君の願う僕の幸せはね、 ss
幸せには色や匂いがあるのだと、僕は初めて知った。
小説の主人公にも脇役にもなれないような人生を過ごしていた。人と交流することは少なく、なんとなく書店で手に取った本を読み、街に流れている音楽をなんとなく聞き流す。熱中するものはなく淡々と日々を過ごしていた。
そんな無彩色の世界に幸せという彩りを齎したのは君だった。
最初は図書館の古びた本の匂い。
ただ同じ本を読んだことがあるだけ、そんな関係から徐々に面白かった本を共有して、話すようになって。
次は一緒に聴いたオルゴールの曲。
この本の世界にはこの曲が合うだろう、そんな会話から一つのイヤホンを共有してくすくすと笑いながら小声で話した。
そして一緒に飲んだ珈琲の味。
二人ともまだ雰囲気のある喫茶店に行くのは初めてで、メニューに珈琲とあると思ったのに産地しか書かれていなくて焦ったっけ。
そうして僕の世界に色々なものが増えていったんだ。
君は僕が笑顔を浮かべるようになったと言った
僕が何かに興味を持つことが増えたと言った
僕が周囲と交流するようになったと言った
君はだからこそ、僕に生きてほしいと言った
生を謳歌してほしいと言った
でもね、君が選ぼうとしている未来
君がいない未来は僕は許容できない
だって君のいうそれらは、全部君のおかげなんだもの
だからこそ、譲れなかった
冬要素、ゼロ。
あなたが生きて、そういう系の景色が浮かんでここまで書いたのだけれど、終わりませんでしたわ。まだまだ修行がたらんとですね。
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