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記憶の呼び水 GIFT Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 2023.02.26
当日の感想、後からの感想、Disney+見てからの感想と時系列ごちゃまぜ。
感想も考察もいい加減尽くしてるとは思うけど、自分の言葉で残したかったので書いてしまった。
わたしにとってのGIFTとは、一体何だったのか。
GIFT新聞よりMIKIKO先生のコメントを引用する。
”明るく真っ直ぐな道が開けていく瞬間を皆さんと目撃できることを光栄に思います。
心の目をしっかり開いてお楽しみください”
わたしの心の目で見たものは、ただひたすらに真摯にスケートと全ての人と向き合う、美しい青年の姿であり、どれだけ傷ついても、曲がったり折れたりしない(したかもしれないけれどおそらく回復させてしまう)しなやかで優しい心の有様だったと思う。
どれほどの偉業を成し遂げた人だとしても、心の中には陰と陽があって、常にそれらが絶妙なバランスで成り立っている。
外からは見えない葛藤や苦悩を抱えて、それでも愚直なほどに真っ直ぐに進み続ける、その心の美しさゆえに尊敬せずにはいられないとあらためて強く思った。
自分の弱さと真正面から向き合える人、さらけだせる人は強いのだと思う。
でもやっぱり内面をさらけ出すことにためらいや恐れはあったはずで、さらに前人未到のフィギュアスケーターによる東京ドーム単独公演という試験的な試みで限りなく不安もあっただろうと思う。(MIKIKO先生や武部さんはじめ、頼もしい味方がたくさんいらしたとはいえ。)
それでも、そういった一切合切を、受け取る我々にゆだねてくださった。
本当に全身全霊の、今の羽生結弦の全てをぶつけてくださった。
それだけ信用してくださったのだと思うと、嬉しくて胸がいっぱいになる。
(ただの思い上がりかもしれないけれど。)
そうやって心を開いて真正面から向き合ってくれるからこそ、彼にかかわる人たちも、その演技を見たわたしたちも、彼を愛さずにはいられないのだと思う。
GIFT前のインタビューで、今までもらいすぎていたからお返しがしたいという趣旨のことを話されていた。
だからGIFTというタイトルをつけたと。
終わってみれば、とてつもない…お返しどころか受け取って余りあるGIFTをいただいた。
出し惜しみはしないといういつかの言葉通りに。言動がどこまでも矛盾しない稀有な人。
言葉たち、プログラムたち、ダンス、映像、音楽、それらひとつひとつが残らずすべて響きあう物語が織りなされ、美しい宝物になった。
フィギュアスケートが羽生選手の言葉で、想いの全てであるならば、多分もう一生かかっても返しきれないほどの愛をいただいたと思う。
わたしにとってGIFTは、あふれんばかりの愛だった。
◇以下、感想メモまとめ。
Disney+の実家が帰ってきたら、また追記とかするかも。
◇客入れ
フルオケ入るオケピットを左右に一つづつ配置なんて贅沢。
しかも片方は東京フィルハーモニー交響楽団。(最後になって知ったけど)
もう片方は武部さん率いるスペシャルバンド。多分この東京ドーム公演のために結成された、一夜限りのまさにスペシャル編成。
グランドハープがどちらのピットにもあって始まる前からときめいた。
でも氷張ってるそばだと湿度が…弦切れやすい…。金管も厳しそうだし…。
といらない心配をしていた。相手はプロですよプロ。
リンクの正面奥に巨大スクリーン。
巨大スクリーンの両枠にこれも巨大な手のオブジェ。
東京ドームでなければ設置できないサイズ。3次元データ取ってたからそれで作った?動くのかと思った。(動きません)
リンクとスクリーンをつなぐ場所は斜めのパーツになっていて、左右に割れて中央から羽生選手が出入りする仕組み。スクリーンとリンクがシームレスにつながる構造すごいな。
リンクの4隅に柱を立てるのかと思っていた(注釈付き席設定があったので)ら、客席に近い方に2本だけだった。
ライブで天井から吊るされるようなスピーカーが8発×2×2?だったかな?
リンクのそばにスピーカーがあるのか目視ではわからなくて、当然天井からは吊るせなくて、中音どうしてるのか気になった。
リンクの周りには小さな正方形のステージか何かがたくさん。
(これがステージだけじゃなくてモニターにもなって映像を映してELEVENPLAYさんとのコラボここに極まれりな装置になるなんて夢にも思わなかった。)
■火の鳥
リンクからせりあがった映像がスクリーンに映る、ひとつながりの一枚のスクリーンに見立てた使い方にすでに感動していた。
リフトで上がって両手を広げた赤い衣装の羽が後ろのスクリーンに映された巨大な翼と合わせて羽生選手に大きな羽が生えたように見えた。
東京フィルの生オケで火の鳥、去年は落合さんと日フィルの火の鳥だった。
Rhizomatiksが描くデジタルの火の粉が舞いリンクの脇から本物の炎が上がる。
奥から順番に炎が点って、最後に全体が噴き上がる演出めっちゃ好き。
それだけでもう、今までのアイスショーの概念を超えてきた。
上から見てるとスクリーンの映像が氷に反射してきれいだったなあ。
(Disney+で見た映像だと、
羽生選手の周りに火の粉が舞うアングルの映像が素晴しかった)
フィギュアスケートにピアノとかギター、バンド編成の生音はあっても、フルオケ連れてきたのは初なのでは。
東京ドームの広さを活かして国際大会基準の60×30mのリンクを作ること自体が異例というか、いつものアリーナ規模のアイスショーでは無理だと思う。プレミア席作れないし。
◇「夢」との邂逅
次々と切り替わる映像、物語にリンクする草木や水や風、羽生選手の画像、グランジ風のテクスチャ。
そのどれもが美しくてプロの仕事に圧倒された。
小さい頃に感じていたあったかい場所。
一番あたたかい場所=オリンピックの表彰台のことだよね。
”叶うよ”という内からの声。
夢。もう一人の自分。あったかいところにいる僕。
ここからずっと一緒にいる存在。
「僕」のことを「君」と呼ぶ者。
インナーチャイルドになるのかな?
子供の頃って普通に花や木と会話できてたような気がするんだけど、あれはごっこ遊びのようなものだったんだろうか。
自分がいて他者の存在に気付いて、他者ともの(花や木)との区別が曖昧な年代ってあると思う。
そんな感じで自分以外のものを意識するところから夢との対話が生まれて来たのかもしれない。
きれいで儚くて美しいものに心が温かくなる。
月は、傷だらけでもみんなが見てくれるから辛くない、それをカッコいいと思う。
”だって、叶えたい夢があるから。
それが、かっこいいから!
それが、僕なんだ”
”それが、僕なんだ”
自我の芽生えかと。
■Hope & Legacy
スクリーンの水面が氷上に滑り降りて水の波紋になっているのがきれいで見惚れた。
氷上からスクリーンへ上る月も。
やっぱりこの公演は上のほうの席から俯瞰するのが正解だったかも。
氷がただの氷ではなくてスクリーンになっていて背景の巨大スクリーンとも連動しているのが東京ドームの巨大な空間を空いているように見せない演出だったんだろう。
太陽と月のプログラム、陰と陽だった?
ここから自分の中の陰と陽を意識するようになるのかも知れない。
ベスティスクワットの後のターンのトレースがものすごくきれいで好き。
「夢を掴むものたちよ」で登る太陽。羽生選手がアマテラスのよう。
スクリーンは秋から冬の情景、海へと続く。
自然をテーマにしたHope & Legacyらしく、壮大で美しい風景が綴られる。
星空の中の羽生選手と最後に月の中にたたずむ羽生選手。こちらはツクヨミかな。
(Disney+で見た映像だと、
後ろの巨大スクリーンで星が上に動いてて、羽生選手と同じアイレベルで見ると目が回るんだけど、これを全く影響無しで滑るの強過ぎる。)
◇3.11
水滴
”それが僕なんだ”
まっくら、水の音
ひとりは嫌だ
隠していた涙
…
”とてもとても寒い夜
空っぽになってしまった大切なもの
ひとりぼっちでいると空から光が
大切なものをそっと照らしてくれた”
「大丈夫だよ」
「みんないるよ」
…
”草木がきらきらと輝き始めた”
幼年期の終わりを思った。
■あの夏へ
白い白い清浄の世界。羽生選手が水の精霊に見えた。
衣装の影響もあるかな。全身白いのはレゾン以来?そこにオーガンジーが重なると本当に現実感がなくなるというか、常世の人であるかのような趣になる。
風と水と戯れる、無垢な存在。
生殺与奪まではいかなくて、むしろ与えるだけ与えて消えていくような気配をまとっていた。
リンク両脇のステージに波紋の映像が映っていて、その上にELEVENPLAYさんたちも白い衣装、白いシフォンの被膜に入って伏せた状態からゆったりと上体を起こして伏せる、を繰り返す。動きが呼吸みたいで好き。
穏やかな時間は波にさらわれ、白く清浄な世界は青い悲しみと複雑な色に変わった。
あとは鎮魂と祈りの舞いだったように思う。静かで清らかな。
音が鳴っているのに無音のような。
羽生選手の美スパイラルはため息が出るほど美しかった。
スピンの波紋が広がってリンクの外のステージには水滴が落ちて。
長い長い無言。
◇霧と風
ELEVENPLAYさんとRhizomatiksさんの真骨頂であり最大の見せ場だったように思う。
巨大スクリーンの光の映像とかRhizomatiksさんだなあって思いながら見てた。
音楽も。すべてが一体化して主不在のはずのリンクを時間を飽きさせなかったどころか、ELEVENPLAYさんが主役だった。
ありがとう、の口調とその後のノイズがなんだか苦しそうで。
水滴の音、風の音、息吹、満天の星空、優しい向かい風。
”それがあなたでしょう”
の後のきらきらした強い風の表現が好き。
風の強い方を選んで進んでいく
「そのまま進んでおいで」
「君の夢は叶うよ」
いつの間にか霧は
風が飛ばしてくれた
口調が夢とは違う。
「あなた」と呼びかける存在は「僕」ともう一人の自分である「夢」以外の登場人物。
なので、風は、先生たちのメタファー?
先の見えない霧を飛ばしてくれるもの
■Ballade No. 1 in G Minor, Op. 23
光の粒が集まってスクリーンで羽生選手の姿に。陸上での演技、珍しい試み。
GIFT全体がまるで実験場のような。やれることなんでもやってみようという気概が感じられる。
羽生選手が動くと体からフェアリーダストみたいにキラキラした粉が舞い落ちるのがきれい。
これも多分、Rhizomatiksの中の人がめっちゃ演算してそう。
途中から本物がリンクに現れ、演技の続きを。いつ見ても、体全体からピアノが鳴っているかのような演技。
鬼のようなStSq美し…
◇水の中モノローグからのアニメーション(Otonal)
水底へ沈む。
”夢が叶うのは誰かのおかげじゃない
ずっと君が、今の君を選んできたんだよ”
チビゆづちゃんからのアニメーション。
手書きのアニメーションで今までの演技を振り返るっていう発想がすごい。
リアルではなく夢の中の出来事のように思えるっていう演出なのかな。
モノローグが柔らかくて誰に向かって話しているのかといえば、9歳さんだったのかな。
”ほら、嬉し涙が出るね
その涙がどこからきたのか
たどっておいで”
…
”ちゃんとカサブタになってる
でも、治ってない
ずっと待ってたんだよね
大丈夫、もう、叶ったよ
あなたのおかげで、強くなったんだ
治って良いよ、ありがとうね”
あなた、って語りかけるのが風と、この時だからやっぱり先生との会話かなあ
”もう少しみんなといたい
一緒にいたいんだ
願いが叶うなら
もう少しみんなと跳びたい”
もう少し、もう少し、が切ない。
そうやって平昌から4年間も、頑張ってきてくださった。スケートを続けてきてくださった。
あきらめなかった。
だから今日という日を迎えられた。
■序奏とロンド・カプリチオーソ
北京オリンピックの日付から今日までカウントアップされるスクリーン。
6練!!新村さん!!
滑り出してすぐちょっとつまづいたように見えて思わずゆづーーー!!て叫んでた。
(現場限定ゆづ呼ばわりは許されたい)
新村さんの”From japan, Yuzuru Hanyu”ですでに泣いた。
上着を脱いで現れたのがロンカプだった時の衝撃たるや…。思わずマジかって声に出てた。
さっきのカウントアップからして北京のリベンジであろうことは明白で、なのにすでに3曲は演じていて相当疲労もたまっているはず。
氷だってまっさらではない。
そうやって自分を追い込んで来る人だ、この人は。
4S決まった時の歓声、ジャンプが決まるたびに上がる歓声と拍手、途中で手拍子が入り、フィニッシュでも大きな歓声と拍手。嬉しかったなあ…。
拍手だけじゃなくて声援も贈ることができて本当に嬉しかった。
競技最後の試合、本当は現地で、大声援で称えたかったから。
今日ここで、3万5千人の現地のファン、3万人の海外のファンの前でリベンジを果たしてくださった。
どれほど声援を届けたかったか。どれほどあの場所に行きたかったか。
そんな後悔のしようのない後悔まで浄化してくださったように思う。
傷の深さは計り知れない。傷は消えないかもしれない。
でも幸せな記憶で包んで癒すことはできるんだと思う。
フィニッシュで握りしめた右手、レヴァランスでもはけていくときも解かなくて、最後に左手で包み込んで下がっていってガッツポーズ、見るたび泣いてしまう。よくがんばったね…。
モノローグに出てきた「ぎゅっとつかんで離さない」のは、今その手に掴んだ夢の再来だったのかな。
4Sのトレースを撫でていった姿にもまた涙が。
◇40分休憩。案外あっという間だった。
■Let's go crayzy
スペシャルバンドのみなさーん!
■Let Me Entertain You
MOI仕様のレミ様きたあああああああ!!
観客煽りに全力な羽生選手かっこええ!!!
3Aからのフリーレッグ跳ね上げすげえええええ!!
わーきゃー言える世界線尊い!!
ラスベガスかな?っていうくらいギラギラの背景と、音楽に合わせて明滅するシンクロライトがいい仕事してた。
後半初っ端から飛ばしすぎではと心配なったけどまだまだこんなもんではなかったことを後になって知る。
◇ERROR
阿修羅ちゃんの前のゲームぽいところ、シャドウの独白なのかな。
後から出てくる白と黒の対話から遡っての解釈になっちゃうけど。
前半では出てこなかったシャドウというキャラクター?をここで登場させて違いを明確にしたのかなとか。
ELEVENPLAYさんのロボットダンスとか鋭い動き、めちゃくちゃかっこいい!!
でも、この16bitなモノローグ部分が一番苦しい。
デキナキャイミガナイデショ
デキナイナラデキルマデヤルンダ
”できない自分なんて存在する意味がないんだ
必要ないんだ…”
”好きでも楽しくもなくなってしまったのはいつだろう”
”やれる以上のことをやってる
いつもいつも
…
ずっとずっと
やってるんだよ!
いつも!
自分のこと超えてるんだよ!”
…
ヤラナキャ
デキルマデヤラナキャ
…
”こんなにも、こんなにも、こんなにも苦しんでる”
…
”こんな僕のこと
誰がわかる?
一生わからない
わからない!”
"""GAME OVER"""
ああ…。
"ただ暗闇に打ち勝ってきた"
のところからフォントが明朝になって、生々しくて辛さが増す。
かなり強めな言葉と口調で、声の演技も上手いなって思いつつ心臓抉られる思いで見てたけども。
そこからの阿修羅ちゃん"あんたわかっちゃいない"で仰る通りですってなってまた落とされるっていう情緒の落ち込みと反比例する氷上のテンションのぶち上がり方がやばい。
■阿修羅ちゃん
細かいマイム多くて大好き!!
よく考えたよねえ。天才!!
透明な板いつの間に?
羽生選手のコレオとELEVENPLAYさんのコレオをシンクロさせるバランス。MIKIKO先生すげえ。
セルフコレオってわかって驚愕するしかないんだけど、あんまりスケーティング無いからすっかりMIKIKO先生振り付けだと思い込んでた。スケート靴履いて氷の上であれだけ激しいステップ踏んで上体が揺らがないってすさまじいコントロールだと思う。滑るより高速ステップ何回もやる方がよっぽど体力使うよね。
この後まだあと3プロあるのに全力以外に選択肢が無いの凄すぎる。
◇masquerade
モノローグからのシャドウとペルソナの対話。陰陽だと思ったんだけどそれだと最後に手のひらが合わないのが違和感だなと思って、囲み取材でも仰っていたペルソナがしっくりくる。「君になりたい」って抑圧されている側面のからの言葉として正しい?シャドウもうちょい調べる。
(ペルソナを演じている時に葛藤にさらされると無意識下に眠ったシャドウが顔を出し、不安や迷いを生じさせるという。河合隼雄さんの著書による?※要出典)
ここに使われる音楽がとしくんのマスカレイドで仮面=ペルソナであっそうかってやっと繋がるなど(鈍すぎる…)
それにしてもここの映像ずっと羽生選手の横顔しか映ってないのに延々見ていられるのなんでなん。白黒背中合わせになるとこが絵画的に美しいなと思う。
■オペラ座の怪人
この後のオペラ座が、東京ドームの空間を活かしたというか他ではまず無理な演出で震えた。
映像のシャンデリアが割れて、スクリーンに映し出された羽生選手の、仮面をつけた顔から首、肩、腕が次々に現れてスクリーン横の巨大なオブジェだと思ってた手と繋がった瞬間にオペラ座に響き渡るファントムの笑い声が見えた気がした。あの数秒のためだけに作ったんだ、何という贅沢。
本物の炎と青い照明で地下の湖の演出も素晴らしい。しかも東京フィルの生演奏だなんて、こんな豪華なオペラ座が見られるなんて夢にも思わなかった。さっきのペルソナのモノローグと繋がる仮面の物語はファントムの独唱で終わる。ここからは終わりの物語の始まり。
後半にジャンプが集中する構成、最後の最後にポジションチェンジスピンが来る鬼のような競技会構成をそのままアイスショーに持ってきますか…羽生結弦だからですね…。
ロンカプもそうなんだけど、ファンにとっても辛い思い出が残っているプログラムをこの場で再演して幸福な記憶で上書きしようとすることもGIFTだったのかなあとか。我々愛されてる。※個人の妄想です。
◇ペルソナとシャドウ
黒のロングコートで歩く歩く。
今度は夢との対話。夢もペルソナの一つ?ユング履修しないと。
夢と主体の対話で夢がいってらっしゃいって言うんだけどさようならじゃないのはおかえりと対になる言葉だからかな。夢の声のトーンが主体と変わらなくなって夢=主体に繋がる構造と、初めてドーム本体の後方スクリーンも使った演出で最後の「独り」の画を際立たせる見せ方に震えた。何もない真っ白な画面に黒い衣装の主体が「独り」。
東京ドームが急にがらんとした空間に変わった。
ここからのいつか終わる夢の流れの納得感というか、ちゃんとGIFTの中のあるべき位置に納めて独立した個性を持つプログラムたちを物語の流れに沿うように置けるのは自分で紡ぐからこそできることだなと。
■いつか終わる夢
この作品自体がGIFTの構成と同じで前半が森羅万象と響き合うもの、後半が自身のコアに深く潜るもの。ここがスタートだったのかもなあ。プロローグからまた進化してて、でもやっぱり分裂する影と巨大な人の影、降り積もる言葉の演出は辛いし胸が痛む。
この言葉たちを映像として使おうと考えたのはMIKIKO先生だという。そういう発想ができるところがすごい。
シンクロライトがとてもきれい。
この衣装も好きすぎて好きなんだけどゆったりした動きに袖と尻尾(?)の薄い生地が綺麗になびいてゆらゆらして美しくて、ただでさえこの世のものではないように見えるのにより一層幽玄でその世界観に引き込まれていく感じがして伊藤さん天才だと思う。
◇GIFT
最初に出て来た椅子に座るシーン。コートの裾の捌き方が美しい。顔の正面のアップだけで光の当て方と目線だけで白黒の対話の時とは全く違う印象。白黒の時はもっと引きで手の演技も入ってたけど今度は本当に顔だけで見せるのが「心」に近づいてる印象。
星、月、花、風。星と花ははファンのメタファー?まわりにあるものに気づく、『独りじゃない』『ただいま』で一斉にシンクロライトが灯る瞬間は何度見ても涙が出る。
”おかえりなさい
僕の夢
みんなからのGIFT”
でタイトルのもう一つの意味がわかってまた涙が出た。
そうしてみんなからのGIFTを受け取った後にnotte stellataっていう…。
■notte stellata
僕の中の君、君の中の僕、僕と君はずっと一緒という、甘々なラブソングが光と影の融合孤独からの解放の歌になるこの流れすごいなあと思って見てた。
あるいはもしかしたら、歌詞通りの意味だったかも知れない。羽生選手からファンへの。
空に飛び立ちそうなディレイドアクセル、ハイドロから起き上がる時の右手の羽が美し…。
儚く美しい白鳥は、美しくも力強い白鳥に成長した。
スクリーンに舞う羽にバックステージの映像が。あとで2時間ドキュメンタリー作ってほしい。
◇元気に毎日過ごしていますか
もうもう、羽生選手の優しい声に泣けて泣けて。
”あなたの今までと、これからの物語のために”
辛かったら帰ってくる場所に、時間に、羽生選手にとっても、このGIFTがそうなってると良いなあって思う。
東京ドーム単独公演成功は、一生誇れる仕事だと思うから。
火の鳥で始まって白鳥で締めくくられるGIFTという物語、名前に「羽」の字を持つ人らしいというか、だからこそ成り立つ構成だと思うしさらにGIFTの後のnotte stellataにつなげていく発想もすごい。
もしかしたら火の鳥と白鳥だけではなくて、本当の幸せはすぐそばにあるというメーテルリンクの青い鳥もテーマとして内包されていたかも知れないなあと思うなど。鳥つながり。
■僕のこと
新作だ!!
エンドロールに流れた皆さまのために捧げられたプログラムだったのかもと。
いやしかし構成が…5分半あって4回転5発含むジャンプ8発に加えて音の表現完璧とかえげつない…。
サビの間ずっとスピンとか…。駆けるは雪の大地のところのStSq好き。
どれだけ大きなステージで演じたとしても、最後はやっぱりアイリンでしめくくりなのが、羽生選手らしい。
ずっと大切な場所。
◇白いモフモフ
ボアブルゾン似合う!!かわいい!!!スタイルおかしい!!!!!
◇武部さんからのGIFT
音楽プロデューサーから曲を贈られてしまう羽生選手強い。
そうやって突き動かされるほどの、頑張ってる姿、どれほど追い込んで追い込んで練習してきたかを、ずっと見守ってくださってた武部さんからの最大のねぎらいだよね。贈りあうGIFT、素敵だなあ。
ピアノの裏を弾くハープがきれいで好き。
■春よ、来い
待望の、というか、安心安定の、というか。
録画含め何度も何度も見ているプログラムだから、そのたびに違う感情で見られるのが好き。
もう、大好き。愛してるまである。
特にMIKIKO先生が作ってくださった映像は、羽生選手の演技をより一層際立たせて、情感を色濃く映してくれるようでまた素敵。
今日の春は、とても幸せそうな、この世の喜びを全部集めたような、多幸感あふれる春だった。
シンクロライトが一斉に桜色、ドームの天井も空間全部桜色に染まって、それはそれは美しい空間になった。
■SEIMEI
最初の笛の根が響いた瞬間の会場の沸騰ぶりよ(笑)
東京フィルの生演奏で聞けるとは思ってもみなかった。
ドキュメント映像流してくださってありがたい。それで2時間スペシャル番組作ってください。
演奏に合わせて光の演出もすごい。めちゃくちゃカッコいい。
羽生選手登場、からの、だんだん!!からの、大盛り上がり超楽しい~~~!!
手が痛くなるほど手拍子した。嬉しくて嬉しくて。
印を結んでから納めた?
SEIMEIのレヴェランスカッコ良くて好き。
レヴェランス方向の沸き上がりがキャーーー!!ていうかもうギャーーー!!!!!なの好き。わかるわかる(笑)
◇スケート好きでよかったです!
ヘッドセット付けてGIFTパーカー着て周回。
歌ってるのマイクに入るし。口パクに戻しちゃったけど。全部歌ってくださっていいんですのよ?
ちゃんと、スペシャルバンドの皆さま、東京フィルの皆さま、MIKIKO先生たち、それぞれに拍手をって紹介するのが尊い。
”みなさんがいて、GIFTが創られています。
本当にありがとうございました。
正直ここまで来るのにめちゃくちゃ辛かったです。
めちゃくちゃ頑張って練習してきました。
練習したことが報われねえなって思うこともいっぱいありました。
皆さんの期待に応えられるかホントにわかんなくて辛い時期もありました。
誰の心に残ることも
目に焼き付くこともない今日も…
でもやっぱり、スケート好きで良かったです!!”
からの、全速力スケーティング、ステップ、ニースラ…宇宙一カッコ良かった!!!
角度もスピードも一定を保つ完璧なアウトイーグルで円を描きながらのご挨拶がなんて効率がいいんだと感動してた。
羽生選手のアウトイーグル大好きなのでホント嬉しくて。
”今日は本当にありがとうございました
今日という日が、皆さんの人生にとって
今日だけでもいいんで、記憶の中に残って
辛い日々の中で少しでも、帰れる日々となりますように
帰れる記憶となりますように
本当にありがとうございました”
ヘッドセット外してる間もありがとうございましたを待つ間も、一言も発しない訓練されたファンすばら。
肉声での”ありがとうございましたーーー!!”をもって本日の全プログラム終了。
羽生選手がはけていくのを、脇の台に置かれたプーコーチが見守ってたのがとてもよかった。
たくさんのたくさんの幸せを、ありがとうございました!!