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大学のゼミに参加させてもらったらジワジワとショックを受けた話

先日某大学の政経学部生のゼミにお邪魔し、30名ほどの学生と話す機会を得た。
日常で若者と接する機会がないので、学生さんと話してみたいとFacebookで呼びかけたところ、大学教授のY先生が「うちのゼミにお越しください」と機会をくださったのだ。

当初の想定は、誰かのお子さんとファミレスでご飯を食べながら1時間会話、くらいの想定だったが、違う角度からの思いがけない嬉しいお誘いにラッキー!と喜んだ。

私は仕事でも人前で話す経験もなく、学生の前でうまくコミュニケーションが取れるか自信がなかった。ただ、私の目的は、「私が」最近の若者がどんな感じか知りたいということだった。私に講演してほしいと依頼されたわけでもない。私が知りたい欲を満たせたらいい。そう楽観的に考えて当日乗り込んだ。

あらかじめ「大人として教える、という感じではなく、同じ人間として、多様な経験を持つ一人の人間が、その時どう感じたのか、フラットに話してほしい」とY先生からも要望があった。それでも、なんとなくのイメージで、社会人として質問される側、語る側、という姿勢を持っていた気がする。

贅沢なことに2年生のゼミと3年生のゼミ2つも参加させてもらった。
2年生クラスも3年生クラスもおおよその流れは同じで、まず①みんなから自己紹介してもらい、その後、②私が自己紹介・経歴紹介をし、③学生からの質問を黒板にて受け付けるターン、④私からの質問を聞いて学生が回答するターン、⑤最後に自由質問、という流れだった。

学生の多くはこれから社会人になることもあり、会社選びや転職についての質問が多かった。実際に頂いた質問は文章の最後に記す。その詳細なやり取りをここに書くつもりはない。

学生30名ほどと3時間ほどみっちり話して思ったこと。

みんな素直で繊細、とてもいい子。だけど正直、ピュアを通り越してピュアすぎるというか、不安に怯えて思考停止してしまっているような。数名は社会人になってうまくやっていけるかな?という子もいた。
アグレッシブではなくどちらかというと受け身。だから不安を消すために動こうとか質問しようとかそういう積極性はあまり見られない(もちろん積極的な子もいる)。私のことをめんどくさいな、と思っているより(もちろんそういう態度の子もいた)何を聞いたらいいのかわからず目が泳いでいるような様子。

最近の若者は消極的だとかそんなことを言いたいのではない。それがいいとか悪いとかそういうことではない。そういうのを感じた、という感想だ。
全然言語化できていないのだが、日常感じることのない感覚だった、というのが今の精一杯の私の表現だ。

そういう日常の生活だけでは感じ得ない空気がここにあることを私が知った、ということが衝撃だった。カルチャーショックとか、ジェネレーションギャップとかそういう言葉とも違う、atmosphere=空気感の違いだったのだ(まだうまく表現できない)。

自分もかつて大学生だった。
だから大学生の気持ちはわかっていると思っていた。
でも、この空気感は想定とは違った。

恐らく学校ごとのカラーもあるが、同じ学生の頃に感じた不安な気持ちもあったはずだ。
でも私はこの不安な気持ちを忘れている。もちろんポジティブな気持ちも忘れているのだろう。もしかしたら今の時代ゆえの新たな空気感かもしれない。

今のこの子たちが感じる不安定さ(もしくはこの日は聞いていないポジティブさも然り)を日常から触れていないというか、知らないこと自体がいけないことのような気がした。同じ日本人なのに違う世代の子たちの気持ちを想像さえできていなかった。「知っている」と「できる」の違いのように、想定してみると実際生で触れてみるの違いともいえるかもしれない。

社会人と学生が話すということは、刺激を受けるとか与えること、そんなイメージで考えていた。違う。刺激を感じる前の土俵(空気)がそもそも違ったのだ。同じ空気を吸えていなかった。
あまり好きな言葉ではないが、大学生と接することさえも「多様性」の理解なんだ。そんなことも気が付かなかったのか、と愕然とした。海外に行かなくても、違う空気感を感じたことに驚いたのだ。こんな近い存在なのに、考えもしなかった。

もちろんこれはたまたま とある大学の、学生との間の私の空気感だが、違う大学もそう、高校生も、中学生、小学生も。もちろんお年寄りも。そういう年齢のくくりだけでなく会社や場所や文化のくくり、様々なくくりとの空気感の違いが無限にあるだろう。社会人一歩前の大学生というくくりだけでも知らない空気感があるのだと。

普段の日常の中に、違う空気感を持つ人々と触れ合う時間が自然とできたら、今回のように驚きはしないのかもしれない。世代ごとの楽しみや悩み、それを空気で触れ合う日常が私たちの生活にはない。足りなすぎる。自ら触れようとしないと気づけない感覚があることを意識してつかみにいく。そうすることで世の中はもっと優しい世界になるし、一人一人がもっと豊かな人生になりそうな気がする。

時間が経つにつれジワジワとあの時感じたものは何だったのか深く考えていった。本当にいい体験をさせていただいた。私は彼らと(彼らの空気感と)つながり続けたい。




以下、学生から私宛にもらった質問や、私の質問への回答
(実際には私宛にもらった質問に私から回答し、私が行った質問の回答に対して感想も述べたがここでは割愛する)

▼2年生からの質問
「やりたい職業がない、どう選べばいいか?」
「息抜きでしていることは何ですか?」
「今の仕事をやりたいと思ったきっかけは?」
「社会人になって驚いたことは?」
「後輩と接するときに意識することは何ですか?」
「仕事を選ぶときに大切にしていることは何ですか?」
「転職するときに気を付けることは何ですか?」
「自分の職業を変えるのは難しいでしょうか?」

▼3年生からの質問
「新入社員に何を求めますか?」
「転職はどんなイメージを持たれるか?」
「ドラマで見るゆとり世代やZ世代は本当に存在するのか?」
「上司からのプレッシャーがある中で仕事に対する意欲を保つ方法はありますか?」
「外国人の同僚はいますか?いるとすれば一緒に仕事してどう感じますか?」
「なんでIT業界に行ったのか?」
「専業主婦になることを考えましたか?」
「なんで若者と話したいのか?」

▼2年生への質問:はやく社会人になりたい?その理由は?
<なりたくない>
・自由がなくなるから。
・新しく人間関係を気づけるかという不安感にかられるため。
・週5日で朝から働くから
・社会人になるまでの過程や新しい環境になるのがいや
・社会人になると、自分の生活を支えるために大変であるから。
・社会人になると自由な時間が少なくなるから。
・地元の友達がほぼ社会人で遊ぶ時間を会わせるのが難しいから。
<なりたい>
・勉強しながらお金を稼げるイメージがあるから。(学生は学業とバイトが分かれる)

▼3年生への質問:こんな会社で働きたい。を教えて。
・福利厚生充実
・残業少なめ、週休2日
・転勤無し
・年功序列
・通勤時間45分以内
・育休産休が取れる環境
・パフォーマンス重視
・他の社員と比較をしすぎないでほしい
・安定した基盤があってキャリア形成ができるコト
・新人育成の環境が盤石であること。
・研修制度がしっかりしている。しっかり学ぶことができれば自信が付きそう。
・活気があり明るい雰囲気のある会社
・上下関係がある中で柔らかい
・給料高い(年収600万円以上)
・仕事に対して誇りが持てる会社

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