かん味処vol.4「言葉と想像力」商品PRの文章をつくる
言語化が苦手だ。なにか感想を求められた時、とっさに「素敵」とか「素晴らしい」という平易な言葉に逃げてしまう。じっくり考えて書くときは、あれもこれもと情報を詰め込みすぎたり、シンプル過ぎすると文章の個性がなくなるんじゃないかなど余計な邪念が入り、結果とっ散らかった文章になってしまう。もっと上手に言語化できるようにしたい。
今回のかん味処のテーマは「商品PRのための文章作成」。過去3回のかん味処同様、まさに学びたいテーマだ。
簡潔にまとめたり、より印象に残るためにどうやって書けばよいのか。「言語化力」のスタートに立つ方法を伝授します。(講座概要より)
受講前までは、自分の文章力の弱さの原因は、語彙が貧弱なことと文書を書く経験が浅いからだと思っていた。もちろんそれはそうなのだけれど、そもそも言語化する意味、言葉は相手にどう伝わるか、相手は何を求めているかまで深堀して考えて書くということが、講座を通して痛いほどわかった。
1.なぜ言葉で伝えるのか。
PRとは、「そこにいなくても知らしめるもの」である。PRやブランディングの手段として、見た目の良いロゴマークやデザインが取り上げられることがあるが、果たしてその商品についてきちんと情報が伝わるだろうか?(そのロゴマークが認知されていないなら尚更)
正確に情報を伝えるなら、言語化=言葉にする必要がある。つまり、商品名や商品説明含めて、すべてがPRの手段になっているのだ。逆を言えば、商品名や商品説明がきちんとPRの役割を果たせていなければ、その商品は手にとってすらもらえないかもしれない。
商品名や商品説明が持つ役割を考えたとき、「お客さんが買いやすいこと」「お店の人が売りやすいこと」という視点が大切なのだという。
他の商品がある中で、その商品名・説明でその商品にたどり着けるか。
1:定義する
2:分別する
売りやすい、探しやすい、買いやすい、伝えやすくする
3:伝達可能にする
4:使いやすくする
商品をどこかの売り場に置いてもらうなら、商品管理しやすい名称である必要がある。カギは「12文字以内」。これはレシートに表示される文字数であり、POSシステムでの管理やネット販売でも同じ考え方だ。
POSシステムに表記される12文字で商品が識別できないと売上管理がしづらく、現場のストレスになり棚落ちの候補に挙げられる。また、在庫や陳列棚から探しやすくなるということも重要だ。
買う側にとっても、覚えやすい長さの商品名は認知増につながる。「口コミはパッケージでなくコトバで広がる。」と言われてなるほどと納得した。
貴重な12文字の商品名に【】や★など入れるのは勿体ないし、見づらい。
産直ECでいくつかの商品がひとつの画面に並ぶとき、最初の数文字でなんの商品かわからなければ、そもそも商品の違いがわかりづらい。
さらに違う商品なのに同じような商品名が並ぶと、差別化できず、お客さんはどれが何だかわからなくなり、購買意欲を削いでしまう。
この講座の後、店頭に並ぶ商品と産直ECで見る商品、それぞれの名前をよく見るようになった。今まで何気なく目にしてきたメーカー商品など、とことん考え抜かれてこの言葉が使われているんだろうな、ととても勉強になる。
2.言葉の周りの環境
商品がどこに置かれるか、その周りの環境によってもPRの表現を変えなければいけない。同じ生産物を売るにも、直売所、百貨店、ECサイトでは購入の背中を押す要素が異なる。また、相手が「今」「何を求めているか」を意識する必要がある。
どこに商品が置かれるか
直売所:時間価値を訴える
百貨店:購入の納得感を与える
EC:平面(画面)のデメリットを補足する
相手が何を求めているか
急いでいるとき:簡潔さ
迷っているとき:損をしない左脳情報
決まった時:共感する右脳情報
ひとつこれはやめようと強く思ったのが、「同音で別の漢字に言い換える(仕事→志事みたいな)」ことや「造語」「無理に漢字にする」など言葉を無駄にイジること。目を引こうと、変な言葉遊びをするのは逆効果。そもそも意味が分からない言葉は伝わらない。ダジャレとか好きなので、ついやってしまうが本当にこれは気を付けなければと思った。(そういう言葉遊びとか上手い言い回しははプロのライターさんに任せよう。)
3.自分に落とし込む
今回一番強く感じたのが、伝わるPR文章を考えるには、読み手の立場で「その言葉がどう伝わるのか」を想像しなくちゃいけないということ。自分の気持ちが空回って、独りよがりな言葉になっていないか。とことん相手目線で考える姿勢が必要なんだと感じた。
商品PRとは離れてしまうけれど、自分の今の仕事に置き換えてみると、お客さまとのメールのやり取りで今回の学びが大いに活かせると思う。顔の見えない相手からの問い合わせにメールで答えるのが今のメインの仕事だ。自分が説明したいことをつい長々と書いてしまい、先輩からの文章チェック時に修正される。お客さまが求める情報にたどり着きやすい構成にすることも必要だ。(そもそもお客さまが欲しているものが、情報そのものではないこともある)。自分の文章を客観的に読んでくれる、もう一人の自分がほしいといつも思う。
私は、コミュニケーション不良の原因は、情報を発する側にあると考えるようにしている。相手に伝えたいと我武者羅に頑張ったとしても、その相手を置き去りにしては伝わらないんだと改めて考えさせられた。言葉を届けたい相手の目線や、言葉が置かれる状況をきちんと想像して文章を作る。(苦手とか言っていないで)ちゃんと考えて書く訓練をもっと積まなければ。