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情報処理安全確保支援士「徳丸本」活用法【非SE向け・webセキュリティ対策】
記事の内容
支援士の午後問題における「webセキュリティ」(※1)対策に必須と言われる、「安全なWebアプリケーションの作り方 第2版」通称「徳丸本」について、試験対策における活用法を記載する。
★伝えたいこと★
・本稿により、非SE・非開発者の素人でも対策が可能である。
・徳丸本は、全てを読む必要はない。
・本稿では、徳丸本を効率よく活用する方法を提示する。
※1 本稿では、XSS・CSRFなど徳丸本で主に扱う分野で、かつプログラミングが必要のない問題をいう。
なぜこの記事を書いたか?
近年の支援士では、「IT素人の確実な一発合格」のためにはwebセキュリティの対策がほぼ必須だ。しかしながら、AP・FEなど下位試験で一切問われない内容であるにも関わらず、「webセキュリティの攻略法」「徳丸本の活用法」についての情報はネット・参考書ともにほぼ皆無であり、私は受験時に大変困った。私は暗中模索で対策を行い、その成果を過去問で実感しつつR6秋の本番も午後82点で合格できたので、この場でノウハウを共有したい。
webセキュリティの対策が必須である理由は、以下の記事で取り扱っているため参考にしてほしい。
筆者のスペック
・私立文系大卒。
・事務系総合職。
・中規模企業の「なんちゃって情シス」部署を約5年。SE業務は全委託。
・取得資格:SC【R6秋・未登録】、NW、AP、FE。全て、近年一発合格。
本稿の対象者
以下をどちらも満たす方が対象だ。
・web系に関して自信がない/素人の方
・支援士を「確実に一発合格」したい方
本稿における前提知識
本稿の前提として、支援士の「webセキュリティ」の対策法や、分野別の対策優先度に関する知識があることである。これらは過去に記事化しているため、まずこちらを参照頂きたい。
これを踏まえたうえ、徳丸本の活用法について、筆者独自の分析結果から記述する。
本稿の内容は、R7.2現在ネット・参考書ともに他にない情報であるため、貴重な情報を提供できる意義があると考える(存在していたらごめんなさい。筆者は受験期に出会えず困りました!)。
とはいえ、本稿の情報は、令和7年1月時点において筆者の色眼鏡を通したものだ。実際の活用法については、受験年度やご自身の得意不得意などの状況を勘案し、そして全ての過去問をご自身の目で見た上で緻密な考察を立て、より自身に合った、より優れた活用法を編み出してほしい。
支援士における「徳丸本」活用法
(1)購入しよう
誰かに借りて数回読む程度では全く対策にならない。購入し、手元におき、いつでも見られる状態にし、線を引き、解説を書き込む必要がある。
(2)本をコンパクトに切ろう
この本は充実度を反映し、大変重い。だが重さと分厚さゆえ、持ち運ぶことや読むことが億劫になったら試験対策は失敗する。私の推奨は、4分冊に切り取ってしまうというもの。(徳丸先生、ごめんなさい!)
具体的には、次のようにする。
カッターと「背表紙補修テープ」を100均で買う。
96ページ、280ページ、456ページで切断!
背表紙を「背表紙補修テープ」で張り付けて補強。
ぜひやってみてほしい。(本も気持ちも)驚くほど軽くなる。
①~④分冊のうち、試験で活用するのは②>③>>>①>>>>>④となる。
頻出分野は②に固まっており、気軽に持ち運べる。
(3)目次にチェックを入れよう
目次に並ぶ項目こそ、次回の出題範囲。恐らくIPA試験委員も、毎年睨めっこしてネタを探している。しかし、その全てが出題範囲ではない。まずは以下の記事で、webセキュリティの分野別の優先度を確認してほしい。
この記事の内容(≒過去問の出題範囲)から、どのページが出題範囲かおおよそのアタリが付く。その部分に、ペンで優先度のチェックを入れよう。優先度順に読み込んでいけば良い。
なお、具体的に徳丸本のどのページを読めば良いか?については、コメントなどでニーズがあれば記事を出そうと思う。これも唯一無二の情報のはずだ。
(4)過去問を解こう
過去問は当然必須。以下の記事を参考に、過去問と本書を往復する。
(5)【ミクロ編】「現象」をノートにまとめよう
ボーっと流し読みし適当にマーキングするのは全く意味がない。
そうではなく、セクションごとで良いので熟読する。XSS基本編を例にすれば、121~122ページが1セクション。セクションごとに、筆者が言わんとする現象を、HTMLから死に物狂いで理解する。HTMLやスクリプトは、趣旨と関係ない部分は分からないままで良い。セキュアプログラミング対策ではないし、何よりphpは絶対に出題されないからだ。私は筆者の主張に関連する部分にのみ、稚拙な矢印を書いたり、入力された値がどこに入るか等を書き込んだ。HTMLが分からなければ、ググる。chat-gptに解説させる。
そして、その内容が試験で問われる余地があるか、IPAの立場で意地悪く考える。問われる余地があれば、同じ内容をノートにまとめる。問われる時に空欄になりそうな箇所をピンクで記入し、後で赤シートで隠して暗記する。
(6)【マクロ編】「問題点と結論」をノートにまとめよう
前項はミクロな分析だ。ミクロ知識の集大成が、本項のマクロな分析。
つまり、次の2点の組を理解してまとめる。
・【問題点】脆弱性が発生する条件は何か?(+その理由)
・【結 論】その対策は何か?(+その理由)
これは必須中の必須。これこそが、私が「ワンパターン」と考えるもの。種類も大して多くないからコスパ抜群。ミクロな現象を丁寧に理解しつつ、これらを丸暗記して、本番にそのまま回答すれば良い。
(7)IPA本との兼ね合いはどう考えるか
徳丸本をやり込むのに、この「IPA本」も読みこむ必要があるかどうかは、意見が分かれる。
だが、私はIPA本もノートにまとめた。理由は次の5点。
試験作成と同じ団体の刊行物であり、出題可能性が高いため。
徳丸本は、読みこむと分かるが、ページの多さに比して意外と出題ネタを探しにくいゆえ、IPA本からの出題もあり得るため。
他の受験者は、徳丸本を読まずIPA本だけで対策している可能性が高く、彼らに差をつけられないようにするため。
徳丸本を読み込む前にIPA本を何度か読んでおり、そのリソースを無駄にしたくなかったため。
絶対確実に一発合格するため。
どう考えるかは読者のお考えに任せる。とはいえ、徳丸本をマスターした時には、IPA本など大した内容が載っていなかったことに気付くだろう。IPA本に手を出しても、そこまで負担にならないはずだ。
おわりに
以上の内容は、私が受験に際し独自に分析し、戦略を立てたものだ。そのため、最終的には受験者ご自身の目で過去問を確かめ、ご自身にあったより優れた対策にアレンジし、確実な合格に繋げてほしい。
受験者の方に少しでもお役に立てれば幸いです。お気軽に高評価やコメントを頂ければと思います。攻略のための独自データ等々、更なる執筆に繋げる力になります。
※支援士のwebセキュリティの攻略については、以下を御参照ください。
※支援士の攻略記事全般については、以下を御参照ください。