スターバースト三千世界

私は昔からさまざまなものについて、目の前で爆発する奇妙な心象風景が浮かぶことがある。

爆発に関する明確なトラウマがあるわけでも、とびきり感覚が繊細なわけでもないのに、物心がついた頃からどこか頭の隅にずっとあるイメージ。

この爆発の心象風景は、大きく二種類に分かれる。

何かしらの物質が爆発を引き起こすものと、空間がひとりでに爆発を起こすもの。

例えば前者であれば、車線分離を示すオレンジのポールコーン。じっと見ているうちに突如として爆発して私も巻き込まれてしまうかもしれない、と一度想像すると、反射的に視線を外しその場から離れてしまう。

ポールコーン以外にも、マンションの前に乱雑に投げ出されたゴミ袋や、部屋の片隅に立てかけられたギター、公園のベンチに忘れられたジャケットなど、今にも爆発しそうなものはこの世にたくさん溢れている。

その他、変わったものとしては、十字路を真っ直ぐ突っ切ろうとしたときに左右の道の途中に、後ろ向きで立っている人物がいたとき。その人物が背中から砕けて爆発するように感じてしまい、歩みが浮ついてしまう。

一方で後者、すなわち空間がひとりでに爆発する(というイメージが湧く)場合、通りに面したアパートの一室の大窓が開いていたときに、その室内から恐ろしいほど高温の火炎が噴射され轟音とともに爆散してしまう、とイメージする。

そのため、それまで真っ直ぐ歩いていたのに突然大きく膨らんで歩いたり、ひどいときはUターンして道を変えたりすることもある。

きっと今この文章を読んでいる人は、特殊な例だ、聞いたことがない、と感じているに違いない。

けれど、私にとってはこれこそが平常で実際だ。

だから私の世界では、万物が常に爆発を起こしている。

アトランダムに刹那に、物質を取り巻く空間が輪郭を崩壊させながら中心部へ落ち込み、深く息を吸って吐くように熱波を放出する。

空間へ飛び出した塵は、引力によって次第に私の周りに集められ、やがて大気となる。

私はそれを深く吸い込み、来る寿命へ向けて、徐々に肥大化していくのだ。




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