リビングから深海へ(サカナクション #NFLR)
1週間くらい前、ショックなことがあったんですよ。
この間買ったばかりのサカナクションのDVDおよび初回限定版のブックレット。
これに、夫の飲み残しコーヒーがこぼれてしまいました。
私も置き場がわるかったと思います。
しかも、いつもは必ず外フィルムに入れて保管してあるのですが何度か出し入れしているうちにフィルムが破れてしまってほぼ剥き出しの状態だったので、コーヒーが直撃。
中のDVDとかCDは大丈夫…だと思うんだけれど。
ブックレットはびしゃびしゃに……
しかも気付くのが遅かったので紙はしわしわだし、一部くっついて剥がれてしまってたり、あと中に入ってた赤いセロファン(何に使うのか未だに分かっていない)の色が溶けて、挟んであったページが真っ赤に……
というなんとも悲惨な状態。
このブックレット、一枚一枚質感の異なる繊細な紙で作られていまして「経年劣化により生じる変化も楽しんでいただくことを意図して制作されております」とは書いてあるけど、それとは違うダメージ。うぅ……
ショックすぎて即ツイッターで呟きそうになったんですけど一旦こらえて、数日経って見てみましたがやっぱりショック。見るたびに悲しい気持ちになってしまいます。
いつかこの気持ちも癒えるかなぁ……
ライブレポかと思って開いた方、いきなりショックな話で始まってごめんなさい。
ここからは、5月22日と23日に行われたサカナクションのオンラインライブ『NF OFFLINE FROM LIVING ROOM』(以下、NFLR)についての感想です。
5/8に配信された光ONLINE(感想noteはこちら)の最後に告げられた、次なるオンラインライブの告知。
ライブ気になるけどDVD買っちゃったし、今回は見送るかなぁ…と思いながらとりあえず無料で見られる22日のInstagramライブ配信を観てみることに。
光ONLINEはバンド体制でしたが、NFLRは一郎さんの弾き語りによるアコースティックライブ。しかも山口邸(一郎さんの自宅)からの配信。
インスタライブ自体もとても良かったのだけど、チケットを購入してストリーミング配信も観ているであろう人たちのコメントがライブ中に流れてきて、その興奮具合に購買意欲を掻き立てられる…。
(どうやらかなり演出、音響など違うらしい)
最終的にはアメブロで長年お世話になっていてサカナクションのファンクラブ会員でもあるフォロワーさんに背中を押していただき、2日目(1日目はファンクラブ会員限定)のチケットを思い切って購入したのでした。
フォロワーさんは「なんだか無理やり海の底に引きずりこんじゃってごめんね」とおっしゃっていたけれど、こんな素晴らしい世界が待っているなら全然引きずりこんでいただいて大丈夫です。むしろありがとうございます!
リアル友人もチケットを購入して、ワクワクしながら配信を待ったのでした。
既にアメブロの方では感想を上げていたのですが、note用に改めて書き直す気力がないため、ほぼ実家(アメブロ)からの転載となります。
よって、いつもよりリラックスした文体でお届けいたします(最近noteもアメブロと変わらなくなってきてるけど)
いつか円盤化されるかもしれないし、この間の光ONLINEみたいに限定で無料配信されることも今後あるかもしれないし…
その時に、「あ、観てみようかな」って思っていただけるそのちょっとしたキッカケにでもなれば嬉しいです。
✳︎
光ONLINEに続いて、またまたものすごいものを観てしまったな…と。
観たというより、同じ空間に入り込んでいたような感じ。
深く深く潜ってから、水面に上がってくような。
観終えたあと、呼吸が深く息がしやすくなったような感覚さえありました。
最初の3曲(新宝島、セプテンバー、忘れられないの)は、いわゆる普通のアコースティックライブな感じで。
『新宝島』はアコースティックだとまた違った雰囲気になってて新鮮でした。
自宅からの配信とのことですが、その自宅がまず凄すぎる。広くておしゃれ。
今回の配信でも光ONLINEで総合監督を務めた
田中裕介さんやPerfumeなどのライブ演出も手がけるRhizomatiks(以下、ライゾマさん)が関わって何かしてくれるというのは事前に分かっていたので期待しながら観ていたのですが、普通のアコースティックな感じで数曲進んだので あれ?このままこういう感じで行くのかな?と思っていたら…
4曲目、『フクロウ』の途中(2番サビあたり)から音がぶわぁーっと広がって響き出して。
きたー!!とテンション上がりました。
『フクロウ』のフェードアウトとともに水中に潜るようなプクプク…という音、ぼやける視界。
『ネプトゥーヌス』『ユリイカ』『茶柱』とつづけて演奏され、映像と音の両方の効果で深い海の世界に引き込まれてく…。
『ユリイカ』はまた原曲と違うゆったりした、でも力強いアレンジになっていて。
『茶柱』はどこかEテレの『デザインあ』っぽい世界観だったなって(伝わるかな?)
『ネプトゥーヌス』は特に好き。
今回のインスタライブとストリーミングではじめて聴いた曲だけど、
〈痛いのは まだまだ慣れてないからかな〉
という歌詞を映像と音が一層際立たせていたように
思います。
真っ暗な部屋で観ていたので、本当に自分が海の底にいるような気持ちになりました。
8曲目『ナイロンの糸』は光ONLINEのセットリストにも入っていたのですが、光ONLINEとは全然違う表情になっていて。個人的には今回のアレンジでより好きになった感じ。
水中で歌っているかのように、画面が揺らぐ視覚効果(なんかその揺らぎ方も、一郎さんの歌声と呼応しているように見えて。歌声が強くなると、揺れ方も激しくなってたような。一郎さんの声の周波数?とかをリアルタイムで視覚化する…みたいなこと、ライゾマさんならやりかねないですし)と、あぶくの音、ウミネコ?の鳴き声といった音の効果。
繰り返される〈この海にいたい〉というフレーズの切実さがより強調されて感じられました。
私、「モラトリアム」っていう言葉の意味がいまいち自分の中で掴みきれてなかったのだけど、『ナイロンの糸』のこのアレンジを聴いたときに「これがモラトリアムか…」ってなんとなくしっくりきました。
※この件について書いたのが、前日公開したnote『サカナモラトリアム』ですね。
サカナモラトリアムっていうのはあれです、サカナアクアリウムとモラトリアムから成る造語です。タイトルふざけてるわりに内容重いですけどね。
『ナイロンの糸』の途中から、あまりの没入感と心地よさで不覚にも眠気に襲われ始める…
けど、そんな眠気を吹き飛ばしたのが9曲目の『シーラカンスと僕』の演出。一気に目が覚めた。
部屋から一瞬で海の底へワープするような。
ライゾマさんの本領発揮というか、これをリアルタイムで演出してるってどういうこと?と。
(そしてここは本当に「自宅」なのかと改めて驚く)
1日目に観ていたインスタライブでは確かこの曲のとき、ものすんごいローアングル(床?)から撮影されてて。
streaming+ではアングルがぐるぐると変わって、上から一郎さんと海の底を見下ろすような場面もあったりで、本当に一体どうなっているんだと。
一郎さんの周りを魚みたいなエフェクトが戯れてるとこはちょっと可愛かったです。
10曲目の『白波トップウォーター』は、メンバーのアレンジを加えての演奏。途中から映像にてメンバーも出演。
何度もうしろ(メンバーの方)を振り向きながら歌う一郎さんの姿にグッときました。
私ですらそうなのだから、長年サカナクションを追ってきたリスナーにはたまらなかっただろうと思います。
このあと長めのMC(これもとてもよかった。文字起こしもしてみたけど、ここに載せるのは権利問題的にダメな可能性が高いので自分の思い出としてしまっておきます)が入るのですが、最後に「今日はどうもありがとうございました!サカナクションでした」って言ってるのがとても良かったな。
一応この日の出演は山口一郎さんだけだったけど、“5人でサカナクションなんだ”っていうのが伝わってきました。
ラストはバンドアレンジでの『グッドバイ』
インスタライブの方は『白波トップウォーター』でお別れだったので、サプライズな感じで嬉しかったな(よく考えたらTwitterのリハで歌ってたんだけど)
光ONLINEではこの曲がトップバッターだったんだよなって思うとなんかすごい。『グッドバイ』で始まるライブって。
でも歌詞に〈不確かな未来へ舵を切る〉ってあるし、「終わりは始まり」とも言うし、未来へ向けた歌でもあるのかな。
途中(2番のサビあたり)一郎さんがめちゃくちゃ笑顔になったー!!と思ってたんですけど、あれ歌詞を間違えちゃって思わず溢れた笑みだったんですね。
偶然とはいえ、とてもいい笑顔で観てるこっちもニコニコになりました。
1週間のアーカイブの間、なんだかんだで1番繰り返し観て聴いたような気がします、グッドバイ。
視覚のエフェクトが特にないので耳だけで聴いてることも多かったんだけど、歌詞間違えて笑顔になっちゃうとこはつい画面に目を向けて何度も観てしまう。
その後の力強い眼差しも含めて最高のラストでした。
(暗転してオッケーが出たあとの「にゃははははは!間違えまくったあははは!」ってやりとりも最高でした。笑)
ちなみに1日目は1曲多かったようで。
欲を言えばその曲も聴いてみたかったけれど、そこはファンクラブ会員さんの特権ですかね。
音楽文で私も書いたし、一郎さんもグッドバイ前のMCで近いことを言ってたんですけど、
リアルのライブがなかなかできないという逆境を逆手にとって、オンラインだからこそできることに挑戦していくサカナクションとチームサカナクションの姿に底知れぬ可能性を感じました。
正直、オンラインライブってライブって言えるのかなぁと思うこともあったけれど、サカナクションの配信を見てかなり感じ方が変わりました。
リアルのライブにはリアルのライブにしかない感動があるけれど、オンラインライブにもオンラインライブの素晴らしさがあるんだなって。
しかも、その可能性はまだまだ無限大。
それでもやっぱりいつかは、サカナクションのリアルなライブにも行ってみたいな。
その日がくるのが楽しみです。
NF OFFLINE FROM LIVING ROOM
セットリスト
1.新宝島
2.セプテンバー
3.夜の東側(1日目のみ)
4.忘れられないの
5.フクロウ
6.ネプトゥーヌス
7.ユリイカ
8.茶柱
9.ナイロンの糸
10.シーラカンスと僕
11.白波トップウォーター
12.グッドバイ
本当に本当に観てよかったと思えるライブでした。
アーカイブもギリギリまで何度も観て、終わっちゃうのが寂しくて。
でもやっぱりありがとう!って気持ちです。
サカナクションの次なるアクションも楽しみにしています。
グッドバイ。