音声認識アプリ~皆で使い道を探ろう~

第77回

難聴ソルのゆんたくTime

 

2017(平成29)年9月5日 島原新聞掲載

 

平成23年2月24日の島原新聞の難聴ソルのゆんたくTimeに次のような文章を書いていました。

 

―私の願望。今、スマートフォンは音声を文字に変換する機能がある。それを聴覚障がい者のためにもっと充実させてほしい。例えば、地デジのテレビ字幕が出るように机上にケータイを置いて、話している人の声が自動的に文字化していくようなシステムができれば有利だと思う。

 

6年前に願望として載せていたことが今実現しつつあります。これを可能にしてくれたのが「UDトーク」という音声認識アプリです。

 

UDトークのUDとは、ユニバーサルデザインの略で、誰にでも分け隔てなく使ってもらえるコミュニケーションツールです。特に私たち難聴者にとっては画期的なツールとなりつつあります。

 

具体的にどういうものかと言うと、スマホのマイクに話しかけると音声認識によって瞬時に文字として表示されます。聞こえる人にとっては瞬時に言葉がそのまま聞こえて理解できるのが当たり前でしょう。

 

しかし私などは細部まで聞き取れないので身近な誰かにもう一度説明してもらったり、文字にして伝えてもらったりすることが多いのです。そのため、直接自分に言葉が届くことが難しいのが現状です。

 

UDトークの登場は、その状況を打開してくれました。UDトークを使うと、文字によってではありますが、第三者を挟まずに直接対話ができるのです。しかし、まだ多少の問題があります。滑舌が良い人同士ならきちんと認識はしてくれるのですが、難聴者独特の発音では誤認識が多かったり、全く認識しなかったりする場合もあるのです。

 

ですが、外からの情報を拾いたい時には大変活躍します。例えば、講演会などの場ではとても重宝します。福祉関係の講演会であれば、要約筆記者にお願いできるけれども、それ以外の個人的に行きたいと思う講演会ではお願いしにくいため、これまでは行きたいと思う講演会に行くことができませんでした。

 

しかし、UDトークを使い始めてから興味がある講演会や研修会に積極的に参加できるようになりました。会場のマイクとスマホを接続することによって、話し手の言葉がすぐ文字として目の前にでてくるのです。その人の言葉の使い方の細かいところまで、聞く(見る)ことができれば、内側にある気持ちまで理解できるようになります。

 

UDトークを利用することによって、視野が広がり社会との接点も多くなると思うのです。ただし誤認識が多いのも事実です。色々な場面で利用した結果、10回以上講演会や研修会に行って、ほぼ認識できたのは半分以下でした。

 

私が色んな講演会や研修会に行く場合は「UDトーク訂正者」に同行してもらっています。UDトーク訂正者とは、誤認識した文章をパソコンでタイムリーに訂正してくれる人のことです。私が知る限り、今の所この訂正ができる人は長崎県に1人だけです。これからUDトーク訂正者がもっと増えてくださるといいのですが…。

 

まだまだ使い勝手が悪い所もありますが、利点が多いことも事実です。まずは皆さん使ってみてください。基本的に個人で使う場合は無料です。皆さんが使えば使うほど改良が進むと思います。

 

ここ島原では近年、外国からのお客様が多いので、UDトークの翻訳機能を使ってのコミュニケーションをしてみてはいかがでしょうか?英語、中国語、韓国語、スペイン語などありとあらゆる国の言語の翻訳ができます。外国語から日本語、日本語から外国語への変換が可能です。一台のスマホに向かってお互いに母国語で話をすれば、それぞれの国の言葉でその場で瞬時に文字にして訳してくれます。

 

いろんな使い道を皆で探ってみませんか?

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