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やっぱりKluivertはウィング...なの...か?

こんにちは。七シノです。今回は私のイチオシ選手。Justin Kluivertについてのお話です。

昨季ローマから加入した彼は、一年目ながら全公式戦でチーム2位タイとなる9ゴールを挙げ、新加入選手の中でも際立つ活躍を見せました。今季もここまで安定して出場を続け、今回の代表ウィークでは負傷離脱したVeltmanに代わり久々のオランダ代表にも選出されています。

Kluivertは10代の頃からその将来を嘱望されていた逸材。私も2017年でしたかワールドサッカーダイジェストの特集で彼を、そして彼の父親のことも知りました。17−18には19歳のシーズンながらアヤックスでリーグ戦二桁を達成し、このままスターダムの階段を登っていくかと思われました。しかしなかなかそこから芽が出ず欧州中のクラブを転々とし、昨年ボーンマスに行き着き、当時24歳ながら5大リーグ全てでプレー経験、かつゴール記録のある稀有なプレーヤーになりました。

若かりし頃から偉大な父親とも比較され、プレッシャーの多そうなキャリアを過ごしていそうではありますが、本人はかなりの好青年。昔はキレキレウィンガーというプレースタイルもあってかなりオラついた印象だったのですが、いつの間にか丸くなったのかインタビューなどにも笑顔を絶やさず対応し、インスタでは選手の投稿によくリプライを飛ばし、特に同期のKerkezとはとても仲が良さそう。ピッチ内でも献身的なプレーを欠かさない選手です。前述の通り昔から知っている選手でしたので、私も他の選手と比べて特別な感情のある選手です。今この記事を作っているラップトップの壁紙も彼です。

そんなKluivertはボーンマスではトップ下が主戦場。本来は大型フォワードの父とは対照的に小柄でスピードを活かしたドリブルが武器のウィンガーですが、昨季中盤にIraolaがトップ下にコンバート。それ以降一貫して同ポジションで起用が続きスタメンの座を確保しました。

で、今回はそのトップ下起用が果たして本当に良いのかという疑問をぶつける回です。昨季間違いなく攻撃で存在感を見せた選手ではあるのですが、弱みも少なからず露呈し、ウィングに戻れという声もしばしばあがります。なのでこの記事ではなぜトップ下で起用されているのか、そしてなぜトップ下よりもウィングの方が良いかもしれないのかという意見を語っていきます。

なんでトップ下?

いや俺が聞きてえわなんでコンバートしたんだ。
まあいくつか理由はあると思うので推測していきませう。

裏抜け

ボーンマスはロングボールを多用するチーム。その為相手のディフェンスラインが余程低くない限りは裏へのボールも機会があればポンポン放ります。そして先述の通りKluivertはスピードが売りのドリブラー。裏抜けを狙わせるには十分すぎる速度を持っています。昨季アウェイバーンリー戦では相手CB O'hareの隙をついて抜け出し見事なフィニッシュを見せました。
理想としては降りて足元で受けられるEvanilsonや、ウィンガーにつくディフェンダーの背後のスペースを使うこと。昨季も時折見られましたが、今季はより試行回数を増やして欲しいところ。

プレス意識

ハイプレスはIraolaボーンマスの生命線。そしてトップ下はストライカーと並んで1stプレス隊としてプレスのスイッチを入れる役割があります。中盤へのパスコースを消しつつCBにプレスをかけ、相手がサイドに逃げれば速度を緩めず圧縮しボールを奪いにかかるという強度の高いプレーを試合中幾度となく繰り返す必要があります。スタミナと集中力の問われるタスクですが、Kluivertはこれに関してはチームトップクラスの選手。そしてこのプレス意識の高さというのにIraolaは重きを置いているらしく、本職のPhilipやTraoreを押し除けてKluivertが使われている要因の一つでしょう。

守備意識

プレス意識も言ってしまえば守備意識の一つですが、Kluivertはプレス時以外も真面目に守備します。相手がカウンターの時は前に出たアタッカー陣の中でもいち早く帰陣しますし、ブロック守備時は必要に応じてバイタルなどのスペースを埋めボランチを支援することも怠りません。意識高すぎてファールが多いのが残念ポイントですが、この非保持の意識に関してはKluivert、そしてScottはとても優れているなと感じます。

サイドでの支援・連携

トップ下からサイドに流れるメリットは単純にサイドで+1を作れること。そしてKluivertはウィンガー本職だからだとは思いますが、サイドに流れてのプレーは上手。特に左サイドによる事が多く、昨季はそこまで長くはありませんでしたがSinisterraとの連携は良さそうな感じでした。
また今季は二列目の流動性が非常に高いのですが、サイドで脅威になれるKluivertがトップ下に入ることでこの流動性を確保してるのだと思います。というか異様に頻度の高いポジションチェンジは今季のIraolaの戦術なのでしょう。トップ下で起用されてるの彼の他には主にTavernier、そして少しだけですがSinisterraですからね。どっちにしろ本来ウィンガーの選手を使っています。

シュート

単純にシュートに力があります。それに逆足でも打てます。ミドルでより怖さを見せられればいいですね。

まあトップ下で起用する利点としてはこんな感じでしょうか。次はデメリットについて考えていきましょう。

何がだめ?

小柄・フィジカル弱い

さっきも言いましたがボーンマスの攻撃はロングボールが基本です。Zabarnyi、Senesi、Huijsen、Kepaといったキック精度に自信ニキたちが後方からバンバン蹴飛ばし、それを回収して素早く攻め上がるのが目標なのですが、Kluivertは中央にいたらダメじゃね?と思っています。なぜなら彼は小柄でフィジカルがお世辞にも強くから。基本彼のマークにCBの一角がつくので、相手が誰であろうと空中、地上ともにミスマッチとなってしまうのが痛い。裏抜けができれば良いのですが常時それがうまくいくこともありません。むしろ相手を背負えず競り勝てずというケースの方が明らかに多い。SolankeやEvanilsonと同じようなノリでKluivertにロングボールを当てるのは本当にやめましょう。

パス下手

二列目の中でも屈指のパス下手です。雑に蹴ってるのかサイドへの単純なパスすら外れてタッチラインを割ってこちらの保持タームを唐突に終わらせます。今季もすでに数回観測しており、特にリードしていない時にやられるとストレス半端ないです。そして創造性もなくアシストもあまり期待できないので、次のとともに私がトップ下起用に疑問を持つ大きな理由です。

ライン間・レススペースでのプレー不得手

昨今のポジショナルプレー大流行時代においてライン間というのは敵陣攻略における最重要エリアとなっています。ストライカーが相手ディフェンスラインを下げ、ウィングあるいはSBが外に広がって幅をとることでディフェンスラインと中盤ラインの間(ライン間)が広げるからですね。ここ数年でFoden、Wirtz、Musialaといったライン間職人と言われるような選手も台頭してきています。そんな中でKluivertはどうなのかと言うと、全くもってそのエリアでのプレーは得意に見えません。受けてからのターンやパスも上手くなく、プレー判断も早くないので結局ディフェンスに捕まってしまいます。そもそもスペースの限られる中央でのプレーが得意ではなさそうです。じゃあなんでトップ下してるんだ!()

サイドでのプレーが上手い

そら(ウィンガーなんだから)そう(上手い)よ。
と言われればそうなんですけど、やはり改めてウィンガー起用された時は上手いの一言。中央とは違いタッチラインを背にしながら自分の間合いで勝負できるのがデカいです。ドリブルはキレキレですし、SBオーバー・インナーラップや中盤のポケット侵入をちゃんと使って左サイドの攻撃を活性化させてくれます。他のウィンガーよりも弾離れが良い印象です。そして案外クロスも綺麗にあげる。先日のエヴァートン戦ではペナ角付近からファーへの完璧なクロスでSinisterraの劇的逆転弾をお膳立てしました。その試合はトップ下で先発して不甲斐ないパフォーマンスを見せていただけにあのプレーを見てウィングで使えばもっと輝けるとますます思うようになりました。

こんな感じですかね。自分がウィング起用派なので、少々こちらに熱意が偏ってしまったかも……

最後に

ここまでKluivertのトップ下でのメリット、デメリットについてお話ししました。上に書いてあるとおり、私はウィング起用が好ましいと思っています。ウィングは競争の激しいポジションではありますが、今のKluivertはスタメンを張れる実力は持っていると思います。ライバルであるSinisterraはジョーカーとして、Tavernierは入れ替わるようにトップ下で使うのが私の理想。Tavernierはパス・キック精度やキープ力に関して一日の長があるはずです。運動量もありますしトップ下適性はKluivertよりもあるかと。そもそもボロ時代トップ下やIHで起用されていたんじゃなかったでしょうか。

まあ私たちがどれだけ言おうが結局はIraolaの決めること。コンバートも彼が発端です。選手のために戦術を変えるのではなく戦術のために選手を変えるタイプ。そんな芯の固い監督に選ばれたからには、期待に応え昨季以上の活躍を見せて欲しいところです。

これで以上です。最後までご覧いただきありがとうございました。




 

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