創世記だからなのですね。

実際のレリーフは第一回廊に比べるとかなり状態が悪く、ナーガ(大蛇)を引っ張っている神の像はかろうじて残っている感じです。

ところどころ、石自体も欠けてしまっていて残念です。手前にはナーガが見えます。

はっ!気づきました。これはもしかして、南大門をはじめとする四方の門の、ナーガを引っ張る神と阿修羅の像は、中央のバイヨンを回そうとしているのでは?!!

調べてみたら、やはりそうでした。

周囲を環濠で囲み、その中心にバイヨン寺院を置くというその構成は、環濠を大海に、バイヨン寺院を宇宙の中心であるメール山に見立てたインドの宇宙観を表す聖域としても機能したと考えられていますが、そこには乳海撹拌の構図が取り込まれているというのです。

アンコールトムの門前に立ち並ぶ彫像たちが、綱(蛇神)を引いてバイヨン寺院(メール山)を回転させ、乳海(環濠)を撹拌し、そこからアムリタ(収穫)が得られるというものです。

ピースインツアー|https://www.pitt.jp/report/cbd-som.php

バイヨンはその存在がヒンドゥー教の世界観というのは、そういうことだったのか!!「ヒンドゥー教の世界の始まりを実際彫刻にしたらこんなんなりました」っていうのを600年以上昔に縦横7kmの巨大な敷地に作ったんですよ。いやすごいです、感動です。語彙があまりなくてすみません!!

メインの道以外は人間用階段がないので、神様用(?)の蹴上が非常に高い階段を登らなくてはいけない

やはりデヴァターがすごい

「ライ王伝説」を求めて迷いながらも、時にびっくりするような彫刻に出会います。これは第二回廊の東側をうろうろしていた時に出会ったデヴァターです。

チラッと仏面も見えます。そう言えば第三回廊は修復中で登れないので、遠くから拝むしかありません。修復は日本の上智大学アンコール遺跡国際調査団によるそうです。

「ライ王伝説」ニアミス

ガイドブックによると「ライ王伝説」はここのような感じだったのですが、何か違うような…

この時はあまりに暑く(おそらく35度くらい)その場でガイドブックを読み込むこともやめてしまったのですが、後から家でよく読んだら、「ライ王伝説」はすぐ左にありました。ニアミスでした…見たかった!

この斜めの線が「ライ王」の位置かと思ってしまった。左側の赤丸が正しい位置です。
力入りすぎて折れ線ついてしまったよ…

しかし、複雑な第二回廊がわかってきました

実はめちゃくちゃ難易度高いバイヨン個人見学。世界観もさることながら、今自分がどの位置にいるのかすぐ見失ってしまいます。

いま記事を書きながらガイドブックと写真を突き合わせて発見したことは、

  1. 第二回廊は壁の外側の道と内側の道がある

  2. 内側の道からさらに内側に道が分岐している

  3. 「ライ王伝説」がある壁の外側の道は階段で昇降する上に、完全に外に出ないといけない部分もある

ということでした。次回は行けそうな気がします!


東に戻ってきました。
正装で来て写真を撮っているカンボジア人も多かったです。素敵だなあ。
帰り道で発見。ここでマップを作っていました。正月に設置は間に合うのか?
マップには4/11の予定から書いてあったので、間に合っていないんだなあ。


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