僕の友達の命がなくなったり増えたりした話 前編
高校3年の時2人の友達ができた。
1人はもうこの世にいなくてもう1人は結婚して家族を作るそうだ。
命を失った友達
時期は大体高校2年くらいだった気がする。バレンタイン前くらいに歳下の彼女にフラれた。鬱病って言うのは難解なもんでフラれて凄く身体が軽くなって鬱も軽減した。
そんなんで身体が軽くてなんでも出来る気がして、一気に作曲の勉強とか絵を描いたりとかTwitterで闘病アカウントなんてのも作ったりした。
その闘病アカウントで彼女と知り合った。
最初は傷の舐め合いじみたリプを送る程度だったけど自分がグイグイ行くタイプで割とすぐ仲良くなった。LINEも交換して会うことになった。
女の子だった。
それでも自分は人間自体に興味はないからそれからずっと仲良くしていた。
駅前のドトールでずっと話した。日が暮れても話した。学校もサボった。塾もサボった。バイトも辞めた。
学校では悩みなんて無い、いつもアホなことを言ってる奴みたいなキャラ付けを心がけていた、あまり鬱だなんて友達にいえなかったし自分もそれを望んだ。今でも鬱だからって言って気を使われると凄く惨めで死にたくなる。だけど私はめんどくさい人間で鬱の辛み弱音を吐く友達が欲しかった。
それが彼女だった。
初めて会ってから2週間近く経ってから彼女から告白された。まさかと思った、揶揄われてると思った、ありえないと思った。
自分は惚れられるようなことはしてないし、友達としては好きだけど異性としては考えたこともなかった。
しかし私は屑だから告白を断れなかった。自分なんかと付き合うなんてやめて欲しい、と言う気持ちと自分なんかが彼女の好意を無碍にできるわけが無いという気持ちがぐるぐるとドトールの換気扇と共に回り続けた。それでもそれで彼女が救われるなら、それで幸せならと思い告白を断らなかった。
今思い返すと我ながら最低である。
それでも彼女との日々はとても楽しかった。江ノ島や鎌倉とか行った。バイト代がどんどん減ってったけどそのお金に見合った経験はした。
問題だったのは初夜だった。彼女は行為をせがんだ。今思えば死ぬ前にやりたい事を全て終わらせたかったのかもしれない。一方私は拒んだ。彼女の言の葉を信じるなら彼女は処女だったそうでそれが自分には重かった。いずれ別れ長続きしないとわかっている恋人に、大切な物を奪う資格があるのかどうか。既に私は童貞ではなかったがそんなことを考えてた。
結局行為は彼女が無理矢理始めた。据え膳食わぬはなんとやらと言うが自分にはとても耐えられなかった。本当に彼女から純潔の証明を視認した時は本当に罪悪感で胸が張り裂け今すぐ何もかも投げ出して死んでしまいたかった。今ならなんとでも言えるが少なくとも当時の自分は発狂してしまうかと思った。
それからは彼女との連絡は極端に減った。元よりLINEが淡白で冷たいと高二のときの元カノや今の交際相手にも散々繰り返し言われるくらいには連絡はしなかったがその倍は減った。
そしてある日人生で二回目、換気扇の音しかしない静かなドトールで彼女にフラれた。1人目と全く同じ言葉
「私の事好きじゃないでしょ」と。
それでも彼女との交友関係は続いた。と、言うより付き合う前と付き合ってる最中に変化は特になかったから「何も変わらなかった」が正解なのかもしれない。行為も1回きりだった。
交友関係が続いても私たちはドトールで話し続けた。そこで彼女に軽音楽に所属してる事を話すと
「私に曲を作ってよ」
そう、言われた。
そして彼女との連絡が途絶えた。
鬱が佳境に来ていたこと、受験が訪れていた事、そして新しい友達ができた事で特に気にしなかったし、1週間連絡しない事も付き合ってる時含めよくある事だった。
そして12月頭、LINEに1件連絡が来た。
「12月〇〇日、〇〇は飛び降り自殺をして死にました。ご友人だと思いますが仲良くして下さり本当にありがとうございました。」
、と最後に弟らしき名前が着いた、コピペ定形文のようなメッセージが来た。
そのメッセージを見て私は泣かなかった。強いて言うならそのメッセージで初めて彼女の本名を知った。
綺麗な名前だと思った。
だけど、その時に涙はなかった。
その位の関係性だった。
そして新しくできた友達に九州まで会いに行ったり、受験に大寝坊して留年確定したり色々なことがあった。それまで彼女の事は忘れてさえいた。
事は軽音楽部の卒業ライブで動いた。オリジナル曲を作ることになった。作曲は友達と一緒に作ったが作詞は私一人で作った。
そこで何となく。特に意味はなかった。何となく彼女の事を思い出した。半年前に言われた言葉
「私に曲を作ってよ」
と一緒に。
曲は大体数時間で完成した。最終的にはJPOPの某バンドの有名曲に酷似してしまったが完成させた嬉しさで満足だった。発表もした。
打ち上げが終わって寝る前、ふとこれまでのことを思い出した。そこで初めて、泣いた。
彼女は仮に私が先に死んでも泣かないでといった。
彼女は私が死んでも可哀想と哀れまないでねと言った。
彼女は私が死んだ時に他人に語られるのが嫌と言った。
彼女は私が死んでも生きて、と言った
コレが私の1人目の友達。
命が無くなった友達の話。
後半はボチボチあげます