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【まだ間に合う！】「７デイズ・ミステリィ～水樹奈々失踪事件～」を振り返りつつ、犯人当てに挑戦する。

ななし


・はじめに


月曜日より毎日配信されている水樹奈々主演音声（ラジオ？）ドラマ『７デイズ・ミステリィ～水樹奈々失踪事件～』が佳境である。

ざっくりしたストーリーはこうだ。ある日、水樹奈々が冠ラジオ「Mの世界」の収録に現れず失踪。スタッフたちに「リモート収録した」というメッセージと、その日の放送ぶんの音源を届けたことから事件ははじまる。

しかし、「Mの世界」のスタッフたちは音声の中に残る違和感の数々から、「もしかして、水樹奈々はなんらかの事件に巻き込まれたのでは？」と推理をめぐらせる。

そして番組ディレクター・ゆうちゃんの独断により、水樹のリモート音声と、スタッフ陣の極秘会議の模様は公開され――ファンおよびリスナーたちを巻き込み、ツイッター上で展開する一大騒動へと発展していく。


……………………というテイのフィクションである。

しかし、毎日アップされる会議の模様と事件はリアルタイムで進行することから、「水樹奈々失踪事件」はある種のメタフィクショナルな構造を有しているといえる。

わかりやすくいえば、リスナーたちが都度提供される謎を解くことで、物語は前へ前へと進行し、失踪した水樹奈々の居所が徐々に明かされていくという寸法だ。

本テキストの執筆時点――2020年10月4日18時現在では、水樹奈々は無事に救出され、残る謎は「誘拐犯人は誰か？」のみに絞られた。

そう、犯人当てである。

「犯人当て」とはミステリの謎の形式のひとつであり、名称そのまま「与えられた情報より論理的に唯一無二の犯人を指摘すること」を目的とした、作者と読者の知的ゲームである。

その証拠に、水樹奈々が無事に救出された直後、「Mの世界」公式は「読者（リスナー）への挑戦状」を公開し、犯人特定のための手がかりはすべて示されたことを宣言した。

この場合の"すべての手がかり"とは、DAY1〜DAY7までの音声ドラマと、物語上に出現した3つのツイッターアカウントーーすなわち、水樹奈々からのメッセージ動画が投稿されたアカウント、水樹が監禁された部屋の隣にたまたま住んでいる少年Aくんのアカウント、そして「Mの世界」公式のアカウントのことを指す（すべてくわしくは後述）。

本テキストでは、これまでの物語の流れをまとめつつ、自分なりに推理を組み立てることを目的としている。

これを読むことで、いままでの物語を追いかけていない人たちも流れを把握することができ、いちおうは「リスナーへの挑戦状」に挑むことが可能になる。

なお、最後の推理を提示する際は、事前に警告を行うので、自力で考えたい人にも安心な仕様だ。

では、行ってみよう。

・DAY1：違和感だらけの「Mの世界」通常放送


DAY1は9月28日の月曜日――すなわち、「Mの世界」通常放送日である。

前週9月21日の放送で水樹は「来週は波乱の予感」と言ったが、フタを開けてみれば、表向きはよくもわるくもふだんと変わらない放送内容だった。

水樹自身も先週の予告の伏線を回収することなく、粛々と番組を進めていく。

そのまま番組はエンディングを迎え――ようとしたそのとき、水樹は意味深な言葉を放つ。こうだ。

「今回の放送、よーくradikoのタイムフリーで聴いてみてくださいね」

そのまま番組はフェイドアウト。リアルタイムで実況していたリスナーたちの間には、戸惑いが広がっていった。

なにか放送内にメッセージが隠されているのか。そういえば考えてみれば、今回の放送はビミョーにおかしな点があった気がする。

その際たるものは、「奈々歌ミステリー""6""選」というコーナーだ。

水樹はこれまで「7」というナンバーに、やや狂信的なまでのこだわりを発揮してきた。なんせ、人生のターニングポイントである結婚ですら7月6日入籍、7月7日公式発表というありさまだ。

そんな水樹のあり方はファンならもとより承知のうえだ。しかし、そんな奈々さんがなぜか6曲しか選ばなかった。なぜだ。

たとえば、これが5選とか3選ならまだ納得できる。しかし、「6」はあまりにハンパな数字だし、なにより、「7」に近すぎる。

そもそも「Mの世界」でたびたび行われてきた、テーマに沿って水樹の楽曲をセレクトするコーナーはいずれも、7選だったはずである。

やはり、おかしい。

しかし、違和感の正体はわからないまま、その日は何事もなく終わったのである。

・DAY2＋DAY1.5：事件勃発と語られなかったこと

翌9月29日、Audeeという音声コンテンツアプリに、2本の音声が投下された。なお、Audeeは「Mの世界」の放送局である東京FMが運営している。

『７デイズ・ミステリィ～水樹奈々失踪事件～』と名づけられたその音声では、水樹奈々が突如失踪し、どこかから「リモート音声」と称した音源を送ってきたことが番組スタッフたちにより語られる。

つまり、昨日の放送（DAY1）は、リモート音声を編集したものだというのだ。さらに、ディレクターのゆうちゃんは「放送ではカットした部分」といいつつ、リモート音声を再生する。

そして、水樹の背後で聞こえるノイズを指して、「なにかのメッセージではないか？」「嫌な予感がする」とほかのスタッフ陣に訴える。

なお、DAY2と同時にアップされたDAY1の動画は「カットした部分」を含んだ完全版であり、いわばDAY1.5とでもいうべき内容だ。

しかし、ゆうちゃんの嫌な予感を尻目に、その日の会議は「明日までに音声をあらためて聴きなおして、気づいたことを報告しあう」という玉虫色（たまむしいろ）の結論に落着する。もちろん、警察には通報しない。

・DAY３：ノイズの正体

翌9月30日、昨日とおなじようにアップされた新たな会議の音声は、ゆうちゃんがほかのスタッフたちから叱責されるシーンで幕を開ける。

いわく、ゆうちゃんが独断で「Mの世界」のノーカット版（DAY1.5）と会議の模様（DAY2）をAudeeにアップしてしまったというのだ。

つまり、昨日リスナーが聴いたふたつの音声コンテンツは、ゆうちゃんにより勝手に公開されたもの（というテイ）らしい。

しかし、その判断が結果的に功を奏して、リスナーの協力により、昨日のバックノイズの正体はモールス信号であったことが明らかになる。

肝心のその内容はというと、「・・・ －－－ ・・・」（トトトツーツーツートトト）――すわなち、SOS。

つまり、ゆうちゃんの予感は的中し、水樹はリモート音声にSOSのメッセージを込めたようだ。

そう、水樹奈々はなんらかの事件に巻き込まれた――。

さらにゆうちゃんはキングレコードの三嶋プロデューサーと連絡をとり、リモート音声と同時期に、水樹から三嶋へ届けられた留守番電話メッセージを公開する。

その内容は以下のとおり。

「おつかれさまです、水樹です。三嶋さん、つぎのライブの1曲目は『WHAT YOU WANT』にしようと思ってます。あ、あと、うちの冷凍庫の調子が悪くて、氷が溶けちゃうから、つぎのMの世界の収録のあと、買いに行くの付き合ってもらっていいですか？　じゃあ、また」

（『7デイズ・ミステリィ～水樹奈々失踪事件～』DAY3より）

一見すると、なんの変哲もない業務連絡。

しかし、リモート音声と同時期に収録された留守電にもまた、水樹からのなんらかのメッセージが込められている可能性が高い。

そう判断したスタッフたちは、ひきつづきリスナーの力を借りて、謎解きを進めていくことを決意する。

そう、『7デイズ・ミステリィ～水樹奈々失踪事件～』は謎の出題を音声でしつつ、リスナーの謎解きを前提として進行していくドラマなのだ。その結果、リスナーたちは「水樹奈々が誘拐されたこと」はドラマと認識しつつも、じわじわと現実とフィクションの境界を壊されていくことになる。

そのあたりが、冒頭で僕が「メタフィクショナルな構図」と表現した要諦である。

・DAY4：水樹奈々ライブではありえないこと


翌10月1日、さっそく留守番電話のメッセージを解いたゆうちゃんは、Mの世界のほかのスタッフたちに、「「『WHAT YOU WANT』をライブの1曲目に持ってくることはありえない！」といい放つ。

それはそのとおりで、水樹のライブではこれまでおなじ曲が2度以上、1曲目に選ばれたことはない。すなわち、2019年の「LIVE EXPRESS」ツアーで1曲目に歌われた「WHAT YOU WANT」がふたたび1曲目で歌われることはないはず。

そんなことは、ファンならば誰でも気づくことだ。それをわざわざ水樹が選んだということは、そこになんらかのメッセージが秘められている。そう考えられる。

では、そのメッセージとは？

答えはDAY5に持ち越されていく。

また、同時期に「Mの世界」公式は以下のツイートとブログの更新を行った。


どちらにも、「”検索ワード”をSNSにそのまま打ち込む」という表現がでてきた。ぶっちゃけなんてことない――いってしまえば、この非常時に極めてどーでもいい内容を投稿するということは、逆説的にそこにはなんらかのヒントが隠されていることを意味する。

・DAY5：発見されるアカウント


翌10月2日、ヒントを得られながらも、「WHAT YOU WANT」の暗号を解くことができないリスナーたち。そこにふたたび、「Mの世界」公式より以下のツイートが投下される。


注目すべきは、「”あなたが欲しいもの”」という意味深な表現だ。これは、音声ドラマのなかで「WHAT YOU WANT」が浮上した際にも、それを意訳して「あなたが欲しいもの」と表現したことと呼応している。

さらにもうひとつ、「検索」というワード。
ここまでくれば、リスナーたちが謎を解くことは容易であった。

まもなく公開されたDAY5にて、ゆうちゃんは「WHAT YOU WANT」はそもそも水樹奈々のディスコグラフィにある楽曲だから、それ自体に暗号や手がかりは込められていないと主張する。

では、どうするのか。簡単である。
検索するのだ。それも、SNS（ツイッター）で。

ツイッターの検索窓に、「WHAT YOU WANT」とうち込む。多数でてくるユーザーを延々とスクロールしていくと――。

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見つけた――。

アカウントを開くと、そこには1本の動画が投稿されていた。

動画の内容は、何者かに誘拐された水樹奈々が犯人の古い携帯電話に残っていたツイッターアプリを使って、リスナーに残したメッセージである。

ファンのみなさま、関係者のみなさん、ご心配をおかけしまして申し訳ありません。このアカウントにたどり着いたということは、すでにみなさんご存じかと思いますが、先週の土曜日に私は何者かに誘拐されてしまったようです。相手はひとりだったのである程度は抵抗して反撃したんですが、目隠しをされて正体などはわからず。ひとまず、犯人は私に危害を加えるつもりはないなので、安心してください。勝手なことを申し上げますが、大ごとにはしたくないので、警察には通報しないでください。また犯人の古い携帯にツイッターアプリが残っていたので、そこから発信してます。残念ながらほかに連絡をとる手段はなさそうです。だけど、すぐに電池が切れちゃいそう。どうかみなさんの力で、私を助けてください。

（「７デイズ・ミステリィ〜水樹奈々失踪事件〜」DAY5より）

これにより、水樹奈々は何者かに誘拐されてしまったことが確定した。

「Mの世界」スタッフ一同は、水樹を助け出すために、番組アカウントからくだんの動画をアップしたアカウントに接触を試みるが……。

・DAY6：新たなキーマン

翌10月3日の会議で、「Mの世界」スタッフたちは、水樹と思（おぼ）しきアカウントに接触を試みるが、まったくなしのつぶてであることに焦っていた。

一方で、昨夜から今朝にかけて、またべつのツイッターアカウントがにわかに注目を集めていることに気づく。

「暇な子Aくん」と名乗るアカウント。どうやらコロナ禍において、学校が休校になってしまった少年（たぶん小学生か中学生）が暇を持て余して開設したアカウントのようだ。僕はツイッターは18歳以上の利用を禁止するべきだと思っているので、親御さんは速攻で取り上げるべきだと思う。

おそらく母親とふたり暮らしのAくんは、遊びにもいけず、さりとて勉強をするわけでもなく、日々、無聊をかこっているようである。

しかし、そんなAくんのつぶやきを追いかけていくと、ある傾向があることに気づく。そう、隣人に関するつぶやきが多いのだ。

どうやらAくんのマンションの隣室は、男性のひとり暮らしらしいのだが、先週の土曜日――9月26日に大きな物音がして以降は、たまに女性の声が漏れ聞こえてくるというのだ。

そして、水樹奈々が動画のなかで証言した誘拐された日は、おなじく9月26日――。

翌9月27日、さらにAくんは決定的な動画をアップする。
これだ（やや音量が小さいのでイヤホン推奨）。

隣家から漏れ聞こえてくる女性の声――そう、「Mの世界」をリモート収録する水樹奈々の声である。

しかも内容が、DAY2においてゆうちゃんが「カットした部分」と一致する。さらにいえば、この回の「Mの世界」は9月28日オンエアなので、この音声を9月27日にたまたまラジオで聞いていたというのはありえない。

つまり、Aくんの隣家で水樹奈々は「Mの世界」のリモート音声を収録している――もっといえば、水樹奈々はAくんの隣家で監禁されている。

こうして、「Mの世界」スタッフ陣はつぎなる手段として、Aくんへのアプローチをかけることを決意する。

・DAY7：そして、救出へ。



ここからはAくんの動きを音声ドラマが補足していく展開がつづく。

まずAくんは自身に届いたDMを引用しながら、突然増えたフォロワーや寄せられるリプライに戸惑いを示している。

しかし、しだいに状況を呑みこみはじめたAくん。ときおり隣家より聞こえる歌に、ここ数日は励まされてきたこともあってか、ついに彼は水樹奈々救出を決意する。

しかし、まだ年端もいかない子どもに、そのミッションはあまりに荷が重い。彼はとるべき行動をツイッターのアンケートで募集しはじめる。

【アンケート①】

【アンケート②】

Aくんは最終的に、3つのアンケートをとることになるのだが、上の2つのアンケートが実行されている段階で、DAY7の音声は公開されている。

このへんになってくると、SNSと音声ドラマが相互にリンクし合うという、ダイナミックな横展開がくり広げられる。

そして、ドラマの中ではアンケート②の内容に言及しつつ、「隣の部屋にピンポンを押す」と「警察に通報する」は、Aくんおよび水樹の安心を考慮すると、推奨できないという。

だから、ひとまず様子をみる「家で自粛してもっと考える」がいいだろうと。

余談ながら、アンケート②の公開はDAY7の公開より半日ほど早かったこともあってか、すでに「隣の部屋にピンポンを押す」がぶっちぎりの1位であった。

このあたりは推測でしかないのだけど、おそらくこれは運営側の想定していない展開だったのだろう。リアルタイム進行のドラマにはつきもののハプニングである。

けど、なんやかんやAくんはアンケートの結果をネグりつつ、DAY7公開後、「最後のアンケート」として以下のツイートを投稿した。

設問のバイアスのかけ方からして、どう見ても「隙をつきベランダの窓から救出」にしたいという運営の意図を感じる。

みんなそれを察したのか、「ベランダ侵入案」が過半数以上の得票を集めた。

そしてAくんはベランダより隣家に侵入し、無事に水樹奈々を救出することに成功する。


やったぜ。あと、かわいい。

というわけで、事件は無事に幕を閉じ、水樹は「Mの世界」12周年放送に間に合うことになった――しかし、ことここにいたってなにも解決していない大きな謎がひとつ残されている。

そう、水樹奈々を誘拐した犯人は誰か？

番組側もそれはもちろん折り込み済みだったようで、上記のリンク先の記事で、リスナーへの挑戦状を叩きつけている。

おそらく、この犯人当てにまじめに取り組むリスナーはそう多くないはずだ。なぜなら、僕も犯人当て（フーダニット）のミステリ小説を読むときに、まともに推理をしようとは思わないからだ。

人はめんどくさがり屋だし、そうそう頭なんぞ使いたくないのである。

というわけで、ここで「以上！」と筆をおいてもいいわけだが、せっかく大好きな「水樹奈々」と「ミステリ」がコラボするのである。

どうせなら、いっちょ気張ってこの遊びに乗っかってみようと思うのだ。

というわけで、以下より具体的な手掛かりに言及しつつ、犯人を推理していく。どうせあたらないから問題ないと思うが、すべて自力で考えたい人はここでブラウザバックを推奨する。

では、どうぞ。




・推理の前提条件の確認


まずやるべきことは、挑戦状にしっかりと目を通すことである。というわけで、少々長くなるが、全文引用する。

みなさん、この１週間「７デイズ・ミステリィ〜水樹奈々失踪事件〜」をお楽しみいただき、ありがとうございます。
パーソナリティである水樹奈々の安全が確認され、「水樹奈々のMの世界」も無事12周年記念OAができることになりました。

……しかし！

まだ、謎がひとつ残っております。
それは、「水樹奈々を誘拐した犯人は誰か」ということです。
みなさんには、ぜひこの謎にチャレンジしていただければと思います。

犯人がわかったというあなたは

・犯人の名前
・その理由

を明記の上、ハッシュタグ「 #水樹奈々失踪事件真相 」をつけてTwitterに投稿してください。※タグが変わっております！　ご注意ください！！

なお、推理が複数のツイートにわたる場合は、最初のツイートにタグをつけてスレッド形式にしてください。

見事正解された名探偵は、後日番組サイトにてお名前（Twitterのアカウント名）を発表させていただきます。

回答の〆切は、明日10月5日（月）夜９時、「水樹奈々のMの世界」放送開始時刻とさせていただきます。

解答編は明日の「水樹奈々のMの世界」のオンエア後に、AuDeeにアップされます。どちらもお楽しみに。

そして最後にヒントを。

すべての手がかりはDAY1～DAY7の音声ドラマ、失踪した水樹奈々の動画メッセージが掲載されたツイッターアカウント（@WHATYOUWANTSOS）、「暇な子Aくん」のツイッターアカウント（@huy8eiDmsa0yzWM）、「Mの世界」公式のツイッターアカウント（@m20081001）に明示されています。
つまり、作中で明かされていない情報に関しては考慮する必要はありません。

また、犯人を指摘する際は、ほかの容疑者の可能性をすべて排除してください。

そして最後に大ヒント――犯人は「単独犯」です。

たくさんのご参加、お待ちしています。


（Audee「７デイズ・ミステリィ〜水樹奈々失踪事件〜」の真相は……）より

なるほど。

いろいろと書いてあるが、ここで注意を配らねばならないのは、以下のテキストである。

すべての手がかりはDAY1～DAY7の音声ドラマ、失踪した水樹奈々の動画メッセージが掲載されたツイッターアカウント（@WHATYOUWANTSOS）、「暇な子Aくん」のツイッターアカウント（@huy8eiDmsa0yzWM）、「Mの世界」公式のツイッターアカウント（@m20081001）に明示されています。
また、犯人を指摘する際は、ほかの容疑者の可能性をすべて排除してください。

そして最後に大ヒント――犯人は「単独犯」です。

ひとつめの引用文で行われているのは、手がかりの範囲の確定である。

このラジオドラマにはいくつかの水樹奈々楽曲が使われ、水樹に関係する実在の人物たちが登場するが、あくまで犯人特定のために必要なのは、作中で語られる情報のみであるというわけだ。

だからたとえば、「プロデューサーやらディレクターやらマネージャーが〇〇な性格や特徴を持っているから、××である」みたいな推理は使わないというわけだ。

少なくとも作中で紹介される情報と、そこから類推できる二次情報のみで論理の構築は可能らしい。

そしてさらに大切なのは、ふたつめの引用文。
ここは要は、「考えられる容疑者リストから犯人以外のすべての人物を推理によって排除せよ」ということだ。

エラリー・クイーンやシャーロック・ホームズ言うところの「消去法推理」が奨励されている。

それを確認したうえで、まずやるべきことは容疑者リストの確定である。

・容疑者リストの確定


さて、では「７デイズ・ミステリィ〜水樹奈々失踪事件〜」における容疑者とは誰なのか。

考えてみれば、容疑者の範囲は広げようと思えば無限に広がるもので、極端な話し、全世界77億人をリストにぶち込むことも可能だ（実際、似たようなことを試みているミステリは存在する）。

しかし、それはあまりに現実離れしすぎている。なので、今回は以下の条件で容疑者をピックアップしてみる。

・登場人物表に名前がある人物

・作中でいちどでも名前が言及される人物

上の条件に当てはまるのは彼らだ。

【登場人物表に名前がある人物】
水樹奈々…「水樹奈々のMの世界」パーソナリティ
ゆうちゃん…「水樹奈々のMの世界」ディレクター
ゲリオンＰ…「水樹奈々のMの世界」プロデューサー
マネー…「水樹奈々のMの世界」構成
ありさ…「水樹奈々のMの世界」ウェブスタッフ

【作中でいちどでも名前が言及される人物】
キングレコード・三嶋プロデューサー
マネージャー（詳細不明）

以上である。

しかしながら、さっそく下のリストのふたりは容疑者候補から外すことができる。なぜなら、彼らに関しては作中でそれぞれ「水樹奈々からの留守電を受け取った人物」、「『Mの世界』のスタッフから相談を受けた人物」としか描写されておらず、推理をするための情報がなんら提供されていないからだ。

少々逆説的ではあるが、「犯人を指摘する際は、ほかの容疑者の可能性をすべて排除してください」と挑戦状にあるように、そもそも推理を構築するだけの情報を与えられていない人物は、オートマティックに嫌疑の外にでるということになる。

よって、キングレコード・三嶋プロデューサーとマネージャーは容疑者リストから外れる。

これで残り5人。

・消去法推理①②：3／5 「単独犯」の確定

つぎに注目すべきは、おなじく挑戦状内の以下のテキストだ。

そして最後に大ヒント――犯人は「単独犯」です。

これにより、自動的に水樹奈々は容疑者リストから外れる。
なぜなら、事件にたまたま立ち会ったAくんが水樹奈々以外の人物を目撃しているからだ。

「メガネのお兄さん」という描写から、「少なくともひとりの男性が事件にかかわっていること」がわかる。「単独犯」という条件だけでは、「水樹奈々ひとりの自作自演」という可能性は排除しきれないが、Aくんが男性の姿を目撃している以上、水樹の狂言誘拐を成立しない。

同様の条件で、ウェブスタッフのありさも容疑者から外れる。

さらにいえば、DAY1で公開された「奈々歌ミステリー6選」も手がかりになりうる。

放送において、水樹は「6曲の順番を考えてみてください」と何度もくり返した。これは厳密に論理的な推理ではないが、6曲の順番といえば、まっさきにアナグラムが思い浮かぶ。

というわけで、6曲の「順番」を入れ替えて、それらの頭文字を拾っていくと――。

（ミ）Million Ways=One Destination
（ウ）ＷAKE UP THE SOULS
（チ）沈黙の果実
（オ）想い
（ト）Trickster
（コ）恋の抑止力　type exciter

ミウチオトコ――身内（の）男。

いずれにせよ、水樹奈々本人とありさは容疑者候補から外れる。

残りは3人。

・消去法推理③：2／5 アリバイの問題


さて、この段階で容疑者はディレクターのゆうちゃん、プロデューサーのゲリオンＰ、構成作家のマネーに絞られたことになる。

ここから、検討すべきは容疑者３人のアリバイである。このなかで、ひとりだけ明確なアリバイを持つ人物が存在する。

簡単だ。構成作家のマネーである。
彼のアリバイを立証したシーンを引用する。

ゆうちゃん：なんかいま思いつきそうだったんですが、昨日からほとんど寝ていないので、頭がまわらず……。
ありさ：ほら、そういうときは脳に糖分ですよ。私、コンビニでチョコレートでも買ってきますよ！
マネー：それなら、この前の土日に俺がお土産で買ったハタダのタルトが残っていただろう。

（７デイズ・ミステリィ〜水樹奈々失踪事件〜：DAY3）より

この音源が公開されたのは9月30日。
また、音声は物語の進行状況を鑑みるに、公開日に収録されているものと判断できる。つまり、DAY3の会議は9月30日に行われた。

その時点での「この前の土日」とは、9月26日・27日である。

そして、マネーが買ってきた「ハタダのタルト」とは、ほぼ間違いなく畑田本舗のタルトのことを指す。畑田本舗は以前、水樹奈々のライブグッズとコラボしたこともあり、それゆえの言及だと思われる。

このあたりはファンでなければ気づきづらい情報ではあるが、「ハタダ　タルト」で検索すると、畑田本舗しかでてこないので、ギリギリセーフの二次情報といえそうだ。

そして、畑田の店舗は以下のとおり。

愛媛県中予
愛媛県東予
愛媛県南予
香川県
高知県
徳島県
岡山県
広島県

もしかしたら、都内のアンテナショップにハタダのタルトは売っているかもしれないが、それならば、「旅行のお土産」というセリフと矛盾するので、やはり9月26日・27日は、マネーは上のいずれかの土地（というか、たぶん水樹奈々の地元・愛媛）に旅行していると考えられる。

そして、前述の水樹奈々の動画メッセージとAくんのツイートから、犯行日時は9月26日――。

つまり、当日および次の日はマネーは愛媛に旅行中であり、アリバイがある。
というわけで、彼もまた容疑者候補から外れる。

これで残る容疑者はふたり。


・消去法推理④：1／5 ○○の有無


さて、ここまではわりとシンプルな推理で容疑者を絞り込むことができた。しかし、正直に申し上げれば、ここからはあまり自信がない。それを踏まえて、読んでいただけると幸いだ。

さて、まず注目すべきはまたとしてもAくんのツイートである。

危うく、「メガネの兄ちゃん」という情報に飛びつきそうになるが、各登場人物のメガネの有無は作中ではいっさい言及されていない。

挑戦状のなかで「作中で明かされていない情報に関しては考慮する必要はありません」と明言されているのだから、ここはスルーでオーケーだ。

極端なはなし、言及されていないのだから確定されておらず、この世界線の水樹奈々は黒縁メガネをかけている可能性だってある。可愛い。

むしろ拾うべきは、「運転してる」と「いつも駐車場で見かける車だ」というセンテンスだ。つまり、犯人は水樹奈々を誘拐する際に自家用車を使用したと推理できる。

小柄な女性といえども、大人ひとりを誘拐するのだ。車は必要だろう。
そう、僕は「運転免許の有無」が最後の推理にカギになると考えている。

ゲリオンPは作中で「最近、黒い車を買ったこと」と、「週末は妻とドライブデート」にでていることをDAY2で言及している。そのため、免許は持っているはずだ。

一方で、もうひとりの容疑者であるゆうちゃんは（僕の見落としでなければ）運転免許に関する言及がない。しかし一方で、彼は足をケガしている。

なお、何人かのリスナーは、水樹がツイッターに残した動画のなかの「相手はひとりだったのである程度は抵抗して反撃した」というセリフから、「ゆうちゃんはそのときにケガをしたのでは？」と推理していた。

しかし、これは犯人ではないありさ（つまり、ある程度、証言を信用できる人物）がゆうちゃんに「この前、ボルダリングでケガをしてましたもんね」と発言していることと矛盾する。ありさが虚偽の証言をする必要はないし、それを虚偽であると証明する手段もないため、いまの情報ではゆうちゃんのケガの原因を確定させることはできない。

むしろ、「足をケガしたことで運転ができないのでは？」と、やや不完全ながら推測するしだいだ。
いずれせよ、ケガのタイミングは重要ではなく、むしろAくんのツイートから「運転免許の有無」が推理の焦点となりそうだ。

というわけで、そろそろ結論がでそうだ。

水樹奈々を誘拐した犯人は、犯行の際に自家用車を使用した。しかし、ゆうちゃんは運転免許を持っている可能性かどうか確定しておらず、むしろ足のケガから持っていたとしても運転できない可能性が極めて高い。しかし一方で、ゲリオンPは「黒の新車」を買ったといっていることから、確実に運転免許を所持している。

というわけで、ゆうちゃんは容疑者候補から外れる。
結果、消去法推理のうえで、僕は「ゲリオンP」が犯人であると推理する。

みなさんはどう思うだろうか？
解答篇は10月5日（月）に公開されるようだ。

ぜひ一緒に謎に挑んでもらいたい。

（終わり）



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ななし
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