星の王子様とアンパンマン
私が子供のころから考えてきた問いがあります。
人は何のために生きるのか?
子供のころは、ハッキリした言葉になりませんでしたが、
漠然とした生きづらさとして、
心の中に響いていた問いです。
小学校のクラスメートの中にうまく溶け込めなかったり、
中学受験の第一志望に落ちてしまったり、
地元を離れて通った中学でも自分の殻に閉じこもりがちになったり、
何か周囲にうまく溶け込めないズレを感じて生きてきました。
そんな悶々とした思いを言葉にしてくれたのが
星の王子様とアンパンマンです。
星の王子さまは六つの星を旅した後に、
七番目の星、地球にやってきます。
そこは砂漠。人っ子一人いない砂漠に孤独を感じ、
砂漠の花に人間はどこにいるのかと尋ねると
砂漠の花は
「さあ、どこで会えるかわかりませんね。
風に吹かれて歩きまわるのです。
根がないんだから大変不自由していますよ」と答えます。
アンパンマンのマーチ、一度は聞いたことがあるでしょう。
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのはいやだ!
みなさんもこんな疑問を持ったことがありませんか?
今回は星の王子様とアンパンマンから
何のために生きるか?という古くて新しい問いについて
考えてみたいと思います。
〈王子様とアンパンマンの共通点〉
星の王子様の作者サンテグジュペリはフランスの作家であり、
飛行士でもありました。
星の王子様は、
ジュペリが路線飛行士として郵便輸送をしていた際、
リビアの砂漠に墜落した経験から生まれたと言われています。
第二次世界大戦が始まり、
ジュペリは飛行士を訓練する任務に就いていましたが、
戦況が厳しくなり、前線に出る任務を志願しました。
フランスの領土に侵攻するドイツ軍、
ジュペリはその最前線を偵察飛行する部隊に入りました。
その体験を書いたのが『闘う操縦士』です。
いつ敵機や地上からの砲火で
打ち落とされるかも知れない。
その心境を以下にように書いています。
この肉体は日中、私のものではなかった。
もはや私のものではなくなっていた。
何者かに手足をもぎ取られるかも知れなかった。
血という血を抜き取られてしまうかも知れなかった。
自分の肉体が、自分とは無縁の小道具を収めた
倉庫に過ぎなくなってしまうこと、
これもまた戦争というものの現実なのだ。
同じ任務につく戦友が次々帰らぬ人となり、
戦力の圧倒的優位を誇るドイツ軍に、
「こんなことやっても無駄だ」というのが
飛行体の操縦士達の暗黙の了解となっていました。
当時の戦闘機パイロットが1人で
操らねばならない計器はいくつあったと思いますか?
「自分の王国を形作る計器盤を数え、
つまみやスイッチやレバーを数えてみる。
確認したり、引いたり、回したり、
押したりする器具は全部で103ある」
そんな飛行機を懸命に操り、存在の意味を賭けて飛行に臨む、
ジュペリの魂の叫びが耳元に聞こえてきます。
同じ時代の日本にもジュペリと同じよう経験した
若者がありました。
片道切符の燃料をつんで、アメリカの空母に体当たりする。
45年3月21日からの約2ヶ月で40機超。
120人以上が戦死したとされています。
アンパンマンの作者やなせたかしの弟さんは
海軍の人間魚雷「回天」の乗員で、
フィリピンへの移動中亡くなられたそうです。
やなせさんが戦争体験を綴った
『ぼくは戦争が大きらい』という著作にも
弟さんとの別れの思い出が紹介されています。
ぼくはそんなつもりはなかったのですが、
「アンパンマンのマーチ」が弟に捧げられたものだと
指摘する人もいます。
それだけ、弟と最後の言葉を交わした記憶が
深く残っていたのでしょう。
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのはいやだ!
なにが君のしあわせ
なにをしてよろこぶ
わからないままおわる
そんなのはいやだ!
わたしたちが健康で生命に対する自信にみちて、
平穏に毎日の生活を営んでいるときは
考えないでしょうが、生きることの終わりが
身近に感じられる時、おのずと出てくる問題でしょう。
想像してみてください。
あなたが乗り込んだ飛行機に緊急のアナウンスが入ります。
機長の声が告げます。
「この飛行機には燃料があと1時間分しかありません。
しかし周りは一面果てしなく広がる海原。
着陸する飛行場は確保できないと分かりました。
1時間後には必ず墜落しますが、
それまではみなさん快適な空の旅をお楽しみください」
ふざけるな!と思いますね。
スチュワーデスに
ミシュランの3つ星フレンチと中華、
どちらのコースになさいますか?
スターウォーズと君の名はの続編がご覧になれますが、
如何ですか?と提案されても心は未来に囚われて、
耳に入らないでしょう。
墜落は1時間後でも、墜落を知った瞬間から悲劇が始まります。
何をしても拭えない不安と焦りに支配されてしまいます。
気晴らしも役に立ちません。
ここでハッキリさせたいのは行き先の飛行場ですね。
〈飛び方と飛ぶ方角 生き方と生きる目的を区別〉
ここで大切になってくるのは
飛行機で言えば、どう飛ぶかと、どこに向かって飛ぶか、
の区別ではないでしょうか。
速度や高度はどれくらいにするか、
風向きの変化や気圧配置によるルート変更、
エンジントラブルの対処などは
「飛び方」の選択、「どう飛ぶか」の工夫です。
その前に知らなければならないのは目的地。
「どこへ向かって飛ぶか」の方向です。
行く先を知らず、片道切符で飛び立つパイロットはありません。
飛ぶために飛んでいたら、墜落の悲劇があるだけです。
安心して着陸できる飛行場、
生きる根っこが無ければ、
王子様が訪ねた地球人のように、
どう生きるの風に吹かれて、右往左往、
大変不自由な生き方になってしまうでしょう。
なんのために生まれて
なにをして生きるのか?
なにが君のしあわせ
なにをしてよろこぶ?
小学、中学、高校と進学し、
どの大学にいくか、どの企業に就職するか、
起業するか、和牛を育てるか?
パートナーはどうするか?
生き方はいろいろ、どんどん選択肢は拡がっていますが、
「生きてよかった」と満足できる
「生きる目的」をまずハッキリさせて
人生飛行へ旅立ちたいですね。
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学校では学べない生きることを学ぶオンラインの学校『L大』
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